陳情者7人の一人、袁影さん(53才)は、両親が残してくれた唯一の財産である自宅が当局に壊されたとのこと。おそらく何らかの開発の事情で政府が強制立ち退きを勧告し、それに従わなかったことで壊されたのでしょう。
保証金はまったくもらえず、抗議した妹も拘束されたそうです。そこで他の同じような被害者と一緒に陳情を繰り返していたということです。
知人に権力者などが居て、彼らに賄賂を支払っていれば何とかなったのかも知れませんが、それをしない彼らは、「民政省と裁判所、新聞社などを回ったが、全く相手にされなかった」そうです。
「この国は腐りきっている。絶望感で何度も死のうと思った」と述べていますが、どうやら自殺しなくても、当局が死罪にしてくれるかも知れません。
習近平国家主席の6月訪米の下準備のために、ドニロン補佐官が北京に来ていることをニュースで知り、陳情者仲間と相談し、米大使館を訪問しようと考えたようです。
「習主席との会談で中国の人権問題に触れてほしい」などの内容を手紙に書いて、アメリカ大使館に向かう途中で、打ち合わせの電話が盗聴されたらしく、宿舎を警察に急襲され捕まってしまったとか。
うまく逃げた数名が、徒歩で米大使館前にたどり着きましたが、待機していた私服警察官に捕まってしまったそうです。
捕まった袁さんらは「社会治安を乱した」という罪なるそうですが、国家反逆罪で公開銃殺ということも中共ならやるかも知れませんね。
それにしても何故アメリカの大使館に直訴しようとしたのでしょうか?
現在のアメリカは中共からの莫大な借金で首を押さえ込まれています。問題を知りつつも中共とは波風を立てたくないはずです。日米安保の対象の尖閣問題なども、腰が引けています。まるで「悪者に毒を飲まされて動けなくなったスーパーマン」のようなアメリカなのです。
そこに直訴状を出すことに成功しても、何の意味も無かったかも知れませんね。
中共政府の腐敗は、華人の無宗教性と、共産主義の権力私用傾向が合体したものです。
無宗教は、現実主義を通り越した現在主義、すなわち「今がよければそれでいい」という意識となり、未来に対しては拝金主義となります。
別に華人でなくてもそうなるわけで、現在の日本においても経済成長を抑制し、お金の価値を維持しようなどという価値観は、それに近いものではないでしょうか?
華人の場合、その価値観で4000年を生きてきたのですから、そう簡単には直らないでしょう。
例えば、人民解放軍の385機のミグ15戦闘機が、2007年に装備更新に伴う後送処分にために調べたところ、25機に減ってしまっていた事件。360機はアルミ合金として企業に密売されてしまったということです。誰かが私腹を肥やしたのでしょう。軍隊でもこのようなありまさまだということです。
権力というものを確保すると、それを眼いっぱい私腹を肥やすことに使い、上位権力には賄賂を支払って「見ないように」してもらい、下位からは存分に賄賂を取るという仕組みです。
ですから、アメリカに直訴しようとした彼らは、いわば華人の常識への反逆者ということかも知れませんね。それをひっ捕らえて罪人にするのですから、まあ善悪が反転しているような社会です。
権力に迎合し、権力を振り回すわけですが、権力とは「巨大なもの」という暗黙の了解あるようです。自分より大きいものにはへつらい、小さいものには威嚇する・・・動物的感性です。
小さいことが悪なのでしょうか? 日本人を蔑視する言葉に「小日本」というのがありますが、これが蔑視になるのは華人の感性で、日本国民にはピンときていません。(小が大を屈することこそ、日本の武道であり、美学ですからね)
華人は自分を大きく見せるために、誇大な表現をします。それが結果的に「嘘つき」という評価になるのですが、まったく気にする様子はありませんね。そしてやがて誇大妄想となり、その帰結が中華思想になるというわけです。
人民解放軍の軍拡も、見ていると巨大化が原則です。日本は軍備を持たず、自衛のためだけの小さい武力装備しかしていません。それに大して中共は莫大なお金をかけて軍備を増強(巨大化)しました。
この大小差で、日本は中共に屈服しなければならないというのが華人の常識(平和主義)です。それなのに屈服しない小日本は非常識であり、華人の感覚からすれば悪徳国家(闘争主義)というわけです。
国交正常化以降、日本は中共の近代化にお金を出し続けてきました。華人の常識では、それは当然のことで、今後も永久に続けることが正義というわけです。
尖閣諸島も沖縄も、日本は大きくなった中共に「差し出すべきもの」というのが彼らの本音の主張ではないでしょうか?
我々は、この華人の感性をよく咀嚼し、利用しながら世界の中で中共(中華思想)を追い詰めていく戦略を取るべきでしょう。
いや、もう安倍首相は、その方向で動き始めているようですね。