中共が主導する「一帯一路構想」が、中共の過大設備が生み出す粗鋼、鉄鋼などの捌け口を求めてなされたものであることは疑う余地はないでしょう。三橋貴明氏の言う通りです。
しかし、東アジアと中央アジア、そして欧州へ繋がるユーラシア大陸を近代化し、開発することは悪い事ではありません。
中共の出した「一帯一路構想」のようなものが日本から出されなかったことの方に責任があるでしょう。
戦前の日本は、「東京発パリ行き」の弾丸列車の構想を持っていました。複雑な政治動向などはとは関係なく、ユーラシア大陸を横断する夢の鉄道構想です。
しかし、戦争に負けてからこのような構想がまったく我が国から消えてしまいました。戦後復興期を過ぎ、経済的に復活した後も、例えば沖縄までの新幹線計画すら出てきません。
これが政治的敗北なのです。「沖縄までの新幹線計画」が政治的に構想として掲げられれば、後はトンネル掘削の技術的可能性などの調査となり、そこにわずかな予算を割り当てていけば、やがて「可能性あり」という答えが出て来るでしょう。同時に解決しなければならない技術上の問題なども明確になって行きます。
こうして沖縄の次は台湾まで新幹線が延びて、台湾新幹線と結ばれることが構想として出て来るはずです。費用が掛かりすぎるとか、それだけの需要があるのか、というのは経済面の問題です。政治的には関係ないのです。
もしこの構想があれば、台湾までの途中駅として尖閣・魚釣島が浮かび上がって、中共がチョッカイ出しにくくなっていたはずです。
「一帯一路構想」のフォーラムに対して、トランプ大統領はマット・ポッティンガーNSCアジア上級部長を団長とする代表団を派遣しました。
「一帯一路・国際協力サミットフォーラム」では、英国などが「資金の出所がはっきりしない」などの理由で貿易推進に関する文書への署名を拒否しております。
欧州が少し引けば、これからアメリカが出てくるのは当然のことでしょう。
安倍首相はこの様子から、一帯一路構想への参加を考慮し始めたようです。日本国内の企業で、参加したいところがあれば参加出来るようにしておこうという配慮のようですね。
安倍首相の一帯一路関する発言は今までと変わっては居りません。ただ、これまで「参加出来ない理由としていた条件」を、「参加を可能にする条件」と言い換えただけです。
ですから習政権は、この条件に不快感を示しつつ、「日中関係改善に向けた日本のシグナル」などと歓迎のシグナルを送り返してきたのでしょう。
習政権もまた構想の実現には信用の確保が必要であることは百も承知です。アメリカ、そして日本が参加する可能性が出たことは確かに歓迎すべきことなのでしょう。
安倍首相が話したこの政治決定の理由は次のようなものです。
1)北朝鮮情勢が緊迫化する中、北朝鮮に影響力のある中共が主導する一帯一路構想への協力姿勢を示すことで、日中間の意思疎通を図ることがこの時期極めて重要であると考えた。
2)中米首脳会談の結果、経済分野で両国が急速に接近し、米国は「一帯一路」フォーラムにマット・ポッティンガーNSCアジア上級部長を団長とする代表団を派遣した。これにより日本が孤立しないよう、急遽代表団を送る決定をした。
3)日本企業が一帯一路構想の具体的なプロジェクトに関わることで中共側に国際社会の共通ルール(透明で公正な調達や借り入れ国の財政への配慮等)により近い形でインフラ整備を進めるよう誘導することができると考えた。
・・・というわけです。
重要なのは3番目でしょう。おそらくトランプ政権と合意していると思います。ユーラシア大陸を中共の思うがままにしてはならないと言う・・・
欧州はこの東アジアと中央アジアを新たなマーケットと見なし、鉄道や道路網に新たな活力を見出したいのでしょう。もともと宗主国なのですからね。
アメリカは西部開拓の延長に太平洋があって、その次はユーラシア大陸ですから予定どうりです。そこに中共という時代遅れの馬賊国家が出てきて、そことの折り合いを付ける・・という事になります。
日本はアジア全体を同胞と見なし、その発展は共通の利益になるべきだという考えです。ですから中共はもとより、欧州にもアメリカにも莫大な利益の奪取をさせないように目を配らなければなりません。
そして日本は、やはり沖縄までの新幹線構想を進めるべきではないでしょうか。改定にトンネルを掘り、そこに鉄道を通すことは、一帯一路構想の陸と海には含まれておりません。陸上と海上だけです。海底のその下は、まだどこの国も覇権など持っていませんから。
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