2016年9月6日火曜日

杭州・G20の流れは・・

日露首脳会談をこなした安倍首相は、すぐにG20に出席するために、9月4日午前中に杭州に向けて政府専用機で羽田空港を出発しました。

安倍首相はG20の後、ラオス・ビエンチャンで開かれる日本・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議や東アジアサミットなど一連の会議に出席する予定だそうです。

出発前の記者会見では、「G20では先進国、新興国が一致協力して世界経済をしっかりとした成長軌道に戻していく、そのための議論をリードしていきたい。東アジアサミットでは、法の支配、航行の自由などの重要性を指摘し、東シナ海、南シナ海における日本の立場を明確に述べていきたい」と述べました。

しかしG20首脳会議を目前に控えてか、8月下旬から尖閣付近での中共の公船の動きは沈静化していて、ホスト国である中共側は東シナ海や海洋秩序をめぐる日本の主張がG20首脳会議全体にも波及することを警戒しており、李保東外務次官は「経済問題に集中すべきだ」などと予防線を張っていたとか。(ただし4隻の公船が尖閣周辺をうろついているのは今までと変わりませんが)

そして南シナ海のスカボロー礁には中共の海警局の公船4隻や埋め立て用とみられる作業船、軍の輸送艦など、計10隻の中共の公船が集結、フィリピンのドゥテルテ政権を揺さぶり、そして南シナ海を譲る気配は全く見せておりません。

オバマ大統領が3日に「エアフォース・ワン」で杭州の空港に着いた時は、タラップが意図的に用意されていませんでした。オバマ大統領は仕方なく機体備え付けの階段を使って降りたわけです。それに対し欧米のメディアが「外交儀礼に反している」と書きたてましたが、中共側は知らん顔。
空港では出迎えの中共側職員が大統領随行記者に対し、オバマ氏から離れるよう指示し、記者団がそれでも離れないと、「ここはわれわれの国だ。われわれの空港だ」と怒鳴り出したと言うことです。ライス大統領補佐官がオバマ氏に近づこうとした際にも、中共側職員に阻まれ、抗議する場面もあったとか。ともかくオバマ大統領に南シナ海や東シナ海のことを言わせたくない習政権の非常識な対応と言うことでしょうか。

G20直前にカナダのAIIB入りを発表させた中共です。そして3日にはオバマ氏がG20が開かれる杭州に向けてハワイを出発した直後に「パリ協定」の締結を承認したりする演出にこだわる習政権。

朴槿恵大統領に対してはTHAAD配備の撤回を要求します。「この問題の処理を誤れば地域の戦略的安定には寄与せず、各方面の対立を激化させる。双方は互いの核心利益を尊重しなければならない」などと恐喝まがいの「反対」を表明します。しかし朴大統領は「北の核・ミサイル開発問題が解決すれば(THAADは)必要ない」と明言し、「北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返していることにより、被害を受ける可能性がある韓国国民が感じている脅威は、中共側が感じる脅威のレベルとは差がある」としてTHAAD配備を進める考えを述べました。

オバマ大統領は、南シナ海ほぼ全域での中共の主権主張を退けた仲裁裁判所の判断を無視し、更なる南シナ海の侵略をしている中共に対し、「国力を増すごとに負うべき責任も増す。中共がフィリピンやベトナムよりも大きい国だからといって、力の誇示が許されるわけではない。」と述べ、南シナ海での国際法違反が「重大な結果を招く」と中共側に忠告していることを、CNNテレビで明らかにしました。

安倍首相は「国際貿易・投資」をテーマにした第3セッションで、大航海時代以降、海洋貿易は世界を結び、平和な海が人類の繁栄の礎となった。国際交易を支える海洋における航行および上空飛行の自由の確保と法の支配の徹底を再確認したい」として各国に賛同を求めました。

また中共の鉄鋼などの過剰生産について、「補助金等の支援措置で市場がわい曲されていることが根本的な問題だ。主要生産国が参加する対話を通じ、市場メカニズムに則した構造改革を促したい」として主要生産国が参加する「グローバル・フォーラム」を設けて、対応などを話し合う必要性を指摘しました。

今回のG20は、「G19で見解が一致した」と言われるくらい「見えざる“対中包囲網”が静かに構築されつつある」と感じられたようです。

議長国の習近平国家主席は、国際社会が懸念を深めている南シナ海や東シナ海をめぐる摩擦や、イスラム過激派を含むテロの脅威など、外交・安全保障の問題には触れず、議題を国際経済に限る姿勢を強調したかったようですが、「多くの首脳が参加する国際会議で、議長国のご都合主義で外交問題を封じ込めようとすればするほど、その異質さが浮き彫りになる」とオーストラリアの記者が述べるように、杭州に集まった日米欧やアジア周辺国の首脳や外交当局者、報道関係者による水面下の意見交換のテーマは、南シナ海など外交問題に集中していたと言うことです。

経済問題でも、世界の鉄鋼生産量(約16億トン)のほぼ半分を生産し、3億トン以上の過剰生産能力を抱える中共に対し、市場の価格形成をゆがめているとして各国は中共に強硬姿勢をとりました。
習近平国家主席は「構造改革を積極的に推進していく」として、過剰生産能力の解消に力を入れる考えを示しましたが、同時に「各国は新たな保護貿易的な措置を取らない合意を厳守し、貿易を拡大すべきだ」と強調するなど、保護主義への対抗を呼びかけています。

ともかく習政権が初めて迎えた国際会議「G20」は終了しました。G19対中共の構図が明らかに見えてきたことが、今回のG20の最大の特徴だったようですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿