2016年4月3日日曜日

貿易摩擦、そして戦争

アメリカの経済衰退とともに、各国とも保護貿易の傾向が出てきました。国際標準=アメリカの条件が崩れ始め、欧州の劣化とともに中共が台頭してきたことが背景にあるようです。

先ずアメリカが先月下旬にM&Aによる中共マネーの巨額買収に「拒否権」を突きつけたことです。
アメリカは日本に対しては活発なM&Aを掛けて、先進的な企業を買収していきましたが、今度はアメリカが新興国家・中共にM&Aを掛けられ、先進技術が盗まれそうになって、初めてこのM&Aに潜む安全保障上の問題に気が付いたようです。

問題となったM&Aは、アメリカでコンピュータに欠かせないハードディスク駆動装置を手掛けるウエスタン・デジタル社を、中共企業の紫光が買おうとしたケースです。

対米外国投資委員会(CFIUS)と言う機関がこの買収に待ったを掛けたのです。CFIUSという機関に買収の可否を決める権限はないそうですが、国家安全保障上、問題があると判断した場合は、大統領にM&Aを認めないよう「拒否権」発動を勧告できるそうです。

ですからCFIUSから審査の通告を受けるなど「疑い」を持たれると、もう資本提携をあきらめてしまうのが通例になりつつあるアメリカなのだそうです。
拒否の勧告でなくとも、投資条件の変更がなされる場合もあるとか。

共産主義国家・中共の巨大化したマネーは、優良な資産を求めて、着実に中共の外に物色の手を広げています。
金で高度技術を買おうとしている中共の戦略は、自由主義国家の自由を悪用してM&Aを使おうとしていることは間違いなく、アメリカや英国、そしてカナダ、日本とその戦略を広げております。
そこに立ちはだかるのがCFIUSの審査と言う訳です。

日本でもこの流れを受けて、国家の安全にかかわるとみられる日本企業の株を一定割合取得する際、外国為替及び外国貿易法に基づき、財務省と所管省庁に届け出る仕組みになっているそうです。問題があれば、国が出資の中止を勧告できると言うことですが、シャープのM&Aなどは大丈夫なのでしょうか、心配ですね。

このようなM&Aの安全保障のための規制も、自由貿易に対する一種の保護主義の台頭だと考えることが出来るでしょう。

さらに、アメリカは米商務省によって日本や韓国、そして中共など7カ国が製造する鋼板が米国内で不当に安く販売されているとして、反ダンピング(不当廉売)関税を課す仮決定を下しました。
税率は最大49.05%と言うものですが、日本に対しては6.79~11.29%となっているそうです。恐らく中共の鋼板が49.05%なのではないでしょうか。
今年8月に不当廉売を本決定すれば、米国際貿易委員会(ITC)が9月に実際に課税するかどうかを決めるそうです。

このアメリカの処置に対して、中共側も日本や韓国、欧州連合(EU)から輸入された方向性電磁鋼板と呼ばれる特殊な鉄鋼製品に対して反ダンピング(不当廉売)調査を行い、そしてその措置を実施する仮決定を下したと発表しました。
アメリカへの対抗処置ですね。同じようなことをやっています。

ダンピングに対しては報復関税を掛けて対応する・・・保護貿易戦争が始まったようですね。

グローバル化によって国際経済は地球規模での限界を見てしまいました。ユダヤの錬金術は、ドル石油リンクによって世界を支配しましたが、ブッシュ政権による中東戦略の失敗で石油価格が不安定化し、オバマ政権でのロシア・プーチン潰しの長期化で石油価格を下げてしまったこと、そしてイランの核開発を認めて石油採掘を活発化させたことでサウジのアメリカ離れが起きて、ますます中東の混迷が深まり、それが国際貿易を混乱に陥れてしまったようです。

そこにこれまで世界経済を支えてきた中共経済が、もはやどうにもいならなくなって、欧州ではユーロの失敗が重なり、世界同時デフレが始まってしまったわけですね。
売れなくなった製品が、各国の経済を圧迫し、それにつれて安売り合戦が始まります。そしてそこから反ダンピング法などが駆使されて訴訟合戦に展開し、やがて報復関税の打ち合いとなって行くわけです。

このダンピングと関税の打ち合いに負けた、つまり我慢の出来なくなったところが最初の軍事行動を起こすように思います。

中共は相変わらず尖閣諸島周辺に漁船などを入れて、またグーグルアースなどではそこが中共の領海であるとの投稿をしたりしています。
南シナ海では更なる人工島(要塞)建設を進める方針のようで、これらが戦争準備の意味を持つことは間違いないでしょう。

すでに開戦を意図しているのが北朝鮮ですが、まだ世界情勢が混とんとしておりますから軍事衝突の戦争にはなっていません。
しかし今後米中がダンピングと報復関税の打ち合いとなって、終盤には戦争やむなしとなって行くでしょう。その時が、北朝鮮を引き金役に使うことになるような、そんな感じがいたしますけど・・・

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