トランプ政権は、8月23日、ついに対中制裁第二弾を発動しました。中共の知的財産権侵害を理由とした追加関税です。これで第一弾と合わせて中共からの輸入品(特にハイテク商品)500億ドル分の高関税が掛けられたことになります。
そしてさらに第三弾の検討が進められています。今度は2千億ドル(約22兆円)相当への大規模制裁となります。これが発動されれば、「世界の工場」としての中共の立場は壊滅するでしょう。
このアメリカが仕掛ける貿易戦争は、今回の「北戴河会議」でも最重要課題となったようです。習近平主席は、この責任を取らされるかと思いきや、「今、党内対立の激化は米国を利するだけだ」という習主席の主張で、責任追及だけは逃れたという噂です。
現在は22日から再開された次官級協議が焦点になっているとか。
アメリカ側は、「関係省庁(ホワイトハウスも)が一丸となって知財侵害や米企業への技術移転の強要をやめるよう中共側に強く迫っている」ということです。
対する中共側は、手詰まり感が強くなっているようです。
習政権は、「米中貿易戦争を望まないが、恐れてはいない」などと述べておりますが、中共の株は下落傾向が続き、経済が悪化すれば社会不安を招きかねない状況にあるということです。
中共側は160億ドル相当の報復関税の対象に原油も挙げていましたが、原油価格上昇による中共国内の経済へのダメージを懸念した結果、原油は外さざるを得なかったとか。
アメリカ・トランプ政権は、さらに為替問題についても問題を提起しているようです。貿易摩擦の悪影響を補うため、通貨・人民元を中共当局がドルに対して安く誘導しているとして、中共の高官に迫っているとか。
この対米輸出品の関税が引き上げられている時、元高ドル安になれば輸出品の価格競争力はますます落ちてしまいます。
中共側は「為替操作はしていない」との立場を崩していないようですが、アメリカ側は納得しないでしょう。
まるで大東亜戦争の前の日米交渉に似てきております。まだ最終勧告の「ハルノート」は出ておりませんが、もしかしたら「ハルノート」に匹敵する最後通牒が、2千億ドルの大規模制裁かも知れませんね。
あの時の日本と違うのは、中共の手詰まり感からの脱却は、戦術としてのクリンチ作戦です。(真珠湾攻撃は出来ないのでしょうね)
ボクシングの選手が打たれて疲れてくると、相手に抱きつき手を止めて、しばらく息をつくという作戦。ルール違反ではないようですが、観戦する側から見るとみっともなく面白さもありません。
ですからレフリーが引き離すわけで、このクリンチを中共がアメリカ側に仕掛ける可能性があります。
8月22日の環球時報に、「米中とも対話の意思があることを内外に示す必要に迫られている」として、次官級協議ではなく米中首脳会談に持ち込もうというわけです。
アメリカの中間選挙のあとに開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の場か、G20(20カ国・地域首脳会議)の場に会談を設定し、北朝鮮問題での協力強化などをちらつかせながら、休戦への道筋をつけるというクリンチ作戦です。
しかし北朝鮮問題の協力強化が本気で出来るのかどうか、むしろ現在は約束した経済制裁をやっていないことを暴露する結果になるのではないかとも思えませんか?
トランプ政権が追及しているのは、北朝鮮の核開発を「完全に、不可逆的に廃止させること」です。中共が経済制裁を強化すると約束しても、抜け道がいっぱいあってその検証ができません。
海自や海保からの瀬取りの情報は十分入っているでしょうから、中共側がどのような方法で制裁を骨抜きにしているかはトランプ政権には判っているでしょう。しかしそれは表面には出せませんね。
そして北朝鮮が抱える「拉致問題」。中共が制裁破りをしているため、北朝鮮は日本に対して強く出ています。
金正恩委員長の自由になるお金が出てくるからです。
日本に利する協力はしたくないのが本音の中共にとって、この交渉には辛いものがあるようですね。
アメリカは中共に対して、貿易摩擦だけを問題にしているとは思えません。東シナ海の中共の根拠なき主張や、南シナ海での人工島基地化の国際法違反に対して、制裁処置を取らなければならないことは確かです。
しかし世界の警察官が居なければそれが出来ないことを、世界中が認識したからでしょうか、トランプ政権は対中強硬に出ております。
米中首脳会談を中共側から申し出るなら、その場で東シナ海や南シナ海のこともアメリカ側から提起すればと思いますけど。
この東シナ海と南シナ海の問題は中共側は拒否するでしょう。譲歩できる問題ではないからです。台湾問題も同じです。アメリカは「軍事力を使わず、台湾国民の自由意思での併合は認めたことは事実だが、台湾国民がそれを拒否するなら話は別だ!」と言えばいいのではないでしょうか。
また、チベットやウイグルの問題もあります。すでにペンス副大統領が提起した「中共のウイグルにおける人権弾圧」は、もはや世界中が知っている問題です。(我が国の国民にはあまりなじみがないでしょうが、それは単に日本のマスコミに「意図的に報道しない体質」があるからです)
オーストラリアの親中派・ターンブル首相も最近は中共への警戒感を強め、あの中共にべったりだったドイツも最近は反中勢力が伸びております。
ロシアもアメリカのF22戦闘機に匹敵するスホイ57を来年配備する計画です。以前、プーチン大統領が「最新の軍事技術は他国には出さない」と述べておりましたから、中共にとっては脅威でしょう。
周辺の親中国に反中意識を振りまき、アメリカを復活させ、国内経済はガタガタの中共です。その中共にすがる韓国と北朝鮮。
さて、このクリンチ戦略は功を奏するでしょうか? アメリカは中共が先に軍事行動を起こすまで関税を掛け続けるかも知れませんよ・・・
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