ビットコインは、インターネット上でのみ流通する「仮想コイン」で、2009年から運用が開始されていたものです。
「中本哲史」という日本名の謎の人物が2008年にインターネット上で発表した論文から始まりました。
http://www.bitcoin.co.jp/docs/SatoshiWhitepaper.pdf
仮想空間上に通貨を作ることが可能かどうか、通貨発行メカニズムと流通トレーサー(リンク)が準備された、仮想通貨の安全対策を考察した論文でした。
もちろんこの論文ではハッカー対策までは論じておりません。
運用が始まった2009年は、まだ少額取引に使われるだけでしたが、ビットコインが各主権国家の通貨に換金が可能であり、その手数料の安さから、国境をまたぐ送金手段として使われるようになっていきます。
このビットコインが注目され始めたのは、2013年3月16日に起きたキプロス・ショック(全預金に最大9.9%の課税を導入するという法律が出来たとき)からで、それ以降、中共の不正蓄財マネーがこのビットコインに集まり始め、価格を押し上げて行きました。
さて、ここからビットコインは違法行為によるお金の扱いに使われ始めます。
違法薬物の取引き、資金洗浄用途、オンライン賭博等々、世界中の違法行為がビットコインを使い始めます。
このような動きに対して、アメリカは「分散型仮想通貨」の規制指針を制定し、アメリカで造幣販売を行う「採掘者」は通貨販売事業者と指定され事業登録やその他の法的義務が課せました。
また、ドイツ財務省は多国間決済の会計単位として使用可能であるとし、1年以上保持する場合はキャピタルゲイン税が課せられるようになりました。
ロシアとインドネシアは、法律でビットコインの利用を禁止しました。
マウントゴックスという、渋谷にあるビットコインの取引所が、何者かに「不正アクセス」されて、利用者からの預り金も含め「480億円」が消失した事件が発生し、取引停止になったのは2014年の2月26日でした。
この事件を受けて、アメリカ・ニューヨークの連邦検察がマウントゴックスに対して召喚状を出しました。また、マウントゴックスは2月28日には東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したのです。事実上の倒産です。
マウントゴックスでのこの事態に対し、他のビットコイン取引所は「これはマウントゴックスだけの問題だ」と述べていましたが、これでビットコインに対する信用がガタ落ちとなり、恐らく価格が暴落するでしょう。つまり、ビットコインに財産を預けてしまっていた人たちは大変なことになるわけです。
もちろん自己責任の通貨ですから、どこも助けてはくれないでしょう。民事再生法の適用がどうなるかは判りませんが、情報だけのビジネスですから資産などは何もなく、更生は無理だと思います。
いったい何がビットコインに起きたのでしょうか?
マウントゴックス社のCEO「マルク・カルプレス氏」は、「不正アクセス」があったとしていますが、専門家からは「システム上の過失責任も免れない」との指摘が出ているようです。
ネットセキュリティーに詳しい国際大学GLOCOMの楠正憲客員研究員は、「マウント社が大量のビットコインの消失に長期間気付けないことは考えにくく、マウント社の過失責任は免れない。説明は不十分だ。本来の取引IDが別のIDに改(かい)竄(ざん)されると、本来のIDを元に確認しても取引がなかったように装えるため、送金先が何度も送金を要求できたようだ」と述べています。
すなわち、カルプレス氏の言うように、すべてハッカーの責任とは言えないようですね。
管理怠慢で発生した負債を帳消しにするために、自作自演のハッカー攻撃をしたと考えるのは行き過ぎでしょうか?
このビットコインの破局は、他の一面で、多くの犯罪者のお金が世の中から消えたと言うことも出来ます。その金額が幾らくらいになるかは判りませんし発表もされないでしょうが、これら犯罪者と対峙していた捜査当局にとっては、思わぬ勝利と言えるのではないでしょうか?
もっともらしいビットコイン・システムに多くの犯罪者のマネーを吸収させておいて、セキュリティがぜい弱だったマウントゴックスをハッキングして、この犯罪マネーを世の中から消し去ってしまったとも言えます。
松の木にコモ巻して「まつけむし」を集め、春先にそのコモをはずして燃やしてしまう手法と同じです。
もしかすると、このハッカーはどこかの国の捜査当局だったのかも知れませんよ。もっともコモ巻と違って、ビットコイン手法は一度しか使えませんけどね。
これでネット上で流通する疑似マネーの実験は終了となるでしょう。同時にビットコインでの経験が今後の電子マネー化に生かされることも間違いないのではないでしょうか。
ハッカー対策をしっかりとして、管理体制もしっかり行っていた他の取引所には気の毒ですけど・・・
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