機体は早く出来たものの、ソフトウエアの開発が大幅に遅れて配備の時期がなかなか決定出来なかったF35ステルス戦闘機ですが、やっと米国防総省が配備のスケジュールを発表しました。
海兵隊仕様は2015年12月に配備、続けて米空軍に配備されるのが翌2016年12月になうということです。気になる日本の航空自衛隊に配備されるのは2016年中ということで、4機導入の予定だとか。
米空軍とほぼ同時期に日本への配備も決まったようですね。
1機189億円という、これまでにない高価な飛行機です。しかし量産になるのは2019年4月以降の予定。量産になれば多少は安くなるでしょう。
2016年から2019年までの4年間は、いわば軍用現場での実験段階となるようです。日本の航空自衛隊への配備も、頻発する中共とロシアの領空侵犯に対して、スクランブルという実戦に使用されますから、その間に生じる問題点を潰すには絶好の配備と言えるでしょう。
このF35戦闘機は期待が出来上がってからもソフトウエアの問題などでトラブルが続き、今年に入ってからも、2月には操縦席から煙が出る事故などが生じています。
最初はボーイングで発生したリチウムイオン電池のトラブルと同じかと思われましたが、そうではなくソフトウエア上の問題だったそうで、すでに解決したようです。
また、その直後にエンジン部品に亀裂が見つかるというトラブルが発生しています。これで米軍が飛行を一時停止させましたが、このトラブルは試験飛行の際、通常より4倍以上長い時間にわたり高温にさらす「特殊な運用条件」のテストで発生した問題で、通常の飛行には何ら問題がないことが判明、すぐに飛行停止処置は解除されたそうです。
こうした数々のトラブルを乗り越えて、やっと実戦配備がオン・スケジュールとなったF35ステルス戦闘機なのです。
F35の一番の問題点はその価格。しかしこれは量産になるまでの話ではないでしょうか?この戦闘機はマルチロール(多用途)戦闘機として開発されているはずです。
自衛隊が購入する機体は「空軍型F35A」であり、要撃任務(領空侵入機などを迎撃すること)を主目的とした仕様です。
全長15.7メートル、全幅10.7メートル、エンジン1基を装備、パ-イロット1名搭乗の単発単座機で、最大速力はマッハ1.6という仕様。
しかしF35は、空対-空戦闘はもちろん、対地・対艦攻撃、航空偵察、電子戦など多様なミッションに対応可能な設計になっており、今後、敵上陸部隊の制圧や艦艇の攻撃などにも活用できるようになっていくでしょう。
量産化すれば、国際共同プロジェクトで開発に参加した国々、英国、イタリア、オランダ、カナダ、オーストラリア、ノ-ルウェー、トルコなどにも配備がなされ、最初から計画されていたジョイント・ストライク・ファイター=JSF(統合攻撃戦闘機、ひとつの原型機から発展させていく計画)の性能が発揮されるようになるでしょう。
そのためにソフトウエアに重点が置かれ、その開発に多くの時間が費やされたわけです。つまり外観は単なるステルス戦闘機ですが、内部ソフトウエアはこの飛行機をどのようなミッションにも対応可能にさせてしまうという優れものになっているわけです。
ソフトウエアは機内に装備されているものだけではなく、機外にも存在します。デジタル通信で結ばれた複雑な連携ソフトウエアは、F35の多用途を実現するだけでなく、万が一、共同プロジェクトに参加した国々の中で裏切った国が出現した場合は、ただちにその国のF35戦闘機を使い物にならなくすることも、システム的に可能というわけです。
このことは、F35の機体が敵陣営に捕獲されてしまった場合でも、機密は守られることを意味し、アメリカの優位性を保持する戦略ともなっているわけです。
このアメリカ方式は、今後はアメリカが設計する全ての兵器に使用されるのではないでしょうか?機関銃から小型地雷に至るまで、すべてがアメリカ軍事システムの管理下に置かれ、盗まれてテロリストの手に渡った場合でも、アメリカが操作しなければ一切の機能は働かないという兵器になるわけです。
海岸線にばら撒かれた小型地雷は、戦闘終了とともに爆発しないようにすることも可能かも知れません。平和時に悲劇が起きないように・・・
また、現在出回っている機関銃よりも長射程で、性能の向上と小型軽量化した機関銃が設計され、その銃がテロリストに渡った場合は全く機能しないようにすることも出来るのではないでしょうか?
まあ、そういう兵器開発の先鞭をつけるF35ステルス戦闘機。
今後の発展に期待しましょう。
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