産経に、国学院大名誉教授の大原康男氏が「『八紘一宇』の本義と三原発言」というコラムを書かれておりました。
3月16日の参院予算委員会で三原じゅん子参院議員が多国籍企業に対する課税問題を取り上げたとき、「現在の国際秩序は弱肉強食だ」と訴え、その後「八紘一宇」という語に言及し、「日本が建国以来、大切にしてきた価値観である」と述べてから、「世界が一つの家族のようにむつみあい、助け合えるような経済、税の仕組みを運用していくことを確認する政治的合意文書のようなものを、安倍晋三首相がイニシアチブを取り、世界中に提案していくべきだ」と主張したことを取り上げたコラムです。
https://www.youtube.com/watch?v=TCtwwOw-ByI
大原教授は、「第1代神武天皇の即位建都の詔の一節『八紘(あめのした)を掩(おほ)ひて宇(いへ)と為(せ)むこと、亦(また)可(よ)からずや』(原漢文)に由来する言葉で、本来は『八紘為宇』という四字熟語だったものを、田中智学がより語感のよい「八紘一宇」という標語にしたもの」と解説し、「『日本書紀』の神武伝承がルーツであり、昭和前期に対外政策に関わる基本理念として用いられ、公文書にもしばしば登場するようになった」と述べておられます。
サンデーモーニングの岸井成格氏が番組の中で、「戦争を美化したり正当化する言葉だ」などとして「これは国会では、本来ならば懲罰もんだと思うんですけどね」などと語っておりました。
これは明らかに東京裁判史観での発言と思われます。
昭和20年12月15日の、GHQが日本政府に交付した「神道指令」において、「八紘一宇」は「大東亜戦争」とともに「軍国主義、過激ナル国家主義ト切リ離シ得ザル」語として公文書で使用することが禁止されたわけで、あくまでもGHQの解釈です。
大東亜戦争前の昭和15年、第2次近衛内閣が発足したときは「皇国ノ国是ハ八紘ヲ一宇トスル肇国(ちょうこく)ノ大精神ニ基キ…」との一節が、「基本国策要綱(マニフェスト)」に掲載され、そして昭和16年4月からの日米交渉では、「両国政府ハ各国並ニ各人種ハ相拠リテ八紘一宇ヲナシ等シク権利ヲ享有シ…」と日本側が提示した日米諒解案にも掲載されていると言うことです。
大原教授は、GHQは「神道指令」作成時には八紘一宇について調査した形跡はないが、東京裁判の時はかなり突っ込んで議論がなされたと述べておられます。(東京裁判速記録よりそれが判る)
八紘一宇の英語訳として「eight corners of the world under one roof」という直訳から、「making the world one home」のような訳まで多様な英訳が用いられているようです。
東京裁判の判決では、「(八紘一宇は)帝国建国の理想と称せられたものであった。その伝統的な文意は、究極的には全世界に普及する運命をもった人道の普遍的な原理以上の何ものでもなかった」と明言されているそうです。
この判決は、東京裁判で日本人弁護団の副団長を務めた清瀬一郎氏が、「八紘一宇は侵略思想でないということ」の立証に成功した・・と回顧されていることから、それが反映されたものでしょう。
ですから岸井成格氏が述べる「侵略戦争を正当化する言葉」というのは、少なくとも東京裁判の判決からは出てきません。これはその後のウォーギルドインフォメーションプログラムから発せられたものではないでしょうか。
サンデーモーニングの司会者である関口宏氏の父親、佐野周二氏は、戦後GHQからウォーギルドインフォメーションプログラムに協力するよう要請されたと言われています。それが息子にまで影響を与えているとは、GHQの徹底した工作には舌を巻きますね。
連合国側にとって、「八紘一宇」はおそらく排除しなければならない思想だったのでしょう。
その理由は、現在、親日国と言われている台湾やパラオに、かつての日本が何をしたかを考えてみればお判りになると思います。
莫大な投資をしてインフラを構築したわけです。そのインフラが、その国の発展(GDPの上昇)の基礎になるからです。多くのアジア・太平洋の国が発展すれば、それが結局日本の繁栄にもつながるという思想・・つまり投資の思想がマクロ経済学に根差しているわけです。
反面、連合国側各国の投資の目的はプロフィット(利息)指向です。投資をした結果の反映から利益を求め、それを利息として支払わせることです。つまりミクロ経済学に根差した投資なのです。
ですからミクロ経済を拡大解釈すれば、国家から通貨発行権を無くし、グローバルな視野で(地球規模で)通貨発行することが望ましいわけです。
「私に通貨の発行権、管理権をくれれば他のことなどどうでもいい」と述べたのはマイヤー・アムシェル・ロスチャイルド氏(初代ロスチャイルド家当主)でした。その意志は今も活発に機能しているようです。
それは、ユーロがドイツを使ったその実験室であり、ビットコインもまたインターネットを使った実験室に見えるからです。
しかし、ユーロの行き詰まりや、グローバル経済への反発(貧富差拡大)など・・そして巷間噂されている「ISIL(イスラム国)はビットコインを使っているようだ」などの話は、このようなミクロ経済の失敗を示唆していると思います。
欧米とイスラムのテロ戦争は、「(異教徒からは法外な利息を取るが)同朋からは利息を取らないとするイスラム教」と、「すべての融資先から平等に利息を取るというユダヤ・キリスト教」の反目から始まっていると思いますが、もちろんいずれもミクロ経済に準拠しています。
国家主権である通貨発行権を使った、マクロ経済学の実践である「八紘一宇」。これを「瑞穂の国の資本主義」と位置付けた安倍政権。
一国の通貨発行とは、その国民が発行された通貨に見合った仕事を、世界に向かって提供するという国民の意志(覚悟)の表明でもあると思っております。
この通貨発行に付与される国民の「仕事をするぞ!」という主体性こそ、「八紘一宇」の本義ではないか・・・私はそう思う次第であります。
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