2016年4月29日金曜日

日台分離に動く馬政権

蔡英文氏が次期台湾総統に決まったのは今年1月でした。しかし就任は5月20日です。その間にまだ政権与党の国民党・馬政権が何をしでかすか判らないことが心配の種です。

そして馬政権は、中共とおそらく共謀してに蔡政権を妨害する工作がなされているようです。

先ずはアフリカ・ケニアで犯罪を起こした台湾人の集団を、ケニア当局の「一つの中国」という判断で北京政府に身柄を送還されてしまった事件がありました。
台湾は台湾に身柄を引き渡すように要求していたにもかかわらずです。馬総統は、「この事件は私の任期中には解決できない」などと述べ蔡政権に押し付ける算段です。

そして3月19日、海上保安庁が沖ノ鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)で違法操業していた台湾漁船1隻を拿捕(だほ)したことから、馬政権は沖ノ鳥島を国連海洋法条約でEEZを設定できる「島」ではなく、設定できない「岩」だと主張し始めました。

何とか日台を引き離したい中共の思惑で動く馬政権の最後のご奉公と言ったところでしょうか。この沖ノ鳥島が岩礁であるという主張は中共政府の主張と同じで、これまでは台湾は沖ノ鳥島を「島」か「岩」かは「定義しない」としてきたのですが、ここに来て急に北京と同じ主張を始めたわけですね。

国際海洋法条約は、1945年の米国による「トルーマン宣言」に由来し、島と岩礁を区分けする基準はありません。
常識的に、満潮時に水没するものは岩礁で、水没しなければ島というような判断が下されているようです。ともかく国連大陸棚限界委員会では島と岩礁は明確に決められていないと言うことは事実です。

沖ノ鳥島は、満潮時に東小島と北小島と呼ばれる2つの小島がかろうじて海面に水没しないで残りますから島嶼であるというのが国際的な判断です。
しかし浸食によってこのような小さな島は削られてしまうので、日本政府は沖ノ鳥島の周囲に水没を防ぐために防護壁を設置し海水による浸食を食い止めております。

http://abhp.net/island/Island_Okinotorishima_100000.html

この沖ノ鳥島について因縁を付けてきたのは中共でした。南シナ海の人工島に対する我が国の非難声明に対して、「日本も沖ノ鳥島で鉄筋コンクリートを使って人工島をつくり、排他的経済水域(EEZ)を主張している。他人のことを言う前に、自分の言動をよく考えるべきだ」などと言う訳です。

海洋法には領土となる島は「埋立地は除外」と明記されていますから、南シナ海の場合はそこに島があったのかどうかがポイントになる微妙なところです。海洋法だけで判断するならばね・・・
沖ノ鳥島は埋め立てては居りません。周辺に防波堤を作っているだけです。そして沖ノ鳥島があることで、海洋法に準じて排他的経済水域(EEZ)が認められているわけですね。

今回の沖ノ鳥島で拿捕された漁民は、本当はこの問題を引き出すための囮だった可能性もありますね。
台湾の外交部は、漁民と漁船の返還を求めておりますが、沖ノ鳥島の扱いが国連大陸棚限界委員会で完全に確定していないとのことで、漁業権などの「尊重」を求めるにとどめたようです。

これに対して馬総統は3月25日に「卓球台2台の広さで島の定義に適合するかは極めて大きな論争がある」と主張し、沖ノ鳥礁と表現したそうです。
そしたらその直後、外交部の報道官は「従来の立場に変化はない」と述べたのです。

馬政権が去りゆく政権であり、間もなく「蔡政権」が誕生することを意識した外交部の発言と見て良いでしょう。

さらに馬政権の陰謀なのかどうか、台湾北部・基隆市の緑地に何者かが密かに「温家宝前首相」の銅像を設置したようです。反対が怖くて「密かに」建立したようですが、除幕式を行ったとたんに市民らの猛反発を受け、撤去されることになってしまったようです。

このような姑息な反日親中の動きが、今後もまだまだ馬政権は行いそうですね。

しかし、よく台湾が親日国と申しますが、温家宝の銅像を建てるような大陸系の国民も多いので油断は出来ません。台湾政府内にある政府内対立も台湾にとって、いや日本にとって安全保障上の重大な問題なのです。
蔡英文次期総統が、大陸に対して強く出られないのも、大陸系の国民が大勢居るからだと思います。ですから中国は一つという概念を堅持するわけです。中国は一つですが中共は一つではないのですね。これを「特殊な二国関係」と言っているわけです。
そして中共が民主化されて中共ではなくなり中国になった時に台湾は確実に中国の一つになるわけです。
これが最初からのスケジュールだったのですから。(ようするに大陸が台湾化すると言うことです)

現在の大陸の動きは、共産党政権維持(権力しがみ付き)のための悪足掻きです。経済もガタガタで、政府内部も分裂しているようです。人民解放軍も各軍区ごとにバラバラで、とても統一した軍事活動など出来ないのではないかとの憶測も飛んでおります。
ただ武器の近代化だけは進んでおりますから、危険極まりないことは確かですけど。(アメリカや日本から軍事技術情報だけはしっかり盗み出していますからね)

このような嫌がらせは5月20日の蔡政権誕生まで続くでしょう。
その後は判りません。もっと陰湿な暴力を伴った嫌がらせとなるかも知れません。アメリカの大統領選挙が終わって、ますます内向きなアメリカとなった時、大陸が攻め込んでくる可能性も残されていますね。

台湾の危機はまだまだ続きます・・・

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