1月1日の蔡英文総統の発言に対して、中共の習近平主席の2日の応答は「一国二制度の堅持」だったようです。
昨年の台湾統一地方選挙で国民党が勝利し、「一つの中国」原則を認めない民主進歩党の蔡英文政権が惨敗したことを利用したものでした。
習氏は「平和統一、一国二制度」の基本原則を堅持する姿勢を示した上で、「二制度」の方策を具体化する方針を表明したようです。
私有財産や宗教信仰の自由などは「十分に保障される」と主張し、「一つの中国」原則を基礎として、「台湾の各党派や団体」との間で中台間の政治問題や平和統一のプロセスに関する対話を実施する意向を示したのです。
その上で、習主席は「武器の使用は放棄せず、あらゆる必要な措置をとる選択肢を残す」と述べ、「外部勢力の干渉や台独(台湾独立)分子」に対しては武力行使を辞さない姿勢を改めて強調しました。
もちろんこれは蔡政権への接近を強めるトランプ米政権を意識したもので、「台湾問題は中共の内政で、中共の核心的利益と民族感情に関わることであり、いかなる外部の干渉も許さない」などと米台の引き離しを必死に訴えたようです。
これが中共独特の甘言であり、こんな言葉に乗ればチベットやウイグルと同じことになるのは明白です。しかし台湾国民にこのことが判るかどうか、そこが一番のポイントなんですけど・・・
この一国二制度とは、共産主義と自由主義の二制度になります。ようするに東西冷戦時の西ドイツと東ドイツの共存と同じことです。
違うのは壁が無く、台湾海峡があるという違いだけです。
東ドイツの国民は西ドイツへ脱走を図り多くが殺されています。台湾にはこのような中共から逃げて来る人はいません。中共の人達は「自由」が判らないからでしょう。
「自由」はそれほど甘いものではありませんし、努力と辛抱の連続です。しかし人権は守られますし、独裁者や独裁政党の都合で人生を変えられることはありません。
また運よく努力が実って快適な生活を入手しても、独裁者や政党に取られることはありません。そのようなシステムになっているからです。
共産主義では、例え天才的頭脳を持って世界のトップに立っても、スタンフォード大学の張首晟物理学終身教授のようになってしまうのでは、仕方ありませんね。
どう考えても、「二制度」の方策を模索する方針があるとは思えません。もしあるとしたら、例えば福建省が「台湾方式を取り込む」と言った場合は共産党指導部はそれを受け入れるという方針が出せると言う事になります。
一国二制度とは、中国大陸の各省がどちらを選ぶか、それが決められることを保証しなければなりません。一国二制度は台湾だけ特別に取り扱うものではないはずですからね。
そうでない限り、習近平主席の「一国二制度の堅持」は偽物であり、単に台湾を騙しているに過ぎません。
このことは、香港を見ていればお解りのはずです。香港は英国から返還されるとき、一国二制度は100年続くことが言われていました。それがあのていたらくです。
台湾の国民が騙されるのは、経済活動の面でしょう。中共国内に展開している台湾企業が「共産主義でも大丈夫だよ」などと言ったとしても、それは言わされているだけであって、実体ではないでしょう。
この点は日本企業も同じで、ブリジストンなどがいかにいじめられているか、それは鳩山元総理の現在の行動を見れば判るはずです。
ですから蔡英文総統は、この直後に「台湾は絶対に受け入れない」と述べ、習主席の言う一国二制度を拒否しました。そして「(一国二制度)は台湾の絶対的多数の民意が断固として反対しており、コンセンサスだ」と発言しました。
アメリカ・トランプ政権は、対中政策として「もう騙されない」というスタンスを取っただけです。それでオバマ政権時にいかにアメリカが騙されていたか、民主党も気が付いたわけですね。
米中経済戦争の原因はそこにあるわけです。いまだにトランプ政権をどうするか中共は考えているようですが、その内容は「トランプ政権がダメなら、その次の政権を騙せばいい」と言うようなことでしょう。どこまで行っても中共は「騙す」ことしか出来ないようですから。
もし、台湾だけでなく福建省や広東省、そして雲南省や香港が台湾方式を取り入れることを認めるとなれば、「平和統一、一国二制度」の基本原則を認めてもいいとは思いますが、習政権が台湾だけに向かって「平和統一、一国二制度」などと言っても、それを世界が認めることは出来ないし、それは決して中共の内政干渉というわけではありません。
なぜなら人権抑圧、特に臓器売買などの悪魔の所業を世界は黙って見ていてはいけないからです。
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