2017年8月9日水曜日

河野外相、マニラでデビュー

安倍首相によって、外務大臣に抜擢された河野太郎衆議院議員が、フィリピン・マニラで開催された東アジアサミット(EAS)外相会議に出席しました。

いわゆる河野洋平談話と、それに伴う記者会見での「強制連行・・いいです」という肯定したような発言によって、韓国が盛んに慰安婦像を立てていますが、「東京裁判史観」によって国家を樹立してしまった中共や韓国・北朝鮮は、河野談話にすがりつき、いわゆる「日本悪玉論」を世界中に展開しております。

その洋平氏の息子である河野太郎氏に中共が期待したのも無理もない話ですが、どうも息子は父親とは考え方がちょっと違うようです。
外相会議では中共に対し、南シナ海での「法の支配」に基づく秩序の重要性を訴えました。さらに北朝鮮に対し「今は対話の局面ではなく北朝鮮が非核化に向けた具体的な行動を示すよう実効的な圧力を強化する必要がある」と強調したそうです。

そのあと王毅外相と河野外相は会談をします。河野氏54歳、王氏63歳、年の離れた会談ですが、王氏は「(河野氏の発言は)完全に米国があなたに与えた任務のような感じがした。」と切り出しました。
そして「(あなたが)お父さんの長年にわたる外交努力を重視することを望んでいる。彼(洋平氏)が経験した歴史の教訓と、正確な意見を大切にすることを望む。」と述べ、「あなたは外交の重い責任を担っている。日本が今後進む道は、河野大臣の世代にかかっている。中共は長期的な友好関係(領土領海は別でしょうが)をつくりたいと思っている。しかし、それは互いの努力が必要だ。だから私はあなたの考え方を聞きたい」と上から目線で語り掛けてきたようです。

これに対して河野氏は、「私が当選したばかりのころから何度かお目にかかり、外相会談も、こういう形で先輩の王毅さんと面と向かって会えたというのは大変光栄です。」と切り出します。そして「今回のASEAN(東南アジア諸国連合)関連外相会合に来て、私のおやじを知っている方が大変多い。いろんな方からおやじの話をされ、その息子ということで、いろんな方から笑顔を向けていただいた。親というのはありがたいもんだなと改めて思った次第だ。」と今回の会合の感想を述べます。

そして「北朝鮮の問題、海洋をめぐる問題などがあり安全保障をめぐる環境が東アジアの中で急速に変わっていく。大変難しい時代に外相になったが、それだけにやりがいがある時期にこの仕事をやれることになったことに半面、喜んでいる。」と続け、「中共は戦後さまざまあったが、経済的に発展していこうとしている。中共には大国としての振る舞い方というのを、やはり身につけていただく必要があるだろうなと思っている。」と王外相にひとこと突っ込みます。
締めくくりに「こういう形で、これから何度も率直な意見交換をさせていただきたいと思う。よろしくお願いします」と一応相手を立てました。

その後、人民日報系の環球時報に「王毅外相に頭下げた河野太郎氏の写真」として握手する瞬間の河野外相が頭を下げているように見える写真を掲載し、王外相が厳しい態度で初会談に臨んだと国内向けに宣伝しているそうです。
このようなフェイクで国民を欺かないと、党内で批判を招きかねない習近平指導部のようですね。

中共は経済援助の形でラオス、タイ、カンボジアを懐柔し、フィリピンとベトナムにも南シナ海の中共支配を認めさせようとしています。
どの国も経済的には弱い国家ですから、そのかじ取りは難しいようです。華僑に経済を押さえられているマレーシアやシンガポール、そしてミャンマーなども中共との和睦は仕方ないように思います。まあ「金の切れ目が縁の切れ目」というお付き合いでしょうけど・・・

これが中共の行っている「当事国同士の話し合いで解決する」という意味です。ですからアメリカや日本、そしてオーストラリアなどに対して、「関係ない国家は黙ってろ」と恫喝するのが中共のやり方です。

しかし南シナ海は世界各国にとって重要な交易海域ですから、そこに中共が勝手に作った法律などを持ち込まれては困るわけです。国際法とは過去に様々な国家間で結ばれていた条約を基に再構築し汎用性を持たせた法体系ですから、中共の言うような「欧米が勝手に作った国際法」と言うものではありません。

ですから河野太郎外相が述べた「法の支配に基づく秩序の重要性」はアメリカに準じて述べたものではありません。国際紛争を防ぐための唯一の方法と言う意味で述べたものだと思います。

早速、河野外相のバックアップをベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相が語りました。外相会合で繰り返し中共を批判した河野氏に対して、「南シナ海問題の協議の進展に向けた大きな契機となったと高く評価している」と歓迎したそうです。

中共は華僑ネットを使い、東アジアとの2国間協議で南シナ海の実効支配を決めようとしています。しかしその手法は「経済支援」と「貿易拡大」に限られており、文化交流とか技術支援はお粗末なようです。

河野外相は、フィリピンのドゥテルテ大統領、インドネシアのルトノ外相とも会談したようです。ルトノ外相とは北朝鮮に対し「非核化に向けた具体的行動を示すよう実効的な圧力を強化する必要がある」との認識で一致したそうですが、日本人拉致問題に対する協力は話したのでしょうか?
インドネシアは北朝鮮と国交を持っている国家です。

アメリカに対するミサイルによる恫喝を止めさせ、金体制をいかに安全に終わらせ、国名である「朝鮮民主主義人民共和国」にふさわしい民主主義を始めるために朝鮮戦争を終結させる段取りを協議する場を、インドネシアの協力で始めるようにしたらどうでしょうか。
核の小型化とかICBM開発、そして空母による包囲や迎撃ミサイルの開発などだけがヒートしても、解決策は何も見つからないでしょうからね。

日の丸を背負った河野太郎外相のデビューは、先ずは成功と見て良いのではないでしょうか。少なくとも中共の懐柔には乗らなかったことで。
あとは外務省の役人を調べて、中共のハニートラップに引っ掛かって苦しんでいる官僚を見つけ出すことが必要なのではないかと思いますけどね。

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