2019年1月13日日曜日

台湾、頼清徳行首相の辞任

台湾の頼清徳行政院長(首相に相当)が辞任しました。
その理由は、昨年11月に行われた統一地方選で民進党が惨敗した責任を取るという発表でした。これは投開票日に惨敗が確定した時点で彼が表明していたことで、今年度予算が10日に成立したことを受け、蔡英文総統が辞任を認めたと言うことです。

一昨年に台湾の方とお会いした時、「蔡英文政権が支持されなくなってきていること」を心配していると申したところ、その方は「蔡英文総統の次世代リーダーとして頼清徳氏の人気が出てきているから大丈夫」と述べていたことを思い出します。

蔡英文総統は、この頼清徳氏を次期総統選でライバルにしたくないために行政院長のポストに置いたという噂もありました。
ですから、頼清徳氏は2020年1月の総統選には蔡英文総統の対抗馬として、同じ民進党がら出馬するための辞任であると、一般的には見られているようです。

統一地方選で民進党が惨敗した背景には、国民党が選挙期間中に一切「対中共」について何も言わなかったことです。蔡政権が失敗していた経済問題だけを取り上げ、経済の向上を訴えていたようです。
中共側も、しばらくは台湾海峡でおとなしくしておりましたから、この作戦に乗った国民が国民党候補者に投票してしまったものと思われます。

しかしもう一つの見方として、蔡政権が「台湾独立」を口に出さず、一国二制度が受け入れられないとか、特殊な2国間関係などと台湾の主権国家としての位置づけを口にしなかったことが敗因だと言う方々も多いようです。

年明けの2日の習主席が台湾に対するコメントを発表すると聞いて、蔡総統は先の1日に異例の談話を発表しました。
そこで「一国二制度は受け入れられない」とはっきり述べたことです。そして習主席のコメントも「一国二制度の堅持」を述べていましたが、蔡首席は2日直ちに「受け入れられない」ことを明言しました。

また、アメリカの台湾支援がアメリカ議会で成立したこと。そして台湾でスパイが数名摘発されたことなどで、蔡政権への支持率が少し上がったと言いますから、いかに中共が台湾国民に嫌われているか、そのことが判ります。

日本では台湾正名運動が起きておりましたが、今回の地方選挙で、2020年の東京五輪に台湾正名で参加するかどうかの国民投票も行われ、台湾正名では行わない方が良いという結果になってしまいました。

恐らく台湾は、いまだ中共経済にぶら下がっている部分があり、その経済が台湾正名での参加を拒否したのではないでしょうか。
その勢力が蔡英文政権に「台湾独立」という明確な指標を出させずにいるのだと思います。何しろこの問題は中共に展開している台湾企業にとっては命の危険にかかわりますからね。

台湾の総統選挙は来年の1月です。その時までにアメリカが対中経済制裁を続け、台湾企業が損切りしても台湾に戻ってくるかどうか、中共が経済のデフレ下に陥り世界経済に影響が出て来るかどうかが決め手になるように思います。

中共の旨味はその経済支援にあります。これまでは高利貸のような手法で港湾設備などを乗っ取ってきたのですが、それが世界的にアンフェアなやり方として非難され始めました。
そして中共国内を訪問された方が、「中共国内の不況感がはっきりと感じ取れるようになってきた」と述べております。

これが2019年にさらに拡大し、日本の景気も悪化させ世界経済も悪化させれば、いやでも世界は中共経済の「切り離し」に奔走するでしょう。
そうなれば日本でも消費増税は不可能になるでしょう。(いい部分もありますね)

台湾経済が中共離れを起こせば、「台湾独立」という公約を掲げて「頼清徳氏」が総統選挙に出てこれる環境が整うのではないでしょうか。
中共国内では「習近平卸し」が動き出すかも知れません。トランプ大統領が変なところで習政権とおかしなディールをしないと良いのですが・・・

波乱にとんだ2019年、1月から様々な情勢の変化が見えてきましたね。

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