2017年1月25日水曜日

通訳泣かせのトランプ流

トランプ氏の発言や演説は内容や文法が単純で、判りやすいかと思えばさにあらず。理屈や文脈にしばしば矛盾があり話題が飛ぶなど、外国報道機関の通訳達を悩ませているようです。

まあ、相手がマスコミですからトランプ大統領が煙に巻くという意味では良いようですが、もし本当に自身が何を言うべきか、何を伝えるべきかが判っていないとしたら、これは問題でしょうね。

就任早々、TPP離脱の大統領令にサインしたり、移民の入国審査を厳しくしたり、公約の実行に邁進しております。
そして「アメリカ第一」を標語にして雇用促進を叫んではばかりません。

外国から見ればこのようなアメリカ大統領の発言は大きなニュースで、それを正確に本国の新聞で伝えたいわけですが、ともかく矛盾や飛躍などが多くて記事としてまとめることに一苦労だと言う訳ですね。

しかしトランプ政権の閣僚たちは、すでに動き始めております。2月上旬に「戦う修道士」とか「狂犬」と呼ばれている「ジェームズ・N・マティス国防長官が来日する予定だそうです。
当然、稲田防衛相との会談とか安倍首相との会談が行われるでしょう。

マティス氏はアジア太平洋地域を「優先事項であり続ける」と述べ、日米同盟の重要性を再確認し、北朝鮮の核・ミサイル開発、中共の南シナ海進出、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題などを重視しているようです。

また韓国の「THAAD配備」に関しても、日本の意見を聞きたいようですね。場合によっては韓国配備をあきらめて日本に配備することを打診するカも知れません。

対中強硬派の「ピーター・ナバロ国家通商会議代表」が今後中共に関税などで圧力を掛ければ、当然中共側から軍事的圧力が強まることが想定されます。
それに日本の防衛が耐えられるかどうか、それを稲田防衛相などに確認するのではないでしょうか。

また、アメリカの国連大使に「ニッキー・ヘイリー女史」が選ばれました。彼女はイスラエルや北朝鮮核問題での国連の対応に不満を示し、「国連拠出金の在り方を見直す必要がある」という意見の持ち主です。
現在の国連内部は、賄賂などが横行する極めて不健全な状態にあるようです。「潘基文事務総長」の任期中にそうなってしまった感もありますね。

トランプ大統領は「集まって話して楽しむだけのクラブだ」と国連を非難しておりました。

現在の事務総長のアントニオ・グテーレス氏も、紛争予防の失敗が国連の「最も深刻な欠点」との認識を持っているようです。
ですから国連でも中共などの主張(中華思想)と対決することになるかも知れません。国連ももはや賞味期限が過ぎた単なる「クラブ」になっているようで、対立が激しくなれば国連解体も視野に入れておく必要があるように思います。
グテーレス氏は国連を立て直すことが出来るでしょうか。

ビジネスマンから突然大統領になった「トランプ氏」です。ですから政界のことがよく判らないのは当然ですが、彼は大衆に受けることが大好きなようですね。
TPPに反対したのは「TPPに中共が入っている」と思ったからだそうです。とんでもない勘違いですが、基本的には「2か国間交渉」が信条のトランプ氏、もはや戻れないのかも知れませんね。

日本が駐留アメリカ軍に対して7割の経費を支払っていることを大統領は知らないようです。韓国が5割、ドイツは3割です。NATO加盟国に至ってはもっと低いようですね。
ロジャー・ウィッカー上院議員と話してきた小野寺五典元防衛大臣は、「彼も日本の負担率を知らなかったし、『もっとそういうことははっきり話してくれ』などと言われた」ということです。

そういう訳で、トランプ大統領とその閣僚たちとの考え方がまだ一致していないようです。ただ閣僚人事は共和党の思惑どうりに進んでいるようです。ただ、大統領上級顧問に娘の配偶者であるシャレット・クシュナー氏が入ったことが共和党人事ではないのかも知れません。

小野寺氏はハドソン研究所のケネス・ワインシュタイン氏の話として「G7ではもう古参となった安倍首相に、トランプ大統領の相談相手になってほしい」などと言われたとか。
トランプ新政権の閣僚の中には、「TPPは批准すべきだ」という意見を持っている者も含まれていて、まだまだ閣内不一致の状況が続きそうです。

ワインシュタイン氏はトランプ大統領と親しい関係で、安倍首相と会談したあとトランプ大統領は、彼に「安倍とは馬が合いそうだ」と述べていたとか。安倍首相も大変な大統領と付き合わなければならなくなったようです。

大統領就任演説でトランプ新大統領は、「私たちは2つの簡単なルールを守ります。アメリカのものを買い、アメリカ人を雇用します。私たちは、世界の国々に、友情と親善を求めるでしょう。しかし、そうしながらも、すべての国々に、自分たちの利益を最優先にする権利があることを理解しています。」と述べております。つまり私はアメリカ第一主義だが、他の国もその国第一主義であることは理解しているという訳です。

そして「自分の生き方を他の人たちに押しつけるのではなく、自分たちの生き方が輝くことによって、他の人たちの手本となるようにします。」とも述べました。これは、「もうアメリカを他国に押し付けたりはしない」という意味にとれます。

日本はもう日本第一としてやっていけ・・というアメリカからのメッセージです。安倍首相が靖国神社で慰霊しても、もうアメリカ大統領は何も言わないでしょう。むしろ「為政者として当たり前の行動だ」と言うかも知れませんね。

もちろん日本の防衛責任も日本政府と国民の手にゆだねられることになるのですよ・・・

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