2015年4月2日木曜日

プーチン大統領への攻撃

このところ旧自由世界のプーチン批判が強まっています。アメリカ・オバマ政権はウラジーミル・プーチン大統領(62歳)の振る舞いを東西冷戦下での旧ソ連の行動様式に重ね合わせる見方が広がっているということです。

安倍政権はこのところこの問題に対しては黙っています。まあ黙っていた方が良いでしょう。
欧米メディアはウクライナ問題から必死のプーチンつぶしを画策していましたが。ついに昔の東西冷戦を持ち出すようになってきたのでしょうか。

ソビエト連邦が官僚主義での行き詰まりで崩壊し、その隙にユダヤ資本がロシアの権益を狙って暗躍していたのはついこのあいだのことでした。
エリツィン政権の時代にこの権益奪取は欧米が成功したかに見えましたが、そこに立ちはだかったのがウラジーミル・プーチン氏でした。

彼の強引な権益奪還策は、欧米に阿る(おもねる)ジャーナリストを暗殺し、ロンドンに居た政敵を毒殺し、ロシア権益を欧米に売っていた経営者を投獄することでした。
そして石油・ガス権益をプーチン氏の掌中に収め、政治資金として利用しながら彼の政権を盤石なものにして行ったわけです。

法により任期が切れた時にも、欧米に阿るであろう一番危険な人物を大統領に据え、自分は首相の座に居て監視を続けました。
そしてその大統領の任期が終わると、再び大統領の座に戻り、決定的に欧米・権益主義からロシアを守ってきたのです。

プーチン氏は元KGBの腕利きスパイだったそうで、欧米が打ってくる手段を知り抜いていました。だから欧米はどうすることもできなかったのです。
ソチでの冬季オリンピックが終了するまでは・・・

ソチでの冬季オリンピックが終わるとすぐに、ウクライナ問題が発生しました。欧米・権益主義の攻撃が始まったのです。
もちろんプーチン大統領はクリミヤ半島から黒海における軍事的プレゼンスを確保しようとしていることは欧米にとっても周知の事実だったわけです。
ロシアとウクライナは、日本でいえば日本と韓国の関係のようなものかもしれませんね。地理的条件は変えられませんし、そこで反ロシアのようなことばかりやっている地域と思えば良いでしょう。

ウクライナにはロシア系の人々も住んでいました。そこにロシアから多くの移民を送り込み、ウクライナをロシアに組み込もうとしたようです。しかしこれはウクライナの民族意識を刺激します。そこを欧米の権益主義に利用されたようです。

人権、自由、迫害、独裁者などの言葉が躍り、欧米マスコミは一斉にプーチン攻撃を始めました。しかしロシア国内では圧倒的にプーチン支持であることを忘れてはいけません。都市部の欧米文化に親しんだ人達は反プーチンになっているようで、そこがマスコミにクローズアップして伝えられていますが、ロシア全体から見れば大したことはないはずです。

アメリカのシンクタンク「アメリカン・エンタープライズ研究所」のロシア研究部長、レオン・アーロン氏は、対ロ冷戦について、「イエス・アンド・ノー」と答えたそうです。
その意味は、「ロシアの歴史的な使命を賛美するような新たな思想をプーチン氏が創造しようとしているのは明らかだが、旧ソ連が持っていた『資本主義と共産主義のどちらかが勝たなければならない』というような思想体系になるようなものではない」と言うもの。(ノーの部分)

この「歴史的な使命を賛美する思想」が何を指しているのか判りませんが、アーロン氏の次の言葉、「プーチン氏が権力の座にある限り、西側との対立を求め続けることだ。世界、少なくとも欧州の政治地図を変えようとする(ロシアの)力に直面し、封じ込めようとしているという意味で、われわれが冷戦で立ち向かったものとの類似点がある」(イエスの部分)によって、欧米権益主義が、それに立ち向かっているプーチン大統領だけを狙っていることが、はっきり感じ取れます。

そしてプーチン大統領のやっている、「権益主義者にとっての欧州の政治地図を変えようとする(ロシアの)力」に、暗に同調する国もあることを示しているようにも聞こえます。

権益主義とは、欧州に残る貴族主義であり、アメリカは大戦後この権益主義にウォール街で利息を付け続けて来たわけです。
そして財閥と言う形でアメリカにも貴族主義は根付き、自由資本主義の御旗の元で欧米の権益による世界支配の構図が出来上がってきたのです。
それが出来たのは、石油本位制度というドル支配体制があったからです。このエネルギー権益は今も歴然と存在しています。どうやら日本のメタンハイドレートなどの新エネルギー開発がいまいちなのは、ここからくる圧力であることも確かなようです。(原子力も石油利権の一部と考えてください)

しかし、産業革命の末期にある現在、その金利はまだ付け続けることが可能なのでしょうか。
プーチン大統領の、ロシアの権益死守の体制が「欧州の政治地図を変えようとする(ロシアの)力」のようには見えません。

金融界が今後どのような策に出て来るかは判りませんが、少なくともこれから世界的デフレの時代になるはずです。それは権益主義にとって都合がいいからです。しかし世界の一般国民は耐えられるでしょうか。

安倍政権は「瑞穂の国の資本主義」という言葉を使いました。八紘一宇のことでしょうが、これはなかなか権益主義には判らないでしょう。
経済学会は、これからミクロ経済とマクロ経済の戦いとなり、国家主権である通貨発行権とインターネット取引きの理論合戦になるような予感がします。

この決着がつくまで、プーチン大統領は大統領で居られるでしょうか。落としどころは見えているように感じているのですけど・・・

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