2018年12月29日土曜日

チベット相互訪問法成立・・本気だ

「中共への異議申立て 第三部 人権、法治」と題されたアメリカ議会小委員会公聴会が12月4日に開催され、参加したアメリカ国務省の担当者は、「チベット相互入国法」の諸目的を支持し、法制化された場合はその実施に必要な施策を実行していくとは述べたそうです。

この小委員会で、ガードナー上院議員が「カトリック教会政策、カトリック教会と中共の合意内容、そしてダライ・ラマについて質問をします。ダライ・ラマについて、中共はその転生認定を中共が行うと言明しています…。もし中共が次代のダライ・ラマを選び、それを認めさせようとした場合、アメリカはどう対応しますか?」という質問をしました。

これに対し、国務省東アジア太平洋局のストーン次官補代行は「そうした質問が出ること自体、われわれがこうした問題を高いレベルで注視していることを中共政府に示す重要なシグナルです。宗教上の決定を行うのは国家の役割でなく、決定は宗教機関内で行われるべきだとのわが国の立場は明確です」と述べ、「こうした立場はアメリカ世論からも広く支持されている」としました。

ガードナー上院議員は、この回答に謝意を表明し、そして「中共による押し付け(ダライ・ラマの転生者)をアメリカ議会が決して認めることはないでしょう」とアメリカの立場を鮮明にしました。

さらにガードナー議員は、2002年に成立した「アメリカの政府関係者による定期的なチベット訪問を規定した『チベット政策法』」について、「わたしの知るところでは、中共政府による入境拒否を主な理由として、これまでチベットを訪問できたアメリカの外交官、政府関係者はごくわずかでした。過去3年間、国務省関係者はどの程度、チベットに訪問できているのか、教えてください」と質問を致しました。

ストーン次官補代行は、「詳細は把握していない」と答え、この「チベット相互入国法」は国務省も支持しているので法制化されたなら実施に向けて必要な方策を取っていくと述べました。

この「チベット相互入国法」とは、「アメリカの政府関係者、ジャーナリスト、NGO、市民によるチベット入境促進のための法案」であり、チベットへのアメリカ国民の入境を拒否する中共政府の高官のアメリカへの入国を拒否する法案なのです。

この法案は先ず9月25日にアメリカ下院で満場一致で可決され、上院に回っていたものです。

国務省のローラ次官補代行は、「チベット人仏教徒が強制失踪、身体的虐待、恣意的拘束、逮捕の対象となっているという報告が続いています。また中共政府はチベット仏教の高僧の転生者の選定、認定、崇敬については自身に決定権があると主張し、高僧の宗教教育を監督しています。われわれはチベット人のための真の自治が存在しないことに依然、懸念を抱いており、チベット人の権利を抑圧せず、独自の宗教、言語、文化伝統、慣習に対する制限を止めるよう中共側に定期的に主張しています」と以前から述べています。

アメリカ国際開発庁(USAID)は、2012年からインドとネパールのチベット人コミュニティを健康と教育システムの面で支援しております。それはインドとネパールのチベット人学校75校で21000人以上の生徒を対象に職業訓練を行ったほか、中央チベット政権の職員330人以上を対象に公共部門リーダーシップの分野の研修を実施し、低利の小口ローン貸与による事業の持続・振興を図るプログラムに着手し、2017年度になると同プログラムは800社以上の小規模企業を支援し、100パーセントの返済を受けたそうです。

このような実績があるアメリカだからこそ、この「チベット相互入国法案」が提起され、そして11月末に上院外交委員会を全会一致で通過し、12月15日にアメリカ議会上院で可決されたあと、トランプ大統領が19日に署名し、成立したのです。

これに対して中共側は華春瑩報道官を通して、「内政干渉で断固たる反対を表明する」などといつもと変わらぬ対応をしております。
「断固たる対応」が戦争を意味し、宣戦布告まで行く・・ということもなく、ただのアメリカ非難でしかないことはもうわかっていますから、世界はあまり気にしてはいないでしょう。

華春瑩報道官は、「(この法案は)中共側が繰り返し指摘してきたように、国際関係の基本準則に深刻に違反し、中共の内政に荒々しく干渉し、『チベット独立』分裂勢力に深刻な誤ったシグナルを発するものであり、中米交流・協力を深刻に損なう性質を持つ」と指摘しています。

そして「チベット問題は完全に中共の内政であり、いかなる外国勢力の干渉も許さない。中共のチベットその他四省のチベット族居住区域は各国の人々に開放されている。2015年以降にチベットを訪れた人々はアメリカだけで4万人近くになる。一方で、中共政府が現地の特殊な地理・気象条件などの要素を考慮して、法規に基づき外国人のチベット入りに対して一定の管理措置を講じるのは、完全に必要なことであり、強く非難すべきことではない。アメリカ側の同法案の対中非難は事実を顧みず、偏見に満ちたものであり、われわれは決して受け入れられない。アメリカ側が同法を施行した場合、両国関係及び重要分野の双方交流・協力が深刻に損なわれるのは必至だ。中共側は必ず力強い措置を講じて自らの利益を断固として守る」と述べました。

つまりチベットは各国に解放されていて、ただ特殊な地理・気象条件などの要素を考慮して、法規に基づき外国人のチベット入りに対して一定の管理措置を講じているだけだ・・と言っているようです。

ではなぜアメリカ人ジャーナリストを自由に取材させないのか、という突っ込みを入れたくなるわけですし、チベット仏教の高僧の転生者の選定、認定、崇敬については中共政府側に決定権があると主張するのか・・などと言うことにも突っ込みを入れたくなるわけです。

チベットやウイグルでの中共の弾圧はもはや周知のことになってきております。いくら中共が開かれた国と言って見ても、誰も信じないでしょう。
この「チベット相互入国法」成立についてはNHKの報道がネット上から消されています。それ一つとっても、中共の圧力を感じます。

来年は米中経済戦争がどのように展開していくか、チベット問題やウイグル問題をアメリカがどのように対処していくか、それが眼に見えてくると思います。

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