3月の月例経済報告書によりますと、景気判断が5カ月ぶりに下方修正されたようです。アベノミクスによる公共投資の残りが終了し建設の需要が無くなり、そこに中共経済の失速が加わって、そして一昨年の消費増税8%以後の消費低迷が2年を経ても回復しないことが、日本を再びデフレ状態へと引き戻し始めました。
甘利氏から変わった石原伸晃経済再生担当相は、「株価や外国為替相場の変動が消費マインドに悪影響を与えているものの、雇用や所得環境の改善傾向は続き、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に大きな変化はない」などと述べましたが、そんな甘い状態ではないと思います。
財務省を代弁する麻生太郎財務相兼副総理は、「リーマン・ショックや大震災など、よほどのことがない限り確実に実施する」と述べましたが、消費動向のグラフではリーマンショック後の落ち込みと同じくらいの落ち込みがみられております。
この財務相の発言は、アメリカから来日したスティグリッツ米コロンビア大教授が、「消費増税は今すべきではない」とした発言に対して反論したものだと思われますが、やはり根拠などどうでもいい財務省なのですね。
財務省がいつも言う「日本は1000兆円の借金がある」というフレーズに対して、安倍首相の経済ブレーンで内閣参謀参与である本田悦朗氏は、「これはバランスシートの負債の部の数字であって、資産の部には400兆円分の資産が計上されている」と述べております。ですから純負債(国債残)は600兆円ほどになるわけです。
そしてそのうちの300兆円くらいは日銀が買い取っています。「日銀への利払いはそのまま再び政府にもどされますし、償還期限がくれば国債買い替え(再発行)の手続きがとられますから、事実上消えたのと同じです」として、本田氏は現在の実質負債(潰しの価格)は300兆円ほどになっていると話されています。
国債の中央銀行の直接買い付けを一般的には「国債の現金化」と言います。これが今まで禁じ手であったのは、インフレになるからです。
政府が直接「現金」を発行することが出来れば、国民の人気を煽るためにどんどん紙幣を発行して、インフレになってしまうというのがこれまでの常識でした。
しかし、慢性的デフレが続く中ではインフレこそがデフレ脱却の切り札なのです。ですから常識は変わります。
政府が現金を発効して国土交通省とか防衛省などに必要な予算を与え、各省庁が公共投資に使えば良いわけです。インフレ状態になってきたらすぐさまこれを止めて、消費増税などで発行しすぎたお金を回収すれば、それでバランスします。
これまでは、この予算編成の間に財務省が入っておりました。ですから各省庁への予算割り振りは唯一「財務省」の権限で行われてきたわけです。これが政府直接になってしまうと財務省は予算割り振りの権限を失います。ただ政府の予算割り当てを受け入れて記帳するだけの省庁となってしまうのです。
財務省の権限は、税金を徴収し、それを各省庁に割り振ることでした。ですから政府は常に「財源はどこにあるか」という問題に苛まれてきたわけです。
しかし政府が直接各省庁から予算をもらって、財務省が割り当てきれないものを国債の日銀引き受けで現金化して各省庁に配れば、財源の問題は解決するはずですね。
一時的に国債発行額は膨らみますが、適度なインフレ(これを経済成長と言います)が少しづつ返済していきますから心配はないでしょう。
税収も増加しますしね。
では、いつまで政府は国債の直接日銀引き受け、即ち「国債の現金化」をすればいいかと言う点ですが、失われた20年というくらいで、今は成長率が横ばいになっています。
これを持ち上げるのに必要な通貨の増量はかなり莫大な金額になるのではないでしょうか。
日本経済の規模は日本国民が思っているよりもかなり大きく、そして世界に対する影響力も大きいはずです。これまでの政治のように中途半端な通貨発行と公共投資では、横ばいになった重い成長曲線はなかなか持ち上がらないような気がします。
このような政治を動かす時、一番問題なのが「財務省」の扱いです。これまでは予算の配分で各省庁に対して絶大な権力を誇示してきたわけですが、この政策転換で政府は財務省以外に現金の入手先が出来るわけです。
そうしますと各省庁は政府に対して必要な予算を要求することが可能になります。国民に選ばれたわけでもない財務官僚に、その予算の必要性を説明するよりも、国民に選ばれた政府・内閣府に説明する方が国民の為にもなるのではないでしょうか。
とはいっても、国債の発行を野放しにするわけには行きません。きちんと記帳しておかないと困りますね。その記帳は財務省が行う訳です。
物価の上昇とそれにとそれに伴う賃金の上昇を常に計測しながら、民間企業などの資金需要を監視しながら、インフレが行き過ぎないようにして、消費税などのインフレ抑制策のタイミングを見ていなければなりません。
そして公務員の賃金の引き上げは、民間よりも後になるわけですね。
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