2019年5月30日木曜日

EV充電規格の戦争

まずいことに、日中で新たなEV充電規格を決めたそうです。
現在、日本のEVの規格はすべてがチャデモ(CHAdeMO)方式です。そこに中共を巻き込んだ「チャオジ(ChaoJi)」という規格が発表されたのです。

中共は「GB/T」と呼ばれる独自の規格を持っています。もちろんチャデモから盗んだ規格で、現在はチャデモに合わせるアダプタをつけて充電しているそうです。
この中共を巻き込んで、日本が新たに国際規格としてのチャオジを開発し、インドなどにも規格統一を働きかけているようです。

欧州では「コンボ(Combo)」方式があり、すでに標準化争いが激化していたところですが、日本が中共を抱き込んで世界統一規格に踏み込んだことがまずいわけです。

ご承知のように、現在アメリカは中共との間で経済戦争を戦っています。戦争とは過去から現代に至るまでほとんど経済戦争なのです。この決着がつかなくてどこかが軍事力を行使したところから戦闘による戦争に変わるわけですが、それは経済戦争が政治的に破綻した場合です。

戦争ですから経済的利益は後回しにされます。グーグルはアンドロイドのファーウェイに対する提供を新バージョンから中止すると発表しました。
グーグルにとって、これはビジネス的にはマイナスです。しかし損をしてでもファーウェイへの提供を中止するのは、これが戦争だからです。

この中にあって、日本が中共との共同開発という名目でチャオジという規格を発表したことは、アメリカの規格を欧州のコンボ規格に追いやることになるかもしれないからです。(あるいはISO規格として新規に作るかも)
しかも、アメリカは現在、中共との共同開発をする企業に対する制裁も考えています。もちろん日本企業の中共寄りをやめさせるためです。

トランプ大統領は中共からの輸入品に25%の関税をかけることを決定しましたが、これも考えようによっては日本企業に中共離れを起こさせるための政策ではないかとも見えます。
日本企業は、日本からの対米直接輸出をやめて、中共を使った間接輸出にした経緯があります。それを中共に利用されて完成品が中共製になってしまったわけで、利益だけが吸い取られているわけです。

しかし25%の関税となれば、これらの日本企業も考えるわけで、さっそく中共から別の国へのサプライチェーンの変更が行われ始めました。
村田製作所やカシオ計算機がタイの工場へ生産拠点を移し始め、中共の工場では中共国内向けを生産するとか、リコーはコピーやプリンターなどの米国向け生産に関しタイへの全面移転を決定しました。

中共に居る日本人従業員は人質として足止めを食らい、場合によってはスパイ罪などで処刑されるかも知れませんが、このような犠牲者が出てもアメリカは後には引かないでしょう。なぜならこれは経済とは言え戦争だからです。
企業、そしてその従業員はいやでもこの戦争に巻き込まれます。それが経済戦争です。

EVといえばリチュウムイオン充電池が決め手となる技術です。電池は改良されて、短時間での急速充電や、長寿命化が出来てきました。ですから充電では今以上に高圧と大電流を流しますから、今の規格を変えなければならないのは判りますが、チャオジ規格が受け入れられるかどうか、タイミングが悪すぎます。

充電池の性能アップを可能にしているのはレアメタルの使い方です。
中共は再びレアメタルの輸出禁止令などを出すようです。尖閣での漁船体当たり事件の時に、日本に対するレアメタル輸出禁止令を出しましたが、その後再びレアメタルの世界への供給をしていた中共です。
中共産のレアメタルは価格が安いために、他の国では買うしかなかったわけですが、それを対米経済戦争の手段に使おうという流れです。効果は無いと思いますけど・・・

EVの技術は、発展すれば自動車と言うよりもロボットの技術に集約していくでしょう。コントロールは無線通信で行うしかなく、大気内交信や対宇宙交信などには高周波が使われるでしょう。その先陣となるのが5Gです。
ですから5Gをめぐる米中戦争が激化するのは当然ですね。アメリカは「安全保障上の問題」として企業経営での利潤よりも優先するでしょう。

こんな時に「チャジオ」を発表すれば、中共の対米戦の戦術と受け取られても文句は言えません。やがて応戦の攻撃があるはずです。
それが日米自動車協議に表出する可能性も大きいのではないでしょうか。

我が日本の企業には、経済戦争の意識がまだ低いようです。
経済戦争とは、相手の受ける損失と自国の損失のどちらがダメージが大きいかを判断して攻撃するわけです。「アメリカの対中輸入に関税25%」と言うのも、アメリカ側の損失を知った上での攻撃ということで、敵側・中共の損失の方が大きいと見ているわけです。

アメリカ側の損失に我が日本の企業損失も含まれているのではないでしょうか。
すでにいくつかの中共を商圏として活動していたん本企業の株価が下がっています。アメリカ・トランプ政権はさらに対中経済制裁を続けるでしょう。

中共はアメリカ企業との関係を強めていました。それは貿易摩擦の対応ならばよかったのかも知れません。相互利益のための落としどころが見つかるからです。
しかし経済戦争となれば、損失を相互が与え続ける対応となります。相手をつぶすことが目的ですからね。アメリカ留学の中共の学生や研究者は追い出されています。同盟国でも中共と共同開発などを行っていれば攻撃の対象となるでしょう。経済戦争ですから。
すでにアメリカ側は「安全保障上の問題」と明確に言っているではないですか。

この意味が判らないと、我が国の企業は巻き込まれてつぶされます。気を付けましょう。

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