2017年1月21日土曜日

トランプ氏就任、義と善の対決

トランプ大統領が誕生しました。日本時間で21日の午前2時です。
就任式の会場の周りでは、反トランプのデモが続けられていましたが、就任式は無事に過ぎたようです。

なぜ反トランプ派が未だに騒いでいるのでしょうか。恐らくトランプ大統領によって既得権が危機にさらされる集団(マスコミや一部の金融界など)ではないでしょうか。困ったものです。

経済評論家の三橋貴明氏は、「これは『グローバリズム』と『グローバル化に疲れた国民』の対決だ」と述べております。面白い表現ですが、私には「義」と「善」の対決のような感じがします。

「義」とは、正義の「義」です。また、「善」は良き行いの「善」です。

「愛」は「善行」を示唆し、そして人類社会をより良きものにしようと努力することです。しかし「愛」の反対の「憎悪」がついて回ります。「憎悪」が悪魔的ふるまいを誘発します。即ち「悪」は「善」の反対側にあるわけです。

「義」は「善と悪」とは関係ありません。人の道にかなった行いを示唆します。家庭や勤めなどの集団における「義」が「忠義」であり、社会の為になるのは「公儀」であり「大義」になります。
全てを含めて「正義」ということでしょうか。

例えば「忠臣蔵」というドラマがあります。掟に反して刃傷沙汰を起こした赤穂の殿様が切腹となり、その家来たち(赤穂浪士)が「忠義」を掲げてかたき討ちをするドラマで、史実に基づいたお話、有名ですね。

敵は吉良の殿様で吉良上野介。元禄15年12月14日の深夜、本所松坂町にあった吉良邸に押し入り、吉良上野介を殺害、仇討ちを果たしますが、法的立場から見ると犯罪となります。
しかし時代は綱吉将軍の治世。犬公方で庶民から激しい反発を食らっていた綱吉政権に対する国民感情もあって、赤穂の仇討ちは赤穂浪士の方に「義」があったと巷で評価されるのです。

ですから赤穂浪士は、「赤穂義士」と呼ばれていたわけです。
「善悪」とは全く違う「義」に対する日本国民の評価がここにあったわけです。

「義」に対する反対語は「不義」です。婚姻した女性が夫以外の男性と関係を持てば「不義者」として処刑されます。その理由は「家」という集団を破壊する行いをしたからです。
つまり「義」とは、所属する集団に対し、その維持発展に貢献することであり、その集団を破壊する行いが「不義」なのです。
集団の維持発展ですから「やくざ社会」にも「義」は存在します。「義理と人情」が「義と善」の対立を意味しているのではないでしょうか。そして常に義理の方が重たいのです。

トランプ氏は「アメリカの雇用を増やす」と述べております。これは「アメリカの再建」という意味でしょう。つまり国家という集団をもう一度取り戻そうという発想で、「義」となります。

「愛」から始まる「善行」はあくまでも個人主義です。ですから「愛」では国家は作れません。日本語で「愛国心」と言いますが。これはLoveではありません。「Patriotism」であり、「義」の意味に近いのではないでしょうか。

反トランプの立場を取るグループは、「共産主義」とか「グローバリズム」、「金融資本主義」などを標榜する人々のような気がします。愛があれば地球は救われると勘違いしている人たちです。
これらはいずれも「国境という壁を出来るだけ低くし、出来たら無くしたい」と考えるグループです。この夢が破壊されたのは、欧州における「移民の大量受け入れ」でした。メルケル首相は「善行」としてこの受け入れをEU参加国に命じたのです。

たしかに「善行」でしょうが「義」に反します。それは結果を見れば明らかで、移民の傍若無人な行為で国家財政は破綻するかも知れない情勢です。トラブルが限りなく発生し、国家を維持する「義」が失われて行きます。

このような現実が、英国のEU離脱の選択となり、アメリカでトランプ政権を誕生させたのだと思います。
反トランプ派は、「愛と善行」を掲げる人達でしょう。ですから「義」を唱えるトランプ政権を「悪い政権」と見なしているようです。
しかし「愛と善行」だけでは「国家」は維持できません。

トランプ大統領は就任演説で、「米国を再び偉大にする」と訴え、「アメリカ国民は、人々のために国を再建する国家的な取り組みに参加する。ワシントンから国民に力を取り戻す」と述べております。中心はアメリカ国民であり、世界市民などではないのです。

そしてこの時抗議デモなのでしょうか、黒服を着た集団がゴミ箱を倒したり、窓ガラスを割ったりする騒動を起こしております。
黒い服と覆面は、アメリカ国民であることを隠し、世界市民とでも言いたいようですね。

就任時のホワイトハウスのウェブサイト上で、戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱方針を正式表明したトランプ政権、さて安倍首相との会談はどのような展開になるでしょうか・・・

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