経済評論家の上念司氏が、メールマガジンで、今後の中共の経済について「経済の法則を無視して軍事力や政治力だけでどこまで突っ走れるか?」という話題を出されておりました。
すなわち「中共の経済が不良債権問題で大クラッシュした時、軍が権力を掌握して全土をコントロールし、今のような軍事大国路線を進み続けることが出来るか」ということです。
ここで上念氏は、専修大学の野口旭教授がまとめた「経済政策形成の研究」という論文集の第八章にある「「経済学的発想」と「反経済学的発想」の政策論を参考にしております。
すなわち・・・
経済学的思考
1) 自律運動命題:経済秩序は人間の意識から離れて自律運動した結果である。これを人間が意識的に操作しようとしたら、しばしばその意図に反した結果がもたらされる。
2) パレート改善命題:取引によって誰もがトクをすることができる。
3) 厚生の独立性命題:他者と比べた厚生の優劣よりも、厚生の絶対水準の方が重要である。
そして・・・
反経済学的思考
1) 操作可能性命題:世の中は、力の強さに応じて、意識的に操作可能である。
2) 利害のゼロサム命題:トクをする者の裏には必ず損をする者がいる。
3) 優越性基準命題:厚生の絶対水準よりも、他者と比較して優越していることが重要である。
という2つの思考グループです。
ここで「パレート改善命題」というのは「ある集団において、少なくとも1人の効用を改善でき、誰の効用も悪化させないような資源配分の改善」と言うのだそうですが、考えたのはアーサー・セシル・ピグーという英国の古典派の経済学者で、彼はジョン・メイナード・ケインズのライバルだった人。厚生の独立性命題もこの人が考えたことで、厚生経済学という分野を作っています。
中共の指向は、反経済学的思考であって、「国益の追求」を「他国から一方的に搾取して自国が栄える」ということだと上念氏は考えます。(もちろん私も)
世界経済のパイの大きさは限られていて、世界各国がそれを奪い合っていて、貿易とはすなわち「富の収奪(搾取)」と捉えます。すなわち「強いものがすべてを支配すること(操作可能性命題)」が肯定される世界観です。
上念氏は、「経済を人間が意識的に操作しようとしたら、しばしばその意図に反した結果がもたらされる(自律的運動命題)」、すなわち経済学的思考の方が、歴史的な事実であると述べています。
「世界全体が栄えることによって自国が栄え、自国が栄えれば世界全体も栄える・・・ということこそ真実である」ということです。
さて、これはある意味において「ユダヤの金融術」と「キリスト教のタラントの教え」が合体して言えることで、結果において論理的真実であっても、その入口は宗教的動機付けが必要ということになるのではないでしょうか?
パイの大きさを大きくしようとする試みは、たしかに一方において金融緩和が必要です。しかしもう一方では需要の喚起が必要になり、それには今までに無かった新しい需要の創出が必要ということになります。(もはや欠乏の時代ではないのですから)
「今までに無かった新しい需要の創出」とは、極めて成功の可能性の少ないテーマへのチャレンジであって、そこに必要な情念は宗教的動機付けからしか生まれて来ないように思います。
「金儲けがしたい」という情熱があります。これだけでは何も出来ません。資本が動かないと開発が出来ないからです。すなわちパイを大きくすることは出来ず、ゼロサムゲームの中で、弱者を騙して稼ぐくらいが関の山でしょう。(華人の発想はこういう発想のようです。同じ発想が日本国民にも多く居りますけどね)
資本が動けば、目的達成はしやすいですが、利益は資本に奪われます。それが巨大資本であればパイが大きくなるわけですが・・・
資本家には配当が与えられます。それがプロフィットですけど・・・資本家は次の投資先を見つけなければならないのです。そのシンドイこと・・・
しかしここで判るのは、パイが大きくなると多くの人々が食べていけるという事実です。ですから中共がこのパイを大きくすることが出来なければ、成長は止まり、経済の自律運動が始まって、彼らの意図(軍事大国化)に反した結果がもたらされるだろうと思います。
アベノミクスで金融は緩和され、円も安くなってきた日本経済。しかしパイを大きくするには、もう一つ、資本を動かすほどの宗教的動機付け(創造の情熱)が必要なのですよ。
さて、それを神道に期待していいのでしょうか・・・・
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