2013年7月13日土曜日

米中戦略対話、その目的は?

10日、ワシントンでの米中戦略・経済対話が行われました。先月の米中首脳会談を引き継ぐ形で行われた閣僚級の会議ですが、国家間の話し合いとは恐ろしいものですね。

まずはサイバー攻撃の件でやりあっていますが、当然スノーデン問題で中共が被害者面をしだした点が前回とは異なる点でしょう。もはやスノーデン氏は行く先も無く、南米あたりでビクビクしながら生活を送るしかなくなったようですが、アメリカはサイバー交渉に失敗してしまったということでしょうね。
とりあえずアメリカの言い分として、「米国の活動は安全保障が目的で、中共のように経済活動を目的とした活動は行っていない」との主張を行ったようですが、さて・・・
国際間を奇麗事で見たスノーデン氏の正義感にも困ったものですね。

さて、次に話されたのは「北朝鮮非核化」の問題です。米中ともに北朝鮮を核保有国とは認めないということで意見の一致を見たということですが、これで日本の拉致問題が解決しても経済援助は出来なくなりました。と言うことは、拉致問題はこのままでは解決しないことになります。
核保有国とは認めないということを北朝鮮が受け入れ、核問題を棚上げにして朝鮮戦争を終戦に向かわせるような方策を考えましょう。

そして次に問題の尖閣を含む「南シナ海、東シナ海」問題です。
ここでは日本の取扱いが米中両国で話し合われたようですが、その内容は公開されていないようです。
尖閣は中共の領土と主張する中共に対し、アメリカはそれを拒否する態度を取ったはずですけど、詳細について公開されないのは、米中にとって日本が今後どう変わっていくかを見た上で決めたいということでしょう。もちろんそれはこの2国の国益を考慮した上での判断です。
南シナ海についても、フィリピン、ベトナムの扱いに、米中両国の利害が関係するわけですね。

経済問題は、中共の企業の米市場への進出や投資が相次ぐ中、中共政府の国有企業支援に対して、膨大な対中赤字を抱える米国は人民元改革の加速と内需拡大を促したようです。
また、「影の銀行(シャドーバンキング)」と呼ばれる銀行の簿外運用問題にも、米側は中共に迅速な対応を求めたようです。
これに対して中共側が対策を打てるかどうかが疑問な点です。問題は経済、影の銀行を締め上げれば表の銀行にも影響が及び、国家経済が立ち往生してしまうかも知れません。アメリカは当然それを計算した上で、「迅速な対応」を求めたのでしょう。

日本でアメリカを見ていますと、アメリカ経済は来年度は今年以上に伸びる公算が大きく、債券などをBRICSからアメリカへ乗り換える投資家も増えているようです。(日経)
中共に「影の銀行対策」を求めれば、中共は強権を使って引き締め策を行うかも知れません。また引き締めを行わないで、影の銀行を認めれば、そこをきっかけとしてアメリカの金融筋が動ける隙間が出来る可能性もあります。
どっちになっても良いような・・・アメリカの対中謀略は、このように表側で行われます。

さらにダメ押しの交渉。公害対策です。
次の5点が米中間で合意されたとか。
1)自動車の排ガスに含まれるCO2の低減など運輸部門からの排出量削減
2)排出された炭素の回収・貯蔵促進
3)建物や産業活動、交通機関のエネルギー効率の改善
4)温室効果ガスのデータ収集と管理
5)再生可能エネルギーの拡大に対応したスマートグリッド(次世代送電網)の促進

いずれもアメリカから技術導入をしない限り、中共では出来ないものばかりでしょう。華人のプライドを逆手に取られた約束の押し付けとも見えるのでは?
工場は廃液を垂れ流し、暖房用石炭で塵芥を拡散し、水も大気もボロボロの国家に、このような合意を押し付けるアメリカ。

公害対策は民主主義が機能しないと絶対に出来ません。公害垂れ流しが地域住民の健康を害した場合、裁判では必ず負け、そして莫大な損害補償が取られる・・だからコスト計算で対策をした方が利益が出るとなって、はじめて出来るものだからです。
強権で国民を黙らせられる国家には公害対策などはもともと無理な話。
それを知っていて・・・アングロサクソン流の「出来ないやつは(地球上から)去れ」という論理でしょうか?

「米中戦略・経済対話」とは申しますが、内容は一方的なアメリカの押し付けだったようです。
中共はまた「張りぼて対策」で乗り切るのでしょうが、その先にあるものは何とも荒れ果てた中国大陸だけという気がします。

日本もTPPなどでアメリカから一方的な押し付けを甘受している国家。こんどは日本から「土俵」を変えてしまうようなアイデアを出さないと、「戦後レジームからの脱却」はなかなか難しいようですね。

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