2018年12月21日金曜日

日本の失墜・ILC誘致見送りで

日本の信用とか経済成長より、緊縮と増税、そして「円の番人」などと述べている財務省の悪影響は、遂に日本の信用失墜にまで及びそうです。

次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」を岩手・宮城両県の北上山地に建設する構想で、日本学術会議の検討委員会は19日、「誘致を支持するには至らない」とする否定的な回答を決定したそうです。

その理由が、「巨額費用が他分野の科学研究予算を圧迫するのではないか」ということで、「科学は物理学だけではない」などという詭弁も飛び出したそうです。
しかし物理学が求めているILCは、その意味として他の科学分野にも大きく貢献するものであることは間違いないでしょう。

検討委員会は、予算のことしか見ていないようです。おそらく財務省の差し金の様に思いますが、産経によりますと検討委には加速器を使う素粒子物理学の専門家がほとんどいないそうです。

2008年9月、ジュネーブのCERNで直径訳27kmという大型ハドロン衝突型加速器(LHC)が完成しました。
素粒子の衝突実験は、そこから生まれてくる新しい素粒子を発見しようと言うもので、それがどのように人類に役立つかは生まれて見なければ判りません。
しかしなかなかこの実験はうまくいきませんでした。そこで2015年5月、それまでの8兆電子ボルトから13兆電子ボルトに上げて実験を行い、ヒッグス粒子発見の直前まで行ったわけです。

ヒッグス粒子とは、1964年にピーター・ヒッグスが提唱した素粒子で、素粒子に質量を与える素粒子ではないか・・というものです。
これを追求した現代物理学が、精度的に円形の加速器ではダメで、どうしてもリニア加速器が必要との結論を出したわけです。

この追及は、質量の合理的な説明をするためのヒッグス機構という理論体系を構築するもので、その理論内で「ヒッグス場」や「ヒッグス粒子」が言及されているという関係になっているそうです。

理論物理学では進んでいるヒッグス機構の研究ですが、まだ仮説になっております。実証実験が出来ず、ILCが必要になって来たわけです。
そこでその実験場の誘致に、日本の岩手・宮城両県の北上山地が選ばれたわけです。
掛かる費用は8000億円であり、比較的に安い物理学の実験装置です。租かもこのうちの約3000億円は欧米が出資し、日本は5000億円でいいというサービス価格です。

日本が何故半分以上出すかと言えば、日本に作るからであり、使ったお金は日本国内に回ります。つまり景気の底上げをするわけです。
装置の作成は主として日本の企業が受け持ちます。組立にかかった費用は企業の収入となり、うまく行けば税収として日本政府に戻ってきます。

あまり観光資源の無い北上山地です。しかしここにILCが出来れば、それ自体が観光資源になり得ます。物理学者も協力して、ヒッグス粒子の判りやすい解説をしながら、その実験模様を公開すれば、観光資源としての収入も得られるはずです。収入が得られるならば、そこから税収も得られるはずです。

ILCによって国際物理学会が北上山地で行われるようになるでしょうし、そうなればホテル業などもうるおうのではないでしょうか。
もちろん収入があれば税収もあるわけです。

財務省は「国の借金が1000兆円」などと言いますが、国の資産がどれくらいあるかは決して言いません。しかし借金がある以上それを貸している者がいるわけです。そしてそれは日本国内にいる方々で、だから円建て借金なのです。

財務省が発信している「お金が無い」は自分たちの裁量で出せるお金が無いと言うだけの話です。つまり財務省が他の省庁を配下に置くべきお金が無いと言うだけの話です。

そんなことは日本の外から見れば明快なことで、現在一番資金的に余力があるのが日本であることは、物理学者達と言えども知っている訳です。
だから「ILC?、そんなものを作る金はない」といくら言っても国際物理学会には通用しないわけです。

日本学術会議の検討委員会の裏には財務省が居ることは間違いないでしょう。財務省は学術会議の全体の予算を決めて、それの分配と言う形にしているのだと思います。国債でもなんでも発行すればお金は出てきます。単に数字上の問題だけです。
予算枠を決めて締め上げるのは、財務省が他の省庁の上位省庁だという証を示したいだけではないでしょうか。そこには日本の未来を見据えた戦略的資金供給の構築も無ければ、日本国の世界的責任に対する行動規範もありません。無能な役所と化した財務省があるだけです。

やがて財務省は財務大臣と財務担当のコンピュータシステムの置き換わるでしょう。それまでの辛抱だとは思いますが、それにしても今の財務省の国家意識の無さにはあきれ果てますね。

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