2014年6月2日月曜日

ついにG7・サミットでも中共批判を明記

中共の身勝手な海洋進出、そして南シナ海と東シナ海への侵略行為が、G7(先進7カ国首脳会議)の首脳宣言に盛り込まれることがはっきりしてきました。

今年のサミットはベルギー・ブリュッセルで4日から行われます。これまではロシアを交えてG8で行っていましたが、クリミアに侵攻したロシアが外されて再びG7となったものです。

ロシアのクリミア侵攻を「力による現状変更の試み」として批判しなければならないG7ですが、それなら南シナ海と東シナ海における中共も批判しなければ辻褄が合いません。
またG7にとっても、もはや中共は過去の経済大国です。すでに国土が荒れ果て、経済も行き詰まり、相変わらずチベットやウイグルに筆舌尽くしがたい暴力を振るう野蛮国家(欧米が作った国際法を守れない国家)には、何の未練もないという事でしょうか。

安倍首相は、ロシアのクリミア併合を「国際法違反」として問題視するために3月にバーグで開かれたG7緊急首脳会議の席上で、「力による現状変更の試み」として、「東シナ海でも南シナ海でも力を背景にした現状変更の試み、挑発が行われている」と中共を名指しで批判しましたが、ハーグ宣言には盛り込まれませんでした。

しかし、その後のプーチン・習会談などでロシアと中共が接近したため、今回の本番サミットでは首脳宣言に盛り込むことになったのだと思います。

シンガポールでのアジア安保会議で、中共は、王冠中副総参謀長を通して「南シナ海の南沙諸島や西沙諸島は2千年以上前に中国が発見し管轄下に置いた」などと述べていますが、これはつまり近代国際社会では根拠がないことを表明しただけとしか受け取れませんね。
この会議に出席したインドの参加者は、「海の上に線を引き自国領と言うのは国際法とは相いれない」と批判しております。

G7は、どちらかというと経済に主眼を置いたサミットです。ですから国際金融資本(ウォール街)を擁護する立場のように見えます。
ロシア批判はプーチン批判であり、石油利権をめぐるウォール街のプーチン潰しの一環として行われるものです。しかし自由主義の国家として「価値観を共にする日本」は、不本意であってもG7に同調しなければなりません。
そこで、このチャンスに安倍首相は、今回のロシアのクリミア併合を「力による現状変更の試み」として中共批判にも展開しました。うまいことに習政権はロシアに接近したからです。
おそらくこれがG7での宣言に中共批判を盛り込むことに成功した原因だと思います。

この問題をこのまま延長していくと、ロシアと日本は敵対してしまいます。日本とロシアには北方領土問題があり、この秋からでもロシアと話し合うことになっていました。
安倍・プーチン会談は実現するのか・・・それはまだ判りません。プーチン政権は北方領土問題を使って日本を刺激します。「北方領土問題を話し合う機会を日本が潰した」などと批判して。

さて、ここで再び安倍首相のサプライズが飛び出しました。
ブリュッセルでのG7に参加した後、安倍首相はイタリアを訪問することが発表されたのです。しかもバチカン市国も訪問し、ローマ法王に謁見するということです。
このローマ法王「フランシスコ1世」は、今年の正月に「若者よ。グローバル資本主義と戦え」と激をとばしたことで有名です。即ち「反ウォール街」を鮮明にする珍しい法王なのです。

バチカンは独立した市国であり、そこに慈善事業などを目的としたバチカン銀行もあります。問題はこのバチカン銀行がテロ資金の提供、兵器の取引などのマネーロンダリングに使われている実態が暴露されてしまいました。そのためにベネディクト16世が退位せざるを得なかったこともあって「グローバル金融、すなわちウォール街」との戦いになったということですが、フランシスコ1世はその戦いのために法王になった人物です。

このローマ法王とは全く違う次元でウォール街と戦っているのがプーチン大統領です。プーチン氏はロシア経済を守るためにウォール街の手先がロシア石油・ガス資源を乗っ取ろうとした時、暴力を持ってそれを阻止し、ウォール街との戦いを始めた政治家です。
そこに「グローバル資本主義との戦い」ということでバチカンと共通項目を見い出せるわけです。そこを狙って安倍外交が動きます。

ウォール街は中共と繋がっていますし、韓国などは乗っ取られたも同然です。日本に食い込むウォール街の武器が「TPP」ですが、安倍首相は交渉継続を擁護して、まだ瀬戸際で食い止めています。
戦後既得権を持つTPP推進派の日本企業も、交渉継続では発言が抑えられます。この竦み状態を維持しながら、ロシアのクリミア侵攻を使って中共批判を国際会議(サミット)に持ち込み、中共包囲網を強化し続ける安倍外交です。

ロシア制裁に精彩を欠く欧州各国は、今エネルギー自立の道を模索し始めました。すなわちエネルギーのロシア依存を止める方向性が強くなっています。
活発に原子力発電を行うフランスに、安倍政権は技術協力を申し出ていますし、より安全な発電技術の開発を共同して行う事でも意見が一致しています。
欧州のエネルギーのロシア離れが始まれば、今度はロシア経済が行き詰って行きます。恐らく経済支援ができるのは日本だけではないでしょうか。欧州の「エネルギー・ロシア離れ」を進めながら、ロシアに北方領土の譲歩を迫り、しかもウォール街との戦いには同調するというシナリオは安倍政権の真骨頂かも知れません。

今年後半の安倍政権の動きが楽しみですね。

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