2016年4月12日火曜日

ケイコ・フジモリ氏首位、決選投票へ

ペルーの大統領選挙が終わりましたが、まだ決着はついておりません。ケイコ・フジモリ候補が過半数を取れなかったからです。
つまり2位の誰か(クチンスキ氏かメンドーサ氏)と6月に決戦投票を行うのがペルーの大統領選挙と言う訳ですね。

ケイコ・フジモリ氏に対抗する候補者は、経済・財政相を務めたペドロ・クチンスキー元首相になるのかそれとも議会議員のベロニカ・メンドーサ氏になるのかは開票結果を見ないと解りませんが、いずれにしても決選投票まで時間がありますから、ケイコ・フジモリ氏も油断は出来ないと言うことです。

フジモリ氏は、治安が悪化しているペルーを「軍」を投入してでも治安を維持するとの政策を発表しております。
恐らく麻薬組織との戦いを意味しているのでしょう。それくらい麻薬問題は南米全体に蔓延っているようですね。麻薬組織と言っても強力な兵器を持ち、組織された軍隊のような集団であり、国境をまたがって運営されています。

マリファナからメタンフェタミン(覚せい剤)まで幅広く世界にばら撒く組織で、コロンビアのメディシン・カルテルとか、キシコ国境のファレス・カルテルなどがあるそうです。
メキシコ、グアテマラ、ニカラグア、パナマ、コロンビア、そしてペルーです。麻薬組織には国境は関係ありませんから、これらの地域から最大の消費地であるアメリカ合衆国へ密売組織が広がっていると言うことですね。

トランプ大統領候補が、「メキシコとの間にメキシコのお金で高い塀を作る」と言ったのは、ジョークというよりもこのような麻薬組織の暴力に対する政治的対策を具体的に述べたもので、本当は笑っていられない深刻な問題なのです。

麻薬組織は、メキシコも軍隊を出動させて撲滅に必死ですが決して住民の協力は得られません。取り締まりに協力した住民がいたるところで殺され、そして見せしめに吊るされて放置されているそうです。
アメリカも特殊部隊を送り込んだり、麻薬組織との戦いが続けられておりますが、ペルーとて例外ではないでしょう。

つまりフジモリ候補が訴える「軍」の投入は、他国の軍と連携させて麻薬組織と戦わなければ国家そのものが危機に陥ってしまうと言うことを訴えているのでしょう。
これに対して反対する側は「フジモリ元大統領(ケイコ氏の父親)の人権抑圧」を取り上げてケイコ・フジモリ氏を批判しております。批判の背景には麻薬組織からの誘導があるのかも知れませんね。

この麻薬組織の発達と軍事組織化までされてしまった原因は、貧困の蔓延ではないでしょうか。
産業革命に乗り遅れた農業国が、資本集約の近代企業によって自国の市場を取られ、レイバーとしての労働を強いられながら、働いても決して生活が楽にはならない・・・という構造が生まれてしまったわけです。
原因は株式会社組織にあり、企業の利益が株主配当に回されてしまうからでしょう。さらにその株式会社の工場が合理化で人を雇わなくなれば、ますます生活が苦しくなって行きます。

ソビエト連邦が健在な頃は、このような搾取が行き過ぎると共産革命が起きてしますからあるていどの規制はかかったと思われますが、アメリカ一極支配になってからそれが崩れました。
人件費の安いところで作り、利幅を大きくして配当を増やすことが経営者の使命であるかのような「グローバル経営」がもてはやされたのです。

結果的にはアメリカ自信も産業が疲弊し、若者が生活苦に陥る時期がありました。韓国などもグローバル化の中で疲弊し、国家存続すら危ぶまれる状態になっていったわけです。

南米の各国も同じようなもので、その結果貧困が蔓延し、そこに麻薬組織が入り込むすきが出来たのでしょう。
そこに内戦やアメリカの干渉、そして有り余る兵器の密売などが横行し、巨大な資金を操る麻薬組織が近代兵器で武装を始めてしまったわけですね。

この様になってしまうのも、略奪型資本主義と呼ばれる資本主義のやり方が原因だと思います。
短期に利潤を求め過ぎれば、その利息を生み出す組織そのものが崩れてしまうわけです。そのことを考慮しないで「株主優遇」などとして利益を奪取していくと、その結果が貧富差として現れ始めるところから、このような麻薬組織などが蔓延り始めるように思えます。

アメリカの南、南米大陸と繋がる部分がこのような資本主義の犠牲になってきたのではないでしょうか。結果的にこの一帯、即ちメキシコ、コロンビア、そしてペルーなどが麻薬組織の温床となって世界中に麻薬がばら撒かれているのです。

ペルーのケイコ・フジモリ候補は「軍」を出動してこれらの犯罪に立ち向かうことを打ち出しました。しかしそれだけでは犯罪撲滅は不可能でしょう。
貧困対策がどうしても必要になるのですが、さて、彼女にはその戦略はあるのでしょうか?

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