2018年8月24日金曜日

JAXAの月面離着陸計画

JAXA(日本・宇宙航空研究開発機構)は、8月16日に有人月面着陸機を開発する構想を明らかにしました。
アメリカが2020年代に建設を目指す月基地への参加で、その中で月面離着陸機の開発・製造を担当するというものです。

この計画は、月の回りを回る宇宙ステーション(月基地)を建設し、そこから月面に降りたり戻ったりするシャトルになるようです。

地球からはアメリカ製、あるいはロシア製の重量級ロケットで打ち上げ、月基地まで運搬し、そこで組み立てて運用するのでしょう。
月表面に人類が滞留するかどうかは、この調査で解ってくると思います。重力が小さい月面よりも、周回軌道にある月基地の方が快適かも知れません。

この月基地が運用に入り、ここで様々な宇宙機を組み立てられるようにしてから、その次のステップとして火星を目指す計画のようです。
つまり月基地と言っても、地球から持ってきた様々な宇宙機を繋留しておく場所のようなものですね。

この計画は、国際協力で行われます。
NASA、JAXA、ROSCOSMOSなどが作る「国際宇宙探査協働グループ(ISECG)」がこの計画の母体となっています。
そして国際宇宙探査協働グループは、国際宇宙探査フォーラムが「閣僚クラス」の会合であるのに対して、実施機関が参加するグループです。
参加組織は、現在のところ・・・1)米国航空宇宙局 2)ロシア連邦宇宙局 3)英国宇宙庁 4)日本・宇宙航空研究開発機構 5)欧州宇宙機関 6)カナダ宇宙庁 7)イタリア宇宙機関 8)フランス国立宇宙研究センター 9)ドイツ航空宇宙センター 10)インド宇宙研究機関 11)韓国航空宇宙研究所 12)ウクライナ国立宇宙機関・・・という12の機関に、どうやら中共の組織も加わるようです。

この計画は、もう「子供に夢を・・」と言ったような半端な計画ではないようです。提起された宇宙探査ロードマップには、1)共通目的と目標 2)長期の有人探査戦略 3)探査準備活動の調整、といった立案調整機能が必要であり、それを行う組織と考えれば良いでしょう。

そして「共通の目的と目標」には、1) 探査技術・能力開発 2)探査広報活動 3)地球の安全確保 4)人類の活動領域拡大 5)有人探査のための科学 6)宇宙科学、地球科学、応用科学 7)生命探査 8)経済拡大、と8つの目的が掲げられています。

グローバル経済があっという間に終焉を迎えました。国境をなくすサヨク・リベラル活動に乗っ取られたグローバル指向ですが、その言葉に変わって再び「国際・インターナショナル」という言葉が帰ってきました。
五輪を見てもサッカーワールドカップを見ても、国家という単位は無くなるわけもなく、それを生かして国際協働するところに意味があると言う訳です。
ちなみに国際連合はインターナショナルではなく「ユナイテッドネーション(連合軍)」であることを意識しましょう。

宇宙開発は夢であった時代が長かった方々は、「このようなことにお金を掛けるより、福祉関連の・・・」などと言いたくなるようですが、このようなことを行うことで福祉関連の技術なども完成していくわけです。

戦後、我々は生産性を高める苦労をしてきました。その結果、製造業などは人手を掛けずに相当の生産が可能になっているはずです。その結果製品コストは下がりましたが、人の仕事場が減りました。
宇宙開発は高度な技術を必要とする「人間の仕事場」を提供することでしょう。

また、経済的に見ても宇宙は無重力という新たな生産環境を提供してくれます。地球では重力に邪魔をされて不可能だった生産物の量産が出来る可能性があります。
そしてまた、この組織から提供されるデータは映像などの商品にも出来るでしょうし、これまでは特殊撮影とかCGで見せていたものを、実写で見せるわけです。

また、無重力実験室では「重力」の謎が解明され始めるでしょう。重力ベクトルの操作が可能になれば、もしかしたら少量のエネルギーで移動する技術が生まれるかも知れません。いわゆる空飛ぶ自動車(翼が無くても飛べる)も出来るかも知れませんね。

宇宙への一般の旅行も可能になるでしょう。地球周回軌道のステーションから、月周回ステーションまでの旅行なら、あと100年くらいで可能になると思います。
個人単位で初めて宇宙と向かい合うことが可能な時代、自分と宇宙とをまじかに感じることで人生観も変わるのではないでしょうか。

その他、現在は判らない新たな情報ももたらされるでしょう。その情報も価値を持ちます。

地球から一歩外に出れば、そこは宇宙。そこにあるのは無限の広がりです。人類が居られるのは月の表面のようなところだけ。地球と同じ環境は、おそらく近傍には無いでしょう。
だからこそ、宇宙では人類が協働できるのではないか・・・そんな思いも致します。
人類は宇宙に出ても戦争をするのか、何のために・・・無限の広がりの中で、場所の所有に意味があるとは思えません。地球に近い月の方が、火星より価値があるなどという尺度は生まれないような気がします。

そして「共通の目的と目標」の最後、8番目にある「経済拡大」が重要な点です。
グローバル経済の失敗は、ある意味では地球が有限であったことです。膨らんだ経済はお金を締め上げてしまいました。
つまりグローバル化したお金はこのままでは死んでしまうと言うことです。この行き詰ったまま「核戦争」か何かで人類を石器時代に戻すのか、それとも宇宙空間に飛び出してさらに進化するか、問題は我々人類の意思としてどうするかという問題だと思います。

現在のままではいられない地球なのです。「温暖化は人類の原罪」ではないと思います。地球と太陽の関係から、熱くなったり冷めたりするのが地球で、100万年単位くらいで変化しているのではないでしょうか。
ですから「地球の(人類のための)安全確保」は必要不可欠な宇宙事業のテーマです。

月は地球の衛星ですが、人類が行く月、そこは人類にとっては「宇宙」なのです。こうして宇宙に一歩出れば、我々人類は他の惑星でも積極果敢な活動をすることが可能になるのではないでしょうか。

世界経済のブレークスルーは、戦争よりも宇宙開発の方が良いように思いますけど・・・

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