安倍首相と翁長沖縄県知事の、辺野古移設実施と反対の対決だった宜野湾市長選挙は、安倍首相の自民党が推薦する現職の佐喜真淳氏が当選しました。
翁長知事が掲げる辺野古移設反対の「オール沖縄」が、オールでなかったことを証明する選挙にもなったようです。
記者会見に臨んだ菅義偉官房長官は、「普天間飛行場の危険除去と閉鎖は国と沖縄県で認識は同じだ。住環境や自然環境にできる限り配慮し、従来通り進める」として、辺野古への移設工事を進める考えを強調しました。
一方、翁長知事とともに志村恵一郎氏を推していた維新の党の松野頼久代表は、「今回の勝利は政府による移設の争点化回避策が功を奏したというべきであって、沖縄の民意が辺野古移設を認めたことを必ずしも意味しない」などと語り、この敗北が参議院選挙に影響しないように画策を始めました。
松野氏は、平成26年1月の名護市長選と、11月の県知事選、そして12月の衆院選で移設反対派が当選したことを述べ、「沖縄の民意は、県内移設反対で統一されている」と、オール沖縄が生きていることを示しながら、「安倍政権は、今回の勝利を口実に移設計画の推進を正当化することがあってはならない。法廷闘争を中断して政治的な解決の途を開く決断をすべきである」などと都合のいいことを言い始めたのです。
ここで法廷闘争とは、石井啓一・国土交通相が昨年11月17日に、翁長雄志知事が辺野古の埋め立て承認を取り消したのは違法だとして、国が県に替わって処分を撤回する「代執行」に向け、福岡高等裁判所那覇支部に提訴した法廷闘争のことです。
翁長知事は、宜野湾市民12人にも「承認の取り消し処分の無効確認と、県と翁長氏に1人1千万円で計1億2千万円の損害賠償を求める」訴えを起こされております。
つまり、「承認取り消しで普天間飛行場の返還が遅れれば、騒音被害や墜落の危険にさらされたまま、住民の生存権が侵害された状態が続く」というのが訴えの理由です。
そして翁長氏が、「辺野古移設による米海兵隊の抑止力維持の必要性が根拠に乏しいから取り消した」と述べていることに対し、訴訟した12名は「翁長氏は必要性を検討するにあたり、尖閣諸島(同県石垣市)防衛や中共の脅威に一切触れていない。安全保障上の脅威と抑止力に関する認識も考慮すべきだ」という主張をしました。
そして今回の選挙結果は、この12人の訴えを宜野湾市民の多数が支持していることを意味しているはずです。どう見ても辺野古移設を「オール沖縄」が反対しているとは見えません。
翁長知事は、選挙期間中「(志村氏が)敗れれば、辺野古反対の民意は消えたと宣伝される」と危機感をあらわにしてきました。それは翁長氏が吹聴してきた「オール沖縄」が「嘘」であることが露見してしまうという意味だったようですね。
人間は焦るとミスを犯します。何とか「オール沖縄」の嘘を隠したかった翁長知事は、志村候補の応援にミスを犯してしまったようです。
1月20日、佐喜真候補の応援に駆け付けたのは自民党で人気のある「小泉進次郎氏」でした。宜野湾市民会館前で小泉氏は、「20年間止まった歯車を前に回そう。それは佐喜真さんでないと出来ない」と訴えたのです。
そしてこの演説をNHKが取材し、映像にしました。しかし選挙期間中ですから片側だけを取材して流すことは出来ません。そこでNHK取材班は、反対側の志村氏と翁長知事も取材したのです。
ところが、この2名の選挙活動は、支持者や有権者の自宅を訪問して支持を訴えるものだったのです。そしてこの画像もNHKのニュースで全国に流されました。
これを見た視聴者から、選挙期間中の個人訪問は公職選挙法の違反じゃないか・・との意見が出始め、やがてそれがインターネットの中で拡散していったのです。
間違いなく、公職選挙法の第138条1項と2項で、「家ごとに訪問して選挙の投票を依頼することや、演説会や候補者の氏名の宣伝をすること」は禁止されております。
そして罰則は第239条の第1項3号に、「1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金」となっています。
これを知った沖縄県内の民間選挙監視団体の男性が、公職選挙法違反の罪で志村・翁長両氏に対する告発状を県警に提出したのです。
それを受けた県警は、告発状について「受理か不受理かを含めて答えられることはない」とし、告発状の扱いは当面、預かりにしたようですが、選挙が終われば犯罪者は摘発されなければなりません。
志村氏選対の本部長代行、伊波洋一・元宜野湾市長は「街宣活動の途中に知り合いのところに顔を出すことはよくあり、違法なものではないと理解している」などと述べておりますが、この法律は戸別訪問が買収や利益誘導などの不正行為を招きやすいために禁止されているわけです。
「知り合い」であればなおさら、選挙期間中の訪問は控えるべきではないでしょうか・・・
沖縄だけでなく、地方選挙などは未だに戸別訪問などが行われているところも多いと聞きます。ですからそれだけなら沖縄だけを弾劾してもしょうがないかも知れません。しかし問題は全国ネットでNHKを経由して選挙違反が公然となされていることが放映されたのです。
しかもそのうちの一人は選挙運動の手伝いをしている人ではありません。現職の県知事だったわけです。これを放置すれば日本の選挙がすべて「いかがわしい」ものに見られてしまう可能性もあります。
そしてもしこれを許すならば、今年7月の参議院選挙で、候補者の応援で現職の閣僚が戸別訪問をしても良いことになってしまうのではないでしょうか。
そんなことにならないように、沖縄県警はこの告発を受理すべきです。
そして翁長知事は、今すぐ県知事の職を辞するべきではないでしょうか・・・
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