フィリピンが中共の南シナ海侵略問題で国連海洋法条約に基づく法廷闘争を仕掛けようとしていることは、2月23日に書きましたが、今度はベトナムも提訴を検討し始めたようです。
このところ複数の政府関係者が提訴を唱え出したとか。
その筆頭がチャン・コーン・ツク元国境委員長で、「ベトナムの主権を侵害する中共を止めるため、早急に国際裁判所に提訴すべきだ。中共の膨張主義と闘う全国民を団結させるためにも、政府は明確な方法で立場を示す必要がある」と述べたそうです。
南シナ海で中共が実効支配をエスカレートさせていることへの強い反発があるからで、もはや提訴しか対抗手段は無いという判断もあるそうです。
多くのベトナム政府関係者も、現在行っている中共との話し合いで、「話し合いが尽きた場合、書類を準備し国際裁判所に持ち込むべきだ」と語っているとか。
ベトナムは中共と同じ「共産党一党支配」の国家です。しかもアメリカと長い戦争を勝ち抜き、同じ共産党であることから、中共とは共産党同士の特殊な関係(どうせ既得権に関するものでしょうが)を持っています。
ですから中共は、その人脈を通じて「ベトナム政府の提訴指向」に対して相当の圧力をかけているとのことですが、ベトナム政府筋の話としては、「中共が攻撃的になるにつれ、ベトナム共産党の態度にも変化が生じている」ということです。
安倍政権は発足とほぼ同時に、麻生副総理ミャンマー訪問、岸田外相のフィリピン、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア訪問、そして安倍首相のベトナム、タイ、インドネシア訪問し、それからアメリカを訪問しました。
それから、3月にはモンゴルの訪問となり、見事なくらい「中共包囲網」を形にしたわけです。
対する中共・習政権は、ロシア訪問とアフリカのタンザニア訪問で対抗し、そしてオーストラリアなどを巻き込んだ国際会議を提唱し始めたようです。
オーストラリアにとって、中共は大事な資源の輸出先となりますから、無碍には出来ないところを、よく掴んで引き込み工作を行っている中共です。
しかし、日本の勢いは止まらず、アベノミクスも日銀・黒田総裁の国債買い入れ輪番オペレーションと基金による国債買い入れの合体オペレーションがいよいよ動き始めました。
習政権がどのような手段で対日工作を始めるかは判りませんが、その対応手段もかなり狭まってきたようです。(しかし、安倍首相の周辺の議員に手を伸ばしているという噂もありますので、油断は出来ませんけど。)
このような流れを見た上での、ベトナムの「提訴指向」ではないでしょうか?
安倍首相が演説した「南シナ海と東シナ海は、力ではなく法による支配を目指す」という言葉が、ベトナムに「提訴」という選択肢を選ばせたとも取れませんか?
この「力ではなく法の支配する海」ということの意味は、中共との間で戦争になるのではなく、日米同盟という警察権によって、海賊行為(中共の侵略行為)を取り締まるという意味ですね。
「悪(=中共)」を取り締まるということが、すなわち「自由で安全な海」の実現というわけです。そしてこれが「中共排除」ではないことの表現が「中共海軍にも手伝ってもらいたい」と言うような外交辞令になるわけですね。
安倍首相は外交を熟知しているようです。
これから5月頃には、ロシア訪問が待っています。プーチン大統領とは、1月に特使として訪露した森元総理が、何らかの下準備をしたはずですから、北方領土に関して、何らかの交渉が見られるかも知れません。もちろんロシア・ガスの輸入を前提としてのことですけどね。
ロシアとの間に何らかの経済関係が成立すれば、「中共」の包囲網はほとんど完成です。ここに日本の憲法改正と再軍備が加わり、戦後レジームからの脱却が本格化すれば、台湾も勢いがつくのではないでしょうか?(安倍首相の「戦後レジームからの脱却」に対して、中共は「日本は戦後の世界秩序を守れ」という言い方をしました)
台湾の馬政権は、尖閣問題に対しては中共とは同調しないというスタンスを取り出しました。この政権はあと3年続きますが、4年後は台湾独立派が政権を取る可能性が出てきます。
そうすれば台湾も中共包囲網の一翼を担うでしょうし、そこからチベット、ウイグルの独立の戦いにも火が付くことでしょう。
ベトナムとフィリピンが「提訴」を行えば、日本がそれをバックアップするのは当然のことですね。
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