MMTという現代通貨理論が話題になっております。
ケインズ主義左派のクルーグマン教授と、MMTのステファニー・ケルトン教授の論争の解説をネット上の松尾匡氏の記事(東洋経済オンライン)で見ました。
そして共に同じことを述べているだけで、表現が異なるだけという松尾氏の見解は、ある意味では間違ってないようです。
クルーグマン教授は、赤字財政支出政策ばかりに頼って金融緩和政策を言わないMMTを批判して、「ゼロ金利のときにはMMTの言うこともあてはまるが、プラスの利子が付いているときには、赤字財政支出をすると、金利が上昇して民間投資が減ってしまう」と言うわけです。
対するケルトン教授は「赤字財政支出をすると金利は下がるのだ」と反論し、「金利が下がりすぎて困るから、望ましい水準にまで金利を引き上げるために、当局は国債を売る」と述べたのです。
クルーグマン教授はこの反論の意味が判らず、ケルトン教授は、判らないのは「IS‐LMのようなモデルが間違っているからだ」と述べております。
クルーグマン教授は、赤字財政政策という言葉を「国債を民間に向けて発行して調達した資金でもって政府支出すること」と言う、我々も納得する意味で使っております。
しかしケルトン教授の赤字財政政策は、「通貨を発行して政府支出とし、出し過ぎた場合(インフレが起きた場合)は国債を発行してお金を吸収する」ということを言っているようです。
即ちMMTでは、赤字財政支出のあとで、統合政府が適切に「売りオペ」して、出したおカネを部分的に国債に換え吸収することが、クルーグマンが言う所の赤字財政支出と金融緩和が組み合わさったものと表現されているだけでだと松尾氏は言うのです。
つまり同じものを違う表現で言い回し、それで論争しているように見えると言うのが松尾氏の見解のようです。
しかし違いはあるように思います。市場(銀行)から国債発行で資金を集め、それを政府支出に使うのがクルーグマン教授であり、政府発行通貨を赤字財政支出と表現し、それで政府支出を行い、インフレ傾向が出てきたら国債発行でそれを回収する・・というのがケルトン教授と言う事をです。
ここで出て来るのが「通貨発行」をどこが行うかと言うことです。政府発行通貨を嫌うのがディープステートのようですね。
例えばリンカーン大統領が暗殺された原因が、彼が政府通貨を発行しようとしたこと。そしてケネディ大統領が暗殺されたのも政府通貨の発行を考え始めたから・らしいのです。
現在のドル通貨発行はアメリカ政府ではなくFRBが行っています。FRBは民間銀行でその株主は伏せられています。そしてアメリカ政府はこのFRBから借金することで国家運営を行います。日本も日本銀行が円通貨を発行し政府が国債を発行して政府支出を行っています。
税金は市中(銀行預金)に出し過ぎた通貨の回収であって、ある意味でインフレ抑制の機構ですから政府支出の財源とはなりません。
最初に政府が済出しなければ、社会には通貨が無いわけですから税収も無いわけです。つまり政府が借金して政府支出を行うことからスタートするわけですね。
この時、どれくらい借金すればいいかは「社会が必要としているだけ」としか言えませんね。
当然次のサイクルで発行した通貨をすべて回収するわけには行きません。ですから税収プラス政府の借金で社会の必要なインフラなどを整備していくわけです。
このサイクルが経済成長と言う訳です。社会に生産力がついて行けば民間の資金需要も大きくなり民間が借金をしてくれるようになります。それを監視しながら税率を上げたり下げたり、また国債を発行したり償還したりして調整していくのが政府(財務省など)の役目です。
この国債発行で徴収したお金で政府支出をする部分をクルーグマン教授は表現し、税収プラス政府の借金で政府支出をする部分をケルトン教授は言っているのだと思います。
そしてここで、政府とFRB、あるいは日銀など政府と中央銀行の間のやり取りはどうでもいいことになります。そこでこの両者をひっくるめて「統合政府」という言葉を使っています。
これによって、FRBであろうと日銀であろうと、ともかく政府発行通貨と同じと見ることが出来るからです。
これは政府発行通貨の実行を考えた大統領が暗殺されるという歴史的な事件があり、それを避けるためのステファニー・ケルトン教授やランダル・レイ教授の作戦かも知れません。
FRB、IMF、OECDなどはドルの世界通貨化をもたらす機関で、途上国などへ援助と言う名目で政府貸付を行い、膨大な金利を受け取ります。恐らくこれがディープステートの資金となっているのでしょう。アメリカ政府や日本政府にも貸し付けます。
戦後、日本は莫大な借金を背負わされます。ところが日本国民はこの借金を全額返済してしまったのです。「金貸し」にとっては利息だけ永遠に払い続けてくれるのが最良な借り手でして、まさか日本が元利合せて全部返してしまうとは思わなかったでしょうね。
この意識が今の財務省にあるのではないでしょうか。だからまだ円建て国債まで全額返済などと言っています。「未来の子供にツケを残すな」と言いながら「未来に子供を残すな」となってしまいました。財務省にはその認識がないようですね。まあ戦後の洗脳による後遺症とも言えるかも・・・
ここに人民元が「一帯一路構想」を持って入り込みます。ディープステートと同じことを「中華人民共和国」で行い、アメリカを拠点とするディープステートへ挑戦したわけです。
ちょっと違うのは、利息ではなく「港湾」とか「軍港」を受け取るように仕向けていることです。
これは世界最強のアメリカ軍と戦う意思の表れかも知れませんね。
人民元の世界通貨化だけを見れば、習政権の敵はアメリカ政府ではなく、アメリカ・ディープ政府が敵なのですよ・・・ね。
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