環太平洋戦略的経済連携協定交渉(TPP)が現在進行中ですが、どうも内容が良くわかりません。しかしフロマン米通商代表部代表(USTR代表)の演説などから見えてきたことは、日本側が押しているようです。
フロマン代表は18日に行ったワシントン市内での講演で、「TPP交渉の妥結に向け、自動車分野など日米2国間協議の進展が重要になる」と述べております。
TPP交渉の妥結には、農産品のほかに「日本との自動車分野での強固な成果が極めて重要なのは明らかだ」と述べました。
そして「15日に甘利担当相と会談したが、関税を扱う市場アクセス分野やその他の懸案事項について、合意の水準に達しなかった」と、交渉が決裂しそうな状況を指摘しています。
甘利氏は、15日の会談で「双方が譲歩案を示すことで合意した」と述べています。
フロマン代表は講演で、このことを念頭に次のように述べたのです。「TPP交渉の加速に向け、大統領に強い通商権限を与える『大統領貿易促進権限(TPA)』法案について、改めて議会に早期可決を要請する」と・・・
日本側は、コメや麦、牛・豚肉など重要な5項目の農産物関税をめぐり、米国に譲歩案を示す方針を明らかにしております。もちろんアメリカが自動車関税を引き下げる条件なのでしょうけど。
そして交渉が行われているシンガポールに約120人の交渉団を派遣しました。TPP対策本部がある内閣官房や、外務省、経済産業省、農林水産省などの交渉担当者らで構成された派遣団です。甘利担当相を補佐したり、関税撤廃や知的財産などの難航分野を中心に開かれる作業部会に強い交渉が出来る者を出席させるためのようです。
交渉は、2月22日から始まる予定なのですけど。
秘密交渉が原則のTPP交渉ですが、内容が漏れてきております。それはたび重なる記者会見から見えてくるわけで、日本はずいぶん譲歩しているように見えます。しかし自動車関税に対しては譲歩する気はないようで、日本の譲歩に対してアメリカ側の譲歩を示すように強く出ている様子ですね。
甘利担当相は、「日本なりに譲歩を検討しているが、米側も譲歩を示さないと着地点は見えてこない」と述べております。
TPP交渉は、決裂すれば元の木阿弥です。日本側がそれを狙っているわけではありませんが、アメリカが自動車で譲歩しないことで決裂すれば、責任はアメリカ側にあることになります。
自動車はアメリカにとって譲歩出来ない分野であることはわかります。そしてそこがウィークポイントになっているわけです。
自動車企業はアメリカの圧力団体でもあり、政界との結びつきも強く、もし自動車関税で譲歩するようなことがあれば、フロマン代表の政治生命が断たれてしまう可能性もあるのかも知れません。
すなわち、自動車の譲歩も出来ないし、かといってTPP交渉失敗と言うわけにもいかないという板挟みなのです。
そこで出てきたのが「大統領貿易促進権限(TPA)法案」ではないでしょうか。
つまり業界団体の圧力で交渉が決裂しないように、バランスを持って譲歩するように大統領権限で指示することが出来るようにする法案だと思います。
それがまだ議会を通過していないことを、フロマン代表が述べ、議会に対し「早期可決を要請」したのだと思います。
しかし、アメリカがこのような法案を通すでしょうか?ほとんどの業界が政治に対する圧力団体であり、そこに選挙資金が絡み、候補者の支持もそこから派生するアメリカなのです。
法案が審議されても、議員の多くは支持層から「可決しないように」という圧力が掛けられているのかも知れません。
もしそうだとしたら、フロマン代表がいくら日本側から譲歩を引き出しても妥結には至らないでしょう。気の毒なのはフロマン代表ですね。
アメリカの農家が喉から手が出るほど欲しい「日本市場」で、しかも日本側は大きく譲歩してきたと言うのに、あの自動車業界どもが意固地だったばかりに、すべてがおじゃんになってしまった・・・
ということになれば、もはやアメリカの自動車がアメリカで売れなくなるのは道理ではないでしょうか?
そうすれば、ますます日本の自動車が売れ、アメリカの自動車会社は衰退の一途になるわけです。
TPP決裂で日本の農業は守られ、しかも日本の自動車がアメリカでもっと売れるようになるというわけで、すべて目出度し目出度し・・と行くかどうか。
このTPP交渉ですが、アメリカが日本を非難するので、中共と韓国が喜んでいます。韓国はTPPへの参加表明をし始めました。
佐々江賢一郎駐米大使は「経済関係の強化は外交面にも良い影響を与える。中共や韓国との自由貿易協定(FTA)については、経済以外でも良い関係を構築する上で有効だ」などと述べています。どういうことを言いたいのでしょうか、良く判りませんけど、中韓に対する嫌味で言っているのでしょうか・・・
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