2016年1月8日金曜日

中東の分断、世界を巻き込む戦争になるか

サウジアラビアとイランの対立が決定的となりました。サウジアラビアがシーア派の指導者「ニムル師」を処刑してしまったことから、イランとの間で決定的な関係断絶が起きてしまったわけです。
サウジアラビアはスンニ派で、イランはシーア派です。

もとはスンニ派とシーア派の対立から派生したこと。この対立は、西暦661年から始まったものです。
西暦610年にムハンマドがイスラム教を始め、22年間布教したのち没します。それからイスラムの指導者「カリフ」はムハンマドの子孫に受け継がれてきました。しかし4代目のアーリーの時代から、カリフはムハンマドの子孫であるべきだと主張する派と、子孫の中からではなく、話し合いによって皆から選ばれたものがカリフとなるべきと主張する派が対立をしてしまいます。

ムハンマドの子孫をカリフとする派がシーア派であり、皆から選ばれたものがカリフとなる派がスンニ派と言うことです。

スンニ派はムアーウィヤをカリフに選出してウマイヤ朝を建設します。場所は現在のシリアの場所です。これに対しシーア派はアリーの子孫であるハサンとフセインを支持し、ウマイヤ朝と敵対するのです。
アーリーの3代目の子孫がフセインですが、ウマイヤ軍に滅ぼされて、戦死してしまいます。

しかし、シーア派はフセインの子孫を守り、それを指導者(イマーム)として12代目まで引き継ぎます。つまりアーリーの子孫は12代目で途切れてしまうわけです。時はムハンマドの死から300年後でした。

そういうわけで、シーア派にとって現在は「イマーム不在」の状態なのです。しかしキリスト教の「最後の審判」のように、終末期になると最後のイマームがマフディー(救世主)となって再臨して、この世の悪から救済されると信じられております。

イマームを12代まで引き継いだシーア派ですが、この過程で分裂が進んでしまいます。5代目のザイドを支持するグループ、7代目のムーサ・カーズィムを支持するグループ、その兄にあたるイスマイールを支持するグループなどです。

ムハンマドがイスラム教を布教していた頃、日本では聖徳太子が天皇を政治の実権から別け、皇族から「万世一系」として男子継承が決められています。
その目的は皇位継承での醜い争いを終わらせるためでした。政治は公家が行うものとし、政教分離がなされたわけです。

しかしイスラム教では、政治と宗教は一致するものとしたのです。スンニ派は話し合いでカリフを決めますから、それほど争いは無かったようですが、シーア派は誰が正当なイマームかで抗争が絶えなかったのではないでしょうか。
まあ抗争と言っても、この頃は近代兵器はありませんから、「知恵と勇気と団結力」が決め手となる抗争だったように思います。

穏やかな人間関係を作るイスラム教は、中東を支配し、その宗教的感動がイスラム芸術として花開きます。北方のヨーロッパはほとんど野蛮人(食えない集団)の住むところでした。野蛮なヨーロッパはこの頃を暗黒時代と言っていますね。
十字軍なるものが何度もイスラム圏に南下してきては金目の物を略奪しておりますが、常に叩き返されています。

略奪された宝物は、ヨーロッパのユダヤ人達によって取引され、富の蓄えに利用されて行きますが、やがて自分たちも芸術作品を作れば良い事に気が付き、ルネサンスが起こります。
ユダヤの錬金術は、分割された国々をまたがる交易と、為替差益で作り上げられたものだと思います。そして地中海交易で確立された航海技術が、やがて大西洋を回ってアジアルートを確立し、アジア植民地政策が生まれてきます。
なぜ海側を回ったかと言いますと、陸路はイスラム圏が牛耳っていたからです。

やがてヨーロッパに産業革命が起きて、そこから世界史が塗り替えられ始め、イスラム圏はユダヤ金融と対決することになります。
植民地から略奪した資源を、大量生産で製品に変えたヨーロッパ諸国は、莫大な利益を上げます。そして使われる技術は、高性能な武器となりヨーロッパ列強は世界制覇に乗り出すわけです。

新大陸アメリカは、植民地から独立し、南北戦争を経て産業立国を目指します。極東の庭園国家・日本もまた明治維新を経て産業立国を目指します。
しかしここでイスラム圏は取り残されてしまうわけです。イスラム教は産業に価値を見出せなかったのでしょう。
しかし貪欲なユダヤ・ヨーロッパ金融は、イスラム圏でも利益を得ようと迫ったのです。

第二次大戦で、日本はアジア植民地をヨーロッパから解放します。ゆえにヨーロッパの衰退が始まります。
そして入れ替わるように出てきたアメリカが、中東の石油を使ったドル金融政策を取り、世界を席巻していきます。(冷戦時代は割愛します)
産業革命が革命から常識になってくると、お金が人間の生活を牛耳るようになります。それを近代化と言いますがイスラム圏はそれを否定したわけです。

近代化できなかったイスラム圏にお金が流れ込んだのは石油によるドル支配が始まってからです。そしてお金がイスラム内部にあったスンニ派とシーア派の対立を悲惨なものにしていきます。

アメリカと親しかったサウジアラビアですが、これをイスラムに対する裏切りとしてアルカイダが立ち上がりテロを扇動し始めます。そしてアルカイダはイスラム国となってシーア派を攻撃します。
イスラム圏の大国同士の戦いです。日本にとって厄介なのは、ホルムズ海峡の封鎖でしょう。原発を止めてしまった日本は、ホルムズ海峡を封鎖されたら真っ暗になってしまいます。

現在はアメリカがスンニ派、ロシアがシーア派をバックアップしているようですが、キリスト圏の経済衰退を背景に、イスラムは移民によりヨーロッパを崩壊させようと策謀しているようです。
サウジアラビアとイランの戦いは、アメリカとロシアの動きによっては今後世界を巻き込む戦争になって行くかも知れません。この両国がこの戦いに関与しなければ、やがてヨーロッパはイスラム圏になってしまうでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿