2019年9月22日日曜日

ジョンソン首相への批判

10月末にEU離脱を強行すると、「食料品の価格上昇や医薬品の供給不足が起き、とりわけ低所得層が打撃を受ける」という内部文書が明るみに出たそうです。

この文書、ジョンソン氏が首相に就任して数日後の8月2日に作成されたそうで、英国のメディアが8月中旬に一部を公開したようです。
そしてEU残留派の無所属議員が今月9日、英議会で同文書の公開を政府に義務づける法案を提出し、賛成多数で可決され、同文書が公開されたそうですね。

ここまで見て来ると、ジョンソン大統領がトランプ大統領と同じ相手と戦っていることが見えてきます。そう、あの「ディープステート」です。

英国のEU離脱をどうしても阻止したいのは「ディープステート」側でしょうから。
やっと欧州を束ね、同じ経済圏に持って行ってユーロという共通通貨をドイツを使って作り上げた彼等は、英国によってそれが壊されるのを何としてでも阻止したいのでしょう。

しかし英国民はEU離脱を望んでおり、他のEU加盟国も、負担の大きいEUを何とかしたいと考えていますから、おそらくEUそのものが解体の方向に向かっているのだと思います。

ことの始まりはデイヴィッド・キャメロン首相の時に行った「国民投票」でした。キャメロン首相は英国民からEUが嫌われていることに気付かなかったようです。国民投票でEU残留となれば、反対派を封じられると考えたのかも知れません。

しかし結果は逆でした。極小差とも言われていますが、それはEU既得権を握っている人達が多いからでしょう。
そこでキャメロン首相が退任し、メイ首相が登場したわけです。メイ首相はEU側と交渉し、折り合う離脱をまとめたように見えますが、議会の離脱派が納得しませんでした。あまりにもEU側に妥協し過ぎたからでしょう。
アイルランドと北アイルランドの長い国境線が英国のウィークポイントで、EU側はそこを突いてきたからです。結局「カトリック」と「プロテスタント」の宗教がらみの対立を煽られたわけです。

アイルランドの民族主義過激派武装組織(IRA)が行うテロ攻撃で、ロンドンの街中が危険になったこともありました。
しかしその背景にはディープステートの暗躍があったかも知れません。

メイ首相の時、EU離脱の時期を10月末日と決められました。それまでにEU側と合意を成立させないと、「合意なき離脱」となり、またあのテロの恐怖が始まるぞ・・という恫喝のような決定でした。

しかしメイ首相退陣の後に出てきたジョンソン首相は最初から「合意なき離脱」を掲げて保守党内の選挙で選ばれて登場したのです。
テロの恐怖の恫喝が効かないこの首相に、マスコミが襲い掛かりました。「合意なき離脱の影響をまとめた政府の内部文書」がそれにあたる様に思います。

「食料品の価格上昇や医薬品の供給不足が起き、とりわけ低所得層が打撃を受ける」とか「物流が離脱1日目で通常の40%に落ち込む」、「生鮮食品の輸入が減少して価格が上昇する」、「英仏間のドーバー海峡をつなぐユーロトンネルで通関手続きが必要になり、大渋滞が発生する」など、脅し方も英国民の生活を直撃するような表現になっています。
そして、「ジョンソン大統領は意図的に合意なき離脱の影響を隠していた」として首相を追い込んでいるわけです。

このような恫喝に対してジョンソン首相は「対策を準備すれば(国民への)負担はゼロに近い」と楽観的な姿勢を示しています。

9月9日には離脱延期を求める法が成立したそうです。一体これは何でしょうか。EUからの離脱は可決し成立した法です。ジョンソン大統領は、メイ首相の決めた10月末の離脱を守ろうとしているだけです。
そこにこの法はジョンソン大統領に「離脱延期を求める」としただけの方で、そんな法が成立してもジョンソン大統領は聞く耳を持ちません。

恐らく10月後半になると、法を守らないジョンソン首相に対する辞任要求とか、弾劾処置などが出て来るのかも知れませんね。
そうまでしても、EU残留を求める英国民がいること。既得権の美味しい味は、ここまで来るともう麻薬ですね。

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