2019年5月15日水曜日

核心的利益の愚

中共が使う言葉に「核心的利益」というものがあります。意味としては「国家主権、安全保障、領土の保全及び自国の開発に関する中華人民共和国の国家利益を指す政治的な用語」と言う訳ですが、トランプ政権はここに攻め込んでおります。

「台湾は中共の核心的利益」とか「東シナ海は中共の領土であり核心的利益がある」などの言葉をよく聞きます。
最近の我が国の新聞にも「中共、革新的利益は譲らず」などの言葉だけが躍っておりますが、すでに外貨準備がほぼゼロとなった中共には勝ち目はないでしょう。

この核心的利益に匹敵する言葉が、大東亜戦争・太平洋戦線で我が国が使っていた「絶対国防圏」ではないでしょうか。
鉄が無くなり、石油が無くなり、つまり戦うための資源も金も人材も無くなってからも、大日本帝国軍は「絶対国防圏の死守」を叫んでいました。
そのために太平洋諸島で玉砕した日本の将兵が如何に多かったことか・・・

今回の米中経済戦争に使われている「核心的利益」は、この「絶対国防圏」に似ているところがないでしょうか。
あの時アメリカ軍が日本の絶対国防圏を次々と落としていきました。最後に硫黄島があって、そして沖縄が戦火にまみれ、本土では明らかに戦争法違反の絨毯爆撃がなされ、最後に核兵器が使われたのです。
今回も核心的利益にこだわる中共に対して、アメリカとその同盟軍は「航行の自由作戦」と称して南シナ海や台湾海峡を軍艦に遊弋させています。

核心的利益の台湾も、来年の総統選挙前に親中であるべき国民党の候補者が、アメリカ・トランプ政権に秋波を送っております。

「一帯一路構想」も、外貨資金が無くなった中共にとってもはや絵に描いた餅に過ぎず、高利貸的手法で奪い取った港湾なども、売り払ってドルに変えなければやっていけなくなる日もそう遠い話ではなさそうです。

トランプ政権が中共に突き付けているものは、集約すると「自由経済圏に残りたかったら、他の自由主義国家の様になれ」と言うもので、共産主義を捨てろと言うことです。
かつて日本に対し、「軍事行動を止めろ」と言ったことと似ています。戦争をしている時に「軍事行動を止めろ」とは、「負けを認めろ」と言うことであり、中共に対して「共産主義を止めろ」と言うのは、共産国を解体しろと言っているのと同じです。

中国共産党は、中国人の価値観と一致した政治体制です。巨大な権力機構を持ちピラミッド型社会を形成します。いわゆる「タナトス(死の支配者)」構造を作り上げます。
ピラミッド社会に付きまとうタナトスは空間に対しては強いですが、時空間に対してはもろいモノです。リビドーに対する反対語ではありませんが、対比する言葉だと思います。

自由と民主主義は空間に対しては弱いですが、時空間に対しては強いモノです。なかなか決められない民主制度は、常に対案を用意するから決定が遅くなるのです。その対案が少数意見と言うものです。
多数で決めたことが若し間違っていたらどうするか、そのための少数意見の尊重なのですね。
こうして時間的に陳腐化していくものを排除し、新たな思索を取り入れられるから自由と民主主義が強いのです。

現在のまま中共が大きくなって、世界を飲み込む形となったとしても、所詮タナトス志向はどこかで崩壊します。その時が「人類の死」とならないようにするためには、今叩いておく方が良い訳で、トランプ大統領はそのことを知っているのでしょう。

次の関税25%が人々の生活に直結する衣料品やスマートフォンなどの「消費財」になることを、アメリカ国民の生活に影響が出て来ると言う報道があります。
「日用品に関税を課すのは正しい解決策ではない」とは全米小売り連盟のシェイ会長の言葉ですが、それほど中共の製品は安かったのでしょうか。衣料品に25%という高い関税を掛けても、まだアメリカで生産するより安いのでしょうか。我が国のユニクロなどはさっさと生産拠点を中共が居に移していますし、アメリカの医療メーカーも同じことをしているはずです。
スマートフォンなどはむしろ「安全なアメリカ製」という切り口で売れるはずです。そしてこうすることでさらにアメリカの雇用が生まれると思うのですけど・・・

中共に製造拠点を置く米アップルなどの製品への影響が大きいなどと述べている方も居られるようですが、さっさとアメリカに製造拠点を戻さないからで、アップルという会社だけの問題ではないでしょうか。国家たるもの、こんな私企業の泣き言で動いてはいけません。

我が日本にも同様の機8行は在ります。中共の甘言に乗って、またアップルなどのアメリカ企業を見て、大丈夫だろうとかってに思い込んで中共に莫大な投資をした企業のことです。
すっかり足元を見られて投資の継続と技術移転をせざるを得なくなっている企業もあるとか。
噂では「トヨタの為に安倍政権の対中強硬姿勢が変わるのか!」などと言っている人も居るようですね。

しかし「革新的利益」という、中共の「絶対国防圏」はアメリカによって攻略されてきています。後は時間の問題とその戦後処理でしょう。
戦後処理とは、「一帯一路構想」などの戦後処理のことです。借金だけは残りますからね。

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