2012年5月7日月曜日

財務官僚の嘘、田村氏の警告


産経の田村秀男編集委員が、「増税派4つの論拠のウソ」という論を、連休初日の4月29日に掲載しました。
消費増税の国会審議が連休明けから始まるので、それに関する「まともな意見」と見做せます。

この消費増税は、財務官僚が必死になって与野党議員、そしてマスコミに説明した結果、法案として通りそうになっているものです。
そしてその論拠としている4点、「消費増税で(1)景気がよくなる(2)社会保障財源が確保できる(3)財政均衡が実現できる(4)日本のギリシャ化は免れる」がいかに間違っているかを、田村氏が説明しています。

まず、「消費税増税で景気がよくなる」という根拠は・・・
「国が借金を膨らませる状況では、現役世代は将来の負担増を懸念して生活防衛色を強める」というものだそうです。
日銀の白川総裁まで、わざわざワシントンで「人々は将来の財政状況への不安から支出を抑制し、そのことが低成長と緩やかなデフレの一因になっていると考えられる」などと話していますから、デフレの原因の認識がまったく現実とは違っていると思います。

我が国民は、国家が借金を積み重ねることで将来の負担増が・・・と本当に考えているのでしょうか?
とてもそうは思えません。デフレだから収入が減って、それで消費が落ち込んでいるだけでしょう。そんなことが判らないで、経済など論じるべきではないはずです。
増税で、物価はますます安くせざるを得ない状況(即ち消費増税分を幾分でも減らそうとするバイアス)になりますから、思ったように税収は上がらないわけです。
そこで物価が下がらないように法制化しようとすれば、それはもう社会主義の恐怖政治ということになるのですね。

増税は単純に可処分所得を減らしますから消費が減り、生産側も減産せざるを得なくなりますから、失業者が増えます。結果的には税収は激減します。どうして「社会保障財源が確保できる」と考えるのでしょうか?
国民を馬鹿にするのもいい加減にして欲しいですね。

増税とは税率を上げるだけですから、税収は減少します。もちろんインフレであればそのようなことは無いでしょう。今はデフレですから減収になるわけです。
減収になれば「財政均衡が実現できる」わけはありません。ますます財政赤字は増えることが当然の成り行きです。

こうなっていけば、生産側も経済活動は出来なくなっていきますから、廃業に追い込まれる可能性は高まります。損して商売を続けることが出来ないことは、誰が考えても当たり前です。
日本の生産基盤がこうして破壊されていけば、生活必需品は外国製品を買わなければならなくなってきます。
こうして日本の蓄えが外国に流れ、さらに借金も外国からの借金となってくれば、日本は「ギリシャ化は免れる」どころか、本当にギリシャ化してしまうということになるでしょう。

この4つの嘘を、財務省は嘘と思っていないようです。
「政府が借金を続ける」→「国民は将来が不安になり消費を控え貯蓄する」→「デフレになる」→「また政府が借金をする」・・というのが財務省にとって都合がいい考え方なんですね。

現実は「バブル崩壊で通貨量が減ってしまった」→「政府は減った分だけのお金を市場に供給しなかった」→「不足分だけ物価が下がった」→「税収が落ち込み再び不十分なお金を市場に出した」→「また不足分だけ物価が下がった」・・・という繰り返しでデフレが進行しただけではないでしょうか?

すなわち、政府はバブル崩壊で消滅した通貨量がわかっていないようですね。あるいは判っていても、そんなに大量の通貨を発行したらインフレになる・・という「恐怖の幻想」に負けて不十分な供給しかしなかったのではないでしょうか?
それがデフレの慢性化を生み、財政悪化となっているだけです。今でもインフレ恐怖症が、このような非現実的な解釈をさせているのでしょう。(省益のことはさておいて)

故ニクソン大統領が、ドルの兌換を止めたのはデフレ対策のためです。彼は大恐慌の教訓をよく学んでいました。通貨の発行量を無制限とすることで、産業社会の循環はうまくいくとの考えです。インフレ対策は、公定歩合を高くしたり、増税したりと、抑止手法がありますから大丈夫なのです。

日本の国債はすべてが円建て。そうである限り、いくら借金して通貨量を増やしても大丈夫。もちろんインフレが始まったら抑止する必要はありますけど。
国家の帳簿を見て、その「円建て借金」の金額に驚く必要などまったく無いのですよ。(企業会計ではありませんからね。それはただの数字にすぎません)
それが主権国家のマクロ経済というものだからです。

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