年明けから失速に歯止めのかからない中共の経済です。そして昨年の秋に、中共の政府系シンクタンク「中国社会科学院」から公表された報告書が、現在の中共の経済の深刻な状態を、「春は二度と来ない」という表現で伝えていたそうです。
最近の中共の貿易状況について、この報告書は「振るわない状態が続いているだけでなく、ますます悪化しているとも言える」と、現実を直視しました。
そして、「心配なのは、中共の製造業が直面しているのは、不景気という一時の落ち込みではなく、国内外の経済環境の変化がつくり出した新常態である」と述べるなど、本質が判って来たようですね。
さらに、「労働コストと運営コストが上昇し続けている。労働力の比較優位性は次第に弱まり、構造転換と高度化をせまる十字路に至って、方向転換のために速度を落とさざるを得ない。製造業は内憂外患の双方からの圧力のもと、ボトルネックに入り込んでいる」と分析し、「東南アジアや発展途上国との低コスト競争に直面する一方、先進国の攻勢に抵抗しなければならない」としています。間違いなく現実ですね。
今後の見通しについては、「戻ろうとしてもすでに退路はなく、これまで謳歌してきた『メイド・イン・チャイナ』の春は二度と来ない」と断言しているそうです。
米ボストンコンサルティンググループの報告では、アメリカの生産コストを100とすると、中共の指数は96になっているそうですから、もはや低コストを強みとして輸出攻勢をかけることは出来なくなっています。
また、アメリカのドル金利引き上げによって、南米の途上国や東南アジア、そして欧州までもが経済の減速に陥ってきています。そのために「貿易の経済成長に対する反応は長期的に下降傾向」にあると英フィナンシャル・タイムズ紙は述べております。
世界通貨ドル(国際通貨)は、アメリカの国内通貨でもあります。現在オバマ政権下の低金利政策で経済は立ち直ってきております。
そこでアメリカの国内事情として、金利を上げなければインフレ傾向が強まってしまうわけです。ですから金利を上げるわけですが、金利を上げると今まで国外にあったドルがアメリカ国内に戻ってきます。その通貨が市中に流れますとますますインフレ傾向が強まります。しかしアメリカの株などに収斂していけばインフレにはならずに「強いアメリカ」が戻ってくるというわけでしょうか。
円はすでにドル以外の通貨に対しては円高になっています。今後はドルに対しても円高に振れていくでしょう。問題なのは消費増税だけですね。
中共は、国内の株式を2つに分けています。A株とB株です。
A株というのは人民元のみで取引される株であり、B株とは上海・深センの株式市場に上場している中共の企業の株のことです。
A株は外国人が買うことは出来ません。このように複雑化した中共の市場を見るには、この両方の加重平均を使わなければなりません。そうしないと中共の実質の経済状況が判らないからです。
その両方を加重平均した指数が上海総合指数というものです。そしてこの上海総合指数は、常にインターネットで公表されております。
http://nikkei225jp.com/china/
経済評論家の植草氏によりますと、この上海総合指数が3000より少し下回ったあたりで底打ちとなれば、中共経済はそこから次第に回復していくだろうと述べております。
しかし、2000を割り込むとかなり厳しく、中共経済がメルトダウンを起こしたと見ていいだろう・・と言うわけです。
これまで中共政府は政策金利引き下げや預金準備率の引き下げなど金融緩和を断続的に行ってきました。アメリカの利上げの影響で外国資本が流出します。それで景気テコ入れのために追加利下げなどの措置に踏み切ったわけですが、そうしますと今度は元安の副作用が出てきます。
元安になると投資家心理が冷え込んで中共株安に拍車をかけるため、公開オペなど日常的な資金調節手段で急場をしのぐことにしたのでしょうか、人民銀行(中央銀行)が26日、約8兆円の資金調達をしました。1日あたりの供給規模として2013年2月以来、約3年ぶりの大きさだそうです。
これで株価は上向くはずでした。しかし、26日の株価は午後に下げが急速に強まり、市場全体の値動きを示す上海総合指数は前日比6.42%安となってしまいました。これに釣られてでしょうか、東京の株価も1万7千円台を割ってしまいましたが・・・
上海総合指数は現在2749.79となっています。
27日は上向くでしょうか・・・2000を割り込めば、本当に中共経済はメルトダウンとなるのでしょうか・・・・
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