2016年3月12日土曜日

物作りの原点、英国に学べ

産経に、英国のマイナーな自動車メーカー「モーガン」が、EVを発表したという記事が出ていました。
そう、モルガン財団と同じ呼び名の「モルガンの自動車」なのです。

3ホイールの自動車で、独特のモーガンデザインを裏切ることなく、右ハンドルで0-100km/h加速:9秒以下という性能を引き出しました。
全く実用向きではない自動車で、オープンカーですから天気の良い日に遊びに行くくらいのことしか出来ないでしょう。

車重は基本が50Kgと超軽量ですが、電池を乗せると500Kgになるようで、ようするにリチュウムイオン電池が450kgあると言うことだと思います。

気になる価格ですが、限定50台の生産で1台1000万円くらいだとか。

EVで気になるもう一つの問題は走行距離ですが、満チャージで241kmの走行が可能、最高時速は145kmだそうです。
走行距離を伸ばすためには運転の仕方がEV的でなければなりません。そこでこの車はマニュアルのギアチェンジ(電気的なもの)を採用したとか。その方が運転技術を発揮しやすいからだそうです。

走行のビデオは以下のようです。
https://www.youtube.com/watch?v=MUsE4rkfzkc

ここで問題にしたいのは、日本の「物づくり」の姿勢なのです。「売れる『物づくり』が正しくて、売れないものは『ゴミ』として処分する」というのが日本企業、そして正社員たちの常識であり姿勢です。
工場で出荷され、在庫にならずに売れていく商品こそがモノづくりとするのは、昨日申し上げた「資本主義・バージョン3」の発想だと思うからです。

そしてこの発想こそが「ウォール街」を喜ばせ、金利生活者を喜ばせる価値観ではないでしょうか。
大量に売れることで利益が出ます。それを利息として払わせ、金融の社会が太って来たわけです。最近では企業の未来への投資ですら株式配当に回させるなど、未来からも搾取し始めたようです。その犠牲になっているのが現在の韓国社会であり、そしてアメリカ大統領選に見られる「トランプ旋風」なのではないでしょうか。
気が付いた国民だけが、少しづつ行動に出ているように感じます。

「物作り」とは、それ自体は楽しいことなのです。それを楽しくないようにしたのが、「フォーディズム」でした。「フォーディズム」とは、フォード自動車が採用した規格統一(標準化)とベルトコンベア式の生産方式です。
工場勤務者を未熟練者でも良いようにして、「物作りの楽しさ」を排除し、ただ「売れる商品」の量産だけを目的として利益を稼ぎ出したわけです。
これこそが金融社会(ウォール街)が待っていた「モノづくりのシステム化」だったわけです。

日本もこのアメリカの「フォーディズム」を取り入れて経済大国にのし上がったわけですが、しかしその基礎には日本の職人たちの手作業があって、それが優れた大量生産ライン(加工機材)を生み出していったことも忘れてはならないでしょう。
そのおかげで、現在の「MadeInJapan」というブランド的な言葉が生まれたのです。

欧州でも「フォーディズム」を取り入れようとしました。しかし貴族社会が職人社会を擁護していた欧州では、それが根付かなかったようです。
それゆえに欧州社会は経済的に衰退していったと考えられるでしょう。

第二次世界大戦後、共産主義の台頭がありアメリカが欧州に経済援助をして支えました。敗戦国ドイツだけは経済成長しましたが、他の国家は援助でなんとか持ちこたえました。しかし、やがてじり貧となり現在があるわけです。

現在、英国は経済危機に直面しています。英国政府はかつての支配国「中共」にまで媚を売り、何とかバランスシートを正常化しようと必死です。しかしこの「モーガン自動車」に見られるように、国民は結構「物づくり」を楽しんでいるように見えます。

産業革命以後、英国は大量生産による衣類の貿易などで儲け、金融を「シティ」に置いて世界の工場と呼ばれてきました。
現在はその面影もなく、経済危機に苛まれていますが、しかしそれは単なる「国家のバランスシート上の問題」に過ぎないことを国民は知っているのではないでしょうか。

生活に困っていないから「モーガンEV」なんかを作って遊んでいられるんだ・・という日本国民の声が聞こえてきそうですが、国家経済を見る限り、現在は日本経済は英国経済よりも優位にあります。
それが国民の生活感にフィードバックされないのは、日本国民自体が「金融資本主義、即ち資本主義・バージョン2」に染まっているからではないでしょうか。

インターネットの登場で資本主義はバージョン3に変化しております。これは日本経済にとって由々しき問題です。このままでは、これからの経済社会で、日本が「負け組」になってしまうからです。

「資本主義・バージョン4」のモデルとして「モーガンEV3」を紹介してみたわけですが、もっと身の回りの小さな道具類でも、自分なりのデザインが出きるものがあるはずです。
それらの見直しから、この新しい資本主義が始まるように思う次第です。

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