2015年3月20日金曜日

習政権と尖閣諸島

水間政憲氏がVoice2月号で発表した「領土問題『動かぬ証拠』」と言う記事で、1969年に中共国家測絵総局が発行した地図に、尖閣諸島が日本領と記述してあることが挙げられ、それを3月16日に日本の外務省がホームページに掲載しました。

菅義偉官房長官は、「中共が作った地図に『尖閣諸島』の名称が用いられている。中共の主張が矛盾していることを示している」と述べました。

すると中共は、「歴史の事実は、1枚や2枚の地図を見つけ出したからといって覆せない」などと反発し、尖閣諸島は「中国に所属することは否定できない事実であり、十分な歴史と法の根拠がある。もし必要ならば、明らかに中国に所属すると示す100枚、1000枚の地図を探し出せる」などと、またねつ造を予感させる主張を述べていました。

中共は、尖閣諸島は清国の領土であり、日清戦争に乗じて「日本が強奪した」(中国共産党機関紙「人民日報」)と主張しており、これが「否定できない事実」と言うわけです。

すると今度は、長崎純心大の石井望准教授が、日清戦争直前の明治26年(1893年)に清国が日本側に出した公文書で、尖閣諸島を清国領と認識していなかったことが書かれた公文書があることを発表しました。

尖閣諸島に向けて出航し、難破した熊本県民ら3人が、途中、暴風雨に遭い、清国の浙江省に流れ着いた事件で、清国の官憲に保護され、取り調べを受けた後、上海経由で日本に移送されるという経緯があったのです。
この時交わされた書簡など計9通からなる両国間の往復書簡で、先ず外務大臣だった陸奥宗光が、3人の保護・移送に協力してくれた清国の地方官へ感謝する趣旨の公文書を送っています。

それを受け取った清国の海防官は、「(彼らは)胡馬島(今の魚釣島)が目的地だった」という日本側の説明を引用した上で、「ここに上述の趣旨の通り、(各地方官に)報告及び通知する」と記すのみで、3人が胡馬島を目的地とした点について、抗議などした形跡はなかったのです。

翌明治27年7月に日清戦争が始まりました。明治政府は戦争中の28年1月に閣議決定し、尖閣諸島を日本の領土に正式編入しました。そしてこれについても清国側からは何の抗議も来ておりません。

中共は、「尖閣諸島を17世紀に清国が編入した台湾の一部」としていますから、また何かを言ってくるでしょうが、証拠はないでしょう。もし証拠を出して来れば、それはねつ造されたものであることは先ず間違いないと思います。

しかし習政権の本音は、「(日本より上位の)中共が尖閣は中共の領土だと言っているのだから、軍事力を持たない『敗戦国・日本』はそれに従え」ということであり、歴史の事実などどうでもいいことなのです。(これが習政権の言う「戦後秩序を守れ」ということです)
ですから、日本側の出す「歴史の事実」は習政権に向かって述べても意味はありません。向ける先は中共以外の国であり、中国語以外の数か国語に訳して載せるべきではないでしょうか。

その習政権は、現在のところ尖閣などよりも国内の経済問題の方が喫緊の課題のようです。

評論家の石平氏によりますと、3月6日の全国人民代表大会において、江西省代表団から「江西省の昨年の経済発展はすさまじい」と述べられた時、習主席はすぐに「だから反腐敗運動は経済の発展に影響することなく、むしろ経済の持続的発展を利する」と述べたそうです。
これを受けて、翌日の新聞各紙は「反腐敗は経済発展を妨げることはない」という習主席の持論を評価する報道がなされたとか。

しかし、同じ人民代表大会で北京首都旅行集団会長の段強氏は「官官接待・官民接待の激減で北京市内60軒の五つ星ホテルが業績不振となった。反腐敗運動の展開は経済発展にマイナスの影響を与えている」と述べているそうですし、「反腐敗運動」が各地の共産党幹部たちを「仕事へのやる気を失い、『不作為』的に日々を過ごしている」と新京報という国内紙などは報じているそうです。

石平氏は、「共産党の幹部たちはそもそも、賄賂を取るために幹部になったようなものだから、『腐敗』ができなくなると仕事への情熱を失うのは当然のこと。」と述べております。

そして、共産党内の一部勢力は、最近顕著となった経済の減速の原因を「反腐敗運動」になすり付けようとしているそうです。
つまり、反腐敗運動を急速に推進した結果、政権の手足となる幹部たちの「不作為」と抵抗が広がり、それが「経済への悪影響」となっている・・・というのが石平氏の分析のようです。
華人には、「賄賂・汚職」に関する罪悪感は無く、「権力というものはそういうもの」という常識があるわけで、即ち「公共概念」というものが芽生えていないわけです。そこに突然その概念を持ち出して「反腐敗運動」を起こせば、このようになるのは当然でしょう。

習政権は、「公共概念」を「共産党への隷従」にすり替え、「反腐敗運動」を「愛国精神」に持っていこうとするはずです。そしてこれは、戦国の世の「忠君精神」に酷似しているように思います。
それがやがて「尖閣奪取」の愛国精神になり、東シナ海への侵略へとつながっていくことが懸念されますね。

突然「清き精神」を言い出す政治家ほど危険なものは無いと言う事・・・習近平主席も同じなのかも知れません。

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