やってしまったからしょうがない・・・と言えばそれまでですが、どうも釈然としない辞任劇ですね。受け取ったお金は100万円、それが犯罪だと言う認識は全くなかったようです。
この事件、「あっせん利得処罰法違反」という罪になるようですが、今の所はまだ疑惑です。
事件のあらましは、まず「独立行政法人都市再生機構(以下URと記述)」と業者の間に発生した道路用地買収をめぐるトラブル(産業廃棄物処理に関するもの)に対して、甘利大臣の公設第一秘書がUR側との交渉に介入し、URに2億2000万円の補償金を支払わせたことから始まるようです。
業者はその謝礼として公設第一秘書に500万円を謝礼として支払ったそうです。このうち400万円は、「自民党神奈川県第13選挙区支部(代表者は甘利氏)」に寄付として納めました。ところが、この支部の政治資金収支報告書には、寄付100万円の記載しかなかったそうです。
その後甘利氏は業者からトラブルについての説明を受け、2度にわたって50万円づつ計100万円を受け取ったと言うものです。
この一連の流れ、古典的とも言える「口利き」での謝礼金受け取りということになります。「政治とカネ」をめぐる問題で2002年に法律が制定され、2003年に施行された「あっせん利得処罰法」に抵触する犯罪となるわけで、そこを「週間文春」の記事では、「甘利大臣の秘書が『口利き』を平然と行って、業者から金をせしめていた。しかも、大臣自身も関わったり、現金を受領したりしていた」ということになったのです。
しかも文春側は、甘利大臣側と業者とのやり取りや「口利き」の経過に関して、録音や写真等の確かな証拠もあると言うわけです。
この都市再生機構(UR)というものは、関東大震災の義捐金をもとに大正13年に設立された「同潤会」にそのルーツがあるようです。
敗戦後、この同潤会はGHQによって解体させられ、その後継として出来たのが特殊法人・日本住宅公団です。
この公団はアパートなどを次々と建設し、住宅に困窮する勤労者のために住宅及び宅地の供給を行ってきましたが、住宅・都市整備公団法が1981年に成立したことで解散、そして新たにできた都市再生機構(UR)に業務が引き継がれたと言う経緯です。
役員の中に、国土交通省から来た人とか、財務省から来た人などが居ますから、なんとなく天下り先のような気もしますが、適任の方々と言えばそうかも知れませんね。
この機構の目的として、「都市再生の構想・企画、諸条件の整備等のコーディネートや、パートナーとしての事業参画など、民間事業者の方々へ新たなビジネスチャンスをご提供する」と理事長が語っておられますが、不動産の取引などには「裏社会」との関連も多く、きれいごとでは済まない事案も多いかと思います。
URから購入した土地に産業廃棄物が多く残っていて、その処理に莫大な費用が掛かってしまった業者が、それをURに訴え、トラブルとなって「口利き」を依頼してきたようなことだったのかも知れません。
このような場合、よくダーティビジネスの方々が割り込んできて、それが裏社会のビジネスとして多額のお金が流れ込むこともあったのではないでしょうか。
しかし今回は甘利大臣がその調停に入ったため、裏社会にお金が流れず、その腹いせとして、甘利大臣を嵌める計画を立て、週刊文春を誘ってこの一連の筋書が動いたのではないでしょうか。
そうでなければ、金銭授受の時の録音とか写真などがあるわけがない・・ように思います。
評論家の屋山太郎氏は、「甘利氏の疑惑を告発した『ネタ元』とタッグを組んで写真を撮ったり、録音したりするとか、はじめから甘利氏を罠に嵌めて『事件』にしてやろうという魂胆が見え見えだ。」と述べております。
また、屋山氏は「国会で安倍政権を責める材料が何もない野党にとって、甘利さんのスキャンダルは絶好のネタだった」として、「ところが、甘利さんは弁護士に調査を依頼して、あっさり辞任を表明した。ぱっと身を引いちゃった。疑惑の当事者が辞めちゃったから、もう国会に呼ぶわけにだっていかない。」として、甘利さんの辞任を戦術としてうまいと述べております。
そして、「甘利さんや菅さん、この2人には邪心なく、日本を良くしたいという一心で政治を動かしている。これだけは確実に言える。今回のスキャンダルで野党がいくらあがこうとも、今夏の参院選にはほとんど影響しない」と述べました。
屋山氏によりますと、「甘利さんに復帰のタイミングがあるとすれば、安倍さんが首相をやっている間しかない。1年ぐらい冷や飯を食って、それから重要ポストに復帰するかもしれない。」と言うことです。
政治には常に裏があります。そしてその裏に居る奴が売国者だと、超限戦を戦う中共などがそこにつけ入ってきます。
まあ、総務会長の二階俊博氏のような、大衆の面前でのパンダハガー(パンダを抱きしめる人=親中派)にも困りますけどね。