中共の李克強首相が先週英国とギリシャを訪問しました。英国から約2兆4000億円以上の液化天然ガスを買付け、そしてギリシャには約6600億円のインフラ整備などの経済協力強化を行うそうです。
ギリシャへの支援は、どうせ中国人労働者を連れてきて空港・港湾などの工事を行い、その労働者もまたギリシャに居ついて地域社会を破壊するようになると思いますけど。
英国からの液化天然ガスの買い付けは、逼迫する中共のエネルギー事情によるものでしょうが、財政再建中の中共がずいぶんと思い切ったことをするものですね。
産経は、この価格についてギリシャへの経済協力には65億ドルとドルを使いましたが、液化天然ガスの価格を140億ポンドとポンドの単位で記載されておりました。
ポンドは英国の通貨です。つまり英国は自国通貨で支払いを受けることでデフレ脱却を計算しているのかも知れませんね。
また、事実上の中国における旧宗主国であった英国が、最後の意地を見せたのかも知れませんが・・・
英国政府は、経済的な意味で今回の李克強首相を評価しているようですが、英国国民は政府が人権問題に触れなかったことで批判しているようです。
各マスコミは、25年を迎えた天安門事件に触れなかったことを批判しながら、「新たな世界秩序に歓喜」し「新たな属国に気前よく金品を与える植民地の総督のようだ」と李克強首相を皮肉っているとか。
ここには李克強首相とエリザベス女王との会見を強要したこと、そして、李氏の英国到着時に空港で用意された赤じゅうたんが3メートル短かったと文句を言っていたことなどが英国国民を不快にさせたようで、「英国が中共側の『傲慢な態度』に耐えている」と述べております。
英国のあと、ギリシャに向かった李克強首相ですが、ロイター通信は「ギリシャは、中共の『欧州の入り口』になろうとしている」と、港湾整備などに力を入れている中共を牽制しています。
中共の世界戦略は、中華思想での支配・すなわち華夷秩序の正義を普遍化することにあると思います。
ギリシャへの経済支援がその突破口であることについては異論がありません。
ギリシャは欧州、いや人類にとっての民主主義発祥の地です。そこに中華思想が乗り込んできたと考えられます。つまり欧州式の多数決民主主義が危機に晒されていると見てもよいのではないでしょうか。
現在のギリシャが今から2000年以上前のギリシャとは住民が全く違うとしても、ギリシャはギリシャです。
ギリシャもまた、他の欧州各国と同じように、20世紀後半になっても貴族資本主義は消えませんでした。サヨク勢力に突き動かされても、貴族たちは貧富差を広げ、労働力を他国から移民として受け入れて国家存続を維持してきたわけです。
合法的に受け入れた移民でも、そこで生活基盤が確保されれば不法移民を呼び込みます。不景気の中でこの移民と国民との間でトラブルが発生するのは当然のことでしょう。
この当然のトラブルに乗じて、「黄金の夜明け」という政党が登場し、、「血、名誉、黄金の夜明け」というスローガンのもと、2012年の総選挙で国政に議員を送り込んでおります。
この時の公約が「すべての移民を国外追放し、国境地帯に地雷を敷設する」というものでした。
移民排斥を訴え、主張だけでなく行動も起こしていますから過激な政党であることは間違いありません。そしてその行動を見ていますと、かつてのナチスを彷彿とさせます。
1年前の支持率は14%で、しかも伸び続けているようですね。
ここに中共が入ってきたらどうなるでしょうか。港湾労働者は中国人ばかりで、雇われるレイバーが移民達だったら・・・
この黄金の夜明け党がさらに勢力を伸ばし、国政を左右する政党となり、やがて他の欧州諸国にも飛び火していくような、そんな気がします。
フランスの国民戦線などとも共闘することが可能でしょう。こうして独裁政党が擁立されていき、その裏側に中共の資金援助が付いたら・・・
欧州の混乱と独裁を、中共は「民主主義のなれの果て」と喧伝して華夷秩序を正当化して行くわけです。
この時、東アジアの国々はどのように振る舞うでしょうか。次々と華夷秩序にのみ込まれていくのでしょうか。華夷秩序は中華思想の世界支配の構図で、共産主義の仮面が被されて、すべての宗教の上位に配置されるでしょう。ウイグルやチベットのように。
中共と経済でクリンチ状態だったアメリカは、このところ経済回復が進んでいます。アメリカは人民元決済の裏書をドルでしております。その関係かどうか、アメリカは中共のお金の状況はすべて把握していると言うことです。
英国からの液化天然ガスの買い付けも、石油メジャーの管理下で行われているだけだと思います。中共の経済が悪化すればするほど、アメリカの対中優位が進展するわけですね。
ウクライナ問題で孤立するロシアもまた、このような中共の動きをよく見ています。ですから中共の国際戦略が思惑通りに行くことはないでしょう。それでも、中共もまた諦めることは無いでしょう。
欧州も目が離せなくなってきましたね。
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