2014年2月12日水曜日

今秋・・日露首脳会談

ソチ五輪開会式に出席した安倍首相は、どうやらプーチン大統領とこの秋に首脳会談を行うことで合意したようです。
首脳会談は東京で行うとか。その前の6月には、ソチで主要8か国首脳会議(G8)が開催されるそうですので、それまでに日露次官級協議などハイレベルの対話を重ねていくことにしたとか。
G8は、アメリカ、フランス、イギリス、ロシア、ドイツ、イタリア、カナダ、そして日本の8か国です。ここに中共を呼ぶかどうかが問題なのですが、経済を考慮すれば、呼ばないわけにはいかないでしょうね。

ともかく、G8の次が秋の日露首脳会談となるわけで、ロシアがいかにして日本からお金をむしり取るかが焦点になりそうですね。
ロシアの権力を一手に持ち続けるプーチン大統領ですが、ロシア経済の低迷は如何ともしがたく、その権力にも陰りが見え始めております。そして経済再建のためには、どうしても日本の協力が必要と言うわけで、今回の首脳会談となったのだと思います。

安倍政権は、北方領土の返還問題交渉を加速させたいと思っているようですが、この北方領土は過去の交渉を見ると、ロシアが見せる「餌」であり、その都度莫大なお金が日本からロシアに支払われ、そして北方領土問題はまったく進展しなかったという経験があります。
つまり疑似餌であることが判っている交渉なのです。しかし、そうであっても交渉は続けるしかありません。だから北方領土は「協議を重ねる」という表現になるわけです。

プーチン大統領の任期は2018年までです。しかし経済が低迷していることから、国内には反プーチン勢力が増えてきているようです。
ロシア経済が低迷しているのは、主要な輸出品である石油・ガスの価格が世界的デフレによって低迷していることです。好調だったときに設備投資をせずに年金や給料を引き上げたりしていたからでしょうね。
しかし、もはや昔のようなエネルギー価格の高騰はないでしょう。せいぜい原発を止めた日本が、超高値で石油やガスを買うかもしれないという期待があるだけです。
国内外からの投資は低調で、生産性は低いようです。生産設備はフル稼働、失業率も低いようですが、新たな投資を増やし、生産性を上げることが必要なロシアなのです。

そういう状況ですから、プーチン政権は日本からの投資を訴えることでしょう。崩壊寸前の公共サービスを救うことが最優先のようですが、その一因となっている悪質な汚職を抑えることも優先課題です。インフラなどの老朽化が、生産性を落としている元凶のようですからね。

日露平和条約の締結の意味は、日本にとって何なのでしょうか? あくまでも対中対策としての意味ではないでしょうか。
ロシアが極東(シベリアなど)で中共からの人口侵入に悩んでいることがあります。しかし経済的に対策が打てない状況があることはニュースなどで判っています。
日露関係の改善は中共にとって頭の痛いものです。だから中露関係の改善を演出し、対日カードとして使おうとするわけですね。

日本が日露関係の改善を考慮する時、常に問題になるのが「北方領土問題」です。そしてこれが中共にとって有利に効いています。
「北方領土問題」の解決が簡単でないのは、ロシアにはロシアの国民感情というものがあるからだと思います。当然日本にも国民感情があり、ゆえに解決できない問題となっているわけです。

そこで、この問題を「協議を重ねる」として一時封印し、これを持って「日露平和条約締結」に進んだらどうでしょうか?
安倍首相は、「一日も早く困難な課題を解決して平和条約を締結しなければならない」と述べ、「北方領土問題は次の世代に先送りしてはならない」として解決に意欲を見せておりますが、あまりこだわると再び「お金の持ち逃げ」をされてしまう可能性があります。

プーチン大統領は、「日露関係は継続的に発展している」と述べ、「2国間関係で最も難しい問題の解決のための良い環境ができている」という表現を使っております。
つまり「協議を続けることはOKだが解決するには時期尚早」と言う意味に取れます。プーチン大統領が意識していることは、日露の貿易高が増えていくことであり、「貿易経済政府間委員会」によって両国の経済課題が協議されることなのでしょう。

北方領土問題は、アングロサクソンが日露間に打ち込んだ楔のようなものです。彼らはこのような手口をあちこちで使っていますからね。
ですから日露二国間での話し合いをしながらでも、英米などの意識変化を促さないとうまくいかないと思います。衰退し始めたとは言え、連合軍はまだ健在なのですよ。

ですから中共はこの連合軍に働きかけ、「敗戦国日本」を強く訴え続けています。日本としては、これが単なるノスタルジーであり、時代は変わって日本を考慮しないと世界経済がうまく回らないことを「地球俯瞰外交」によって示していくことが重要ではないでしょうか。
「敗戦国日本」を変えるには、再度戦争が必要なのか、それとも平和の内に変えることが可能なのか・・そういう問い掛けであることを、暗に世界に示す必要があるでしょう。

これは二次大戦戦勝国側にとっては不快な問い掛けです。それを意識したうえで、「地球俯瞰外交」によって問い掛け続けるしか、今のところ無いと思います。
チャンスは、世界経済の動きと日本経済の発展があれば、必ずやってくるでしょう。

安倍首相は、「北方領土問題は次の世代に先送りしてはならない」と述べておりますが、これはあくまでも日本国民に見せるゼスチャーであって、「協議を重ねる」という段階で、それ以上焦らない方が有利だと思いますけど・・・

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