2020年9月22日火曜日

陸自に電子戦部隊新設

 防衛省は9月20日、電磁波を使う電子戦専門部隊を来年度末に陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京都練馬区)へ新設する方針であるとのこと。

来年度予算概算要求に関連経費を計上するそうです。

今後の戦いがミサイル攻撃になることを踏まえた軍の配備計画と思われますが、どのような戦闘になるのかは誰もまだほとんど経験しておりません。
2014年から続くウクライナへの軍事介入でロシア軍は電子戦とサイバー戦を一体化させた作戦を展開したとのことですが、それがどうなったのかは知らされておりません。
超音速で飛ぶ戦闘機や偵察機は、司令部との通信を高周波で行います。もしパケット式の通信であれば搬送波はありませんから、第二次大戦時のような電波妨害は難しいでしょう。

まして電磁波誘導ミサイルであれば起動を変えるシグナルはスイッチノイズと言われるような一瞬の電磁波としてしか出てきません。
しかも周波数は複数が使われ、どの周波数で妨害すれば混信させられるのか解りません。

「電子戦は電波や赤外線などの電磁波を使用する通信機器やレーダー、ミサイル誘導で相手の電磁波利用を妨げ、自国の電磁波利用を防護する。」となっていて「平素から相手の通信やレーダーで使われている電磁波の周波数を把握し、有事には同じ周波数の電磁波を発射して混信を起こさせ、無力化することで作戦全体を有利に進める。」と述べておりますが、いつどの周波数で行われるかも知れない交信の妨害に、このような妨害電波を発信し続けるようなことは不可能ではないかと思います。

もう一つの対策として、「電磁波は複数の拠点で収集することにより電磁波を発する相手の部隊や装備の位置を詳細に特定でき、相手が移動している場合は移動方向も確認しやすくなる。」と述べていますが、これは可能でしょう。
電磁波を受信しても敵側は受信されていることが解りません。電磁波の複数個所での受信によって敵側の動きを把握することは可能かと思います。

「個々の艦艇や航空機ごとに通信などで発する電磁波には指紋のような特徴もある。平素から収集した電磁波の特徴と装備をひもづけして相手の動向把握や作戦形態の分析に生かす」と言うことですが、これは一種の暗号解読が出来ていると言うことでしょうか。

「収集と分析を重ねた電磁波の特性を蓄積してデータベースも構築する。有事にどの周波数を使って相手の通信やレーダーを妨害するか備えておく」と述べております。
近代の無線通信は周波数が判ってもなかなか妨害は出来ないと思います。その通信でなされる情報の内容まで把握するには暗号解読の技術が必用です。

解読が出来れば、次に混乱させる情報を同じ暗号で組み立てて送信し、敵を混乱させるということで、これが交信妨害という意味なのでしょうか。
これは同時に盗聴されたことを敵側に知らせる事にもなるでしょう。使用周波数はすぐに切り替えられます。暗号も変更されるでしょう。
このような「鼬ごっこ」を繰り返しながら戦闘が継続されるのが今後の戦い方になるのでしょうか? ともかく暗号解読のスピードが勝敗を別けることになりそうですね。

戦闘が始まった場合、相手の通信機器やレーダーに強い電磁波を当てて機能を妨げる電子攻撃も可能になっているようです。
超音速で飛来するミサイルの起爆装置が、この電磁波攻撃で破壊出来るのかどうかは判りませんが、航空機のような対象には可能かも知れません。

極端に指向性を高め、高電力の電磁波を照射しても、その減衰は距離の二乗に反比例します。
ミサイルなど超音速で攻撃してくる場合、そのコントロール海路にサージ電流を起こして焼き切るには時間がかかりますから、その前に目標到達となれば攻撃は成功します。

しかし地対地ミサイルではなく、航空機や船舶かえあの攻撃であれば、ミサイルよりもその発射母体を航行不能にしてしまえば良いわけですから、電磁波攻撃は意味があるでしょう。
問題はその発射母体に出来る負だけ近づくために、いかに電磁波攻撃用兵器を小型化し運搬母体に乗せられるかでしょう。

「大電力の発電機の小型化に(日本は)成功した」という噂は聞きますが、それがどんなものかは見たことがありませんし、概要も判りません。(軍事機密ですからね)
しかし出来たからこそ、今回の自衛隊の新配備計画が立てられて予算の確保と実施も決まったようです。

この発表の前にアメリカは台湾に大規模な武器売却を発表しました。その中に今度は戦闘機ではなく、無人機MQ―9B「リーパー」の大規模売却が進められます。
これはプレデターを大型化して滞空時間も長くした攻撃可能な偵察用のステルス無人機です。

大規模な売却とは、今後台湾から飛ばすこのリーバーによって、中国大陸の全域の偵察飛行と危険探知がなされることを意味します。
リーバーの操縦はアメリカからも日本の米軍基地からも可能ですし、もちろん台湾からも可能です。
そしてその情報が日本にも伝えられ、それを元に東シナ海から日本海での人民解放軍の動きを捉え、どこで軍事衝突が起きてもすぐに全体で対応できる状態にしておくことでしょう。

カセム・ソレイマニ司令官を爆殺したことで、その有効性が示された武器で、敵上空を旋回してもレーダーで捕捉することは出来ません。
映像は衛星経由で送られ、おそらく複数の周波数帯で複雑な変換をしながら送られているのでしょう。

人民解放軍は南シナ海や東シナ海にかなり長期にわたって艦船を派遣しています。ですから交信電波は相当採取され、分析が掛けられ、その性能も日米台の知る所となっていると思います。

何時戦闘開始となるかは中共次第ですが、この布陣は今後ますます強化されて行くでしょう。
「イージスアショア」の配備計画停止が決まった我が日本。敵基地攻撃が可能になるように法解釈を変えて、電磁波防衛体制を固めるという方向になったのですから、MQ―9B「リーパー」のような無人攻撃可能な装備も欲しいですね。

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