2013年7月31日水曜日

消費税増税は、その法律では出来ないのに・・・

財務省はもう消費税増税は確立しているかのようにアナウンスしています。テレビなどに出ている評論家、そして解説者などもそのような口ぶりであり、財務大臣の麻生氏、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)の甘利氏までが口裏を合わせています。

しかし、2012年8月10日に参議院で可決した消費税法案、すなわち「平成26年4月に8%、27年10月に10%へ2段階で引き上げる」とする法案では、附則18条により、「今年の10月ごろ、時の政権が今年の第2四半期の経済指標を見た上で、執行の停止判断をする」こととなっていたはずです。

この法律・附則18条の意味するところは、デフレ期に消費増税を行うと経済状況は悪化することが明確だから、その場合には消費税増税は先送り、もしくは廃案にするということ・・のはずです。そうでなければこの附則18条がわざわざ書かれた意味がありませんから。
安倍首相は、はっきりと「デフレ脱却前の消費税増税はやりません」と述べています。それも何回も・・・

そして、この「今年の第2四半期(すなわち4月から6月)はすでに終わり、その結果は出ています。
5月のコアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)は、対前年比0%、コアコアCPI(エネルギー、食料品(酒類除く)を除く消費者物価指数)は-0.4%でした。
この指標は、まだ日本経済は厳しいデフレ下にあることを示しています。アベノミクスはまだ機能していません。このところの景気浮揚感は、期待値で金融市場が動いただけです。実体経済に明るさが見えるというのも期待値であり、現実はまだデフレ下であるということです。

財務省に法を守る意思があるならば、当然「消費税増税」は先送りにすべきなのです。
しかし、聞こえてくるものは「増税はすでに決まっている」とか、「自民党内には増税賛成派が多く居て、増税反対派が騒いでも無理だろう」などという話ばかりです。
あのイェール大学から来た浜田宏一教授までも「毎年1%の増税などにしてショックを和らげることも選択肢の一つ」などという増税発言をする始末です。

産経が世論調査を行い「消費税率8%への引き上げについて反対55・8%で賛成39・5%を上回り、1年前と比べて反対と賛成の差が広がった。」という記事を出しました。しかしこれは無意味ではないでしょうか。税率アップの是非を世論調査で判断することは出来ないでしょう。

はっきりしていることは、昨年の8月10日に成立した法案では、今回の消費税増税は出来ないという事が、附則18条によって決まっているのです。
ぜひこの法律を守っていただきたいものです。

消費税増税が国際公約などと言う人もいるようです。なぜ国家の主権である増税が国際公約などというのでしょうか?
日本は開かれた国家ですから、立法された法律は国際社会に公開されます。それを公約などとは申しません。そしてこの附則18条も公開されています。
この作られた法律を見て、国際金融筋などが勝手に解釈し、資金を動かしているだけです。彼らの利益をどうして日本の財務省が守らなければならないのでしょうか?
財務省の中に、国際金融機関などから何らかの影響を受けている者がいるのでしょうか?疑いたくなります。

日本の消費税が安いという、海外の方々が居られます。税金が高くても、それによって社会が良くなればいいという発想です。
しかし、消費税を導入して以来、何か日本社会が良くなったでしょうか?
デフレ下の消費税増税で、景気は悪化し生活は壊されました。社会は疲弊し、異常な犯罪も増え、しかも肝心の税収は下がっています。
財政悪化の原因が消費税増税にあることに国民は気づくべきです。ここでまた増税を行えば、どういう社会が出現するかはもうお判りですね。

海外の方々の消費税(あるいは付加価値税)に対する評価は、経済が正常な状態、すなわち経済が成長局面にあり、インフレ傾向が続いている場合の増税(率)のケースです。
この場合は増税が税収を増やしますから、社会への還元が可能になり、生活が豊かになったことを国民が実感できるわけです。しかし今、日本は長期デフレという異常な経済状態です。

長期デフレになった原因は、土地バブルの崩壊とその後の消費税増税という間違った政策の結果です。
ほとんどが大蔵省、その後の財務省の責任ですが、今年3月までは日銀がこの誤った政策に加担していました。
故)橋本龍太郎元首相は、大蔵省に騙され消費税増税を行い、税収の減少と景気の悪化を誘導してしまいました。怒った橋本首相がやったこと、それが大蔵省の解体と財務省の創設だったのです。結果は同じ官僚の移動だけだったようですけど・・・

財務省には「増税」は難しく、ゆえにそれをやった官僚が出世するという悪習があります。この悪習を変えるべきです。
増税(税率を上げる)ではなく、「税収を上げた官僚」が出世すべきなのです。「増税し、それによって税収を下げた官僚」は格下げにして、酷ければ退職金も年金も大幅減額にしましょう。
それが本筋ですし、どういうタイミングで税率を上げたら良いのか、少しは財務官僚も考えるでしょう。

今の日本に必要なことは税収を上げること。昨年決められた法案に附則18条が付けられたのもそのためでしょう。法を犯してまで増税に走るのでしょうか?
税収を下げてしまうような増税率は決してすべきではありませんね。それが財務省内の官僚の出世のためだけであるなら、なおさらに・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿