2016年4月25日月曜日

医療用の大麻も違法?

大麻を所持したとして大麻取締法違反で逮捕・起訴された山本正光さんと言う方がおられます。しかし彼は末期がんの患者でもありました。
山本氏は「全ての医師から見放された中、大麻が癌に効果がある可能性を知り、治療のために自ら栽培し使用したところ症状が劇的に改善した。憲法で保障された生存権の行使だ」と無罪を主張していると言うことです。

この大麻取締法では医療目的の使用や研究なども禁止しているそうです。ですから法に則った判定を下す裁判所(東京地裁)は、山本氏を有罪とすべきですが、この法律そのものは国民の投票活動によって立法府の議員を選ぶことで変えることが可能・・と言うのが民主主義の掟です。ですから我々はよく考えなければなりません。

欧州諸国やアメリカの20州以上で医療用大麻の合法化が進められているそうです。大麻が癌の改善に有効な可能性があるということが、次第に判って来たからでしょう。

この情報をインターネットで知った山本氏は、厚生労働省や農林水産省、法務省などに「大麻を医療目的で使うにはどうしたらよいか」と相談したが、「日本では大麻自体や大麻由来の治療薬の使用は禁止されている」と説明されたそうです。
「私の体を医療用大麻の臨床試験に使ってほしい」と製薬会社にまで行って頼んだそうですが「日本国内での臨床試験は不可能だ」との答えが返ってくるだけだったそうです。

その為、山本氏は違法と知りつつ大麻を自宅で栽培・使用したところ、痛みが和らいだほか、食欲が戻り抑鬱的だった気分も晴れ、また、腫瘍マーカーの数値が20分の1に減り、改善の兆候が現れたと言うことです。
これを見た医師が「ありえない」と驚いていたそうですが、実際に数値が下がったことを示すカルテも存在しているそうです。
山本氏は、「育てた大麻は他人に販売も譲渡もしていない。現代医療に見放された中、自分の命を守るためにやむなく行った」と述べておられます。

さて、医療用大麻の解禁を主張するNPO法人「医療大麻を考える会」という団体もあるそうです。そこの前田耕一代表は、「私も以前、緑内障患者の大麻の譲り受けを手伝い、大麻取締法違反の幇助(ほうじょ)罪で有罪判決を受けたが、判決文には『医療目的の大麻の施用は特別な事情がない限り正当化されない』と述べられていた。同法も『みだりに』栽培したり所持したりすることを禁じている。山本氏の場合はまさに『特別な事情』があり、『みだりに』所持していたわけでもない」と述べているそうです。

大麻が本当に癌に効いたのかどうかは判りません。山本氏が快方に向かうのか、それとも一時的に効いただけなのか、あるいはプラゼボ効果が見られただけなのか・・・だからこそ臨床調査が必要だと思うのですけど。
他国で行われている臨床実験で、ある種の癌には特効的な治癒効果が発見されるかも知れません。その結果を見て日本も考えるというのでは、あまりにも役人根性丸出しではないでしょうか。

確かにまだ大麻の癌治療などへの有用性が確立されたデータは存在しておらず、国際的な専門機関でも統一的な見解はない状況だそうです。しかしWHOの報告書には「大麻使用の健康面の影響、慢性的悪影響、医療用大麻の有効性に関する知識には重要な欠落がある」と指摘されてもいると言うことです。
国連薬物犯罪事務所には「大麻を極めて大量に服用すると、軽い精神障害を引き起こすが、このような状況は極めてまれであることが判明した」との報告もあると言うことです。

つまり大麻取締法の中から、医療や新薬創成のための研究目的ならば許容されるような法の改正が必要になるのではないかと思う訳です。
法律が出来れば、その網をかいくぐって悪さをする者が出て来ることはあるかも知れません。特に研究者を装った不逞の輩が出て来ることです。
しかしだからと言って、それで研究を止めるという必然性は無いように思います。

厚労省の麻薬対策課は、「医療用大麻は有効性が実証されているわけではない。最先端の癌治療が受けられる日本で、医療用大麻を合法化する必要性は低い。」として、(大麻は)他のより強度な麻薬に手を出す入り口にもなっていると述べております。

国立がんセンターの福田一典医師は、「大麻の医療効果に関する600以上の海外文献を検証したが、大麻が癌などの難病に有効である可能性は高い」と述べ、そして「強い副作用を伴う抗癌剤やモルヒネもやむなく使用されているのが実情だ。そうした中で、大麻だけが絶対的に禁止されている現状には疑問がある。大麻が癌治療の選択肢の一つとして検討されてもよいのではないか」と感想を述べておられます。

医師や研究者は大麻の研究用の容認には前向きですが、官僚系は反対のようですね。
麻薬対策課は、「さらに強度な麻薬に手を出す入り口」と大麻容認に反対しているようですが、大麻の乱用を認めろと言う訳ではありません。きちんと管理された研究所の内部で栽培し、研究用に使用することを立法化する必要がありそうだ・・との意見が増えてきたと言うことです。

もし国際社会の中で、研究用大麻容認が当たり前となってきたら、我が国はまた研究から取り残されてしまいます。
それも麻薬対策課の「ことなかれ主義」によってです。

この問題が選挙のテーマとして表面化することが出来れば、もっと議論も活発化すると思うのですが・・・

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