2011年1月21日金曜日

胡錦濤主席のアメリカ訪問、中共はどこへいく?

胡錦濤国家主席がアメリカを国賓待遇で訪問しました。前回はインドのシン首相が国賓待遇であったにもかかわらず、胡錦濤氏は国賓待遇ではありませんでしたから、今回の国賓待遇は悲願であったのかも知れませんね。(こういうことだけは拘る華人たちです)

しかし、いくら待遇がよくても米中間に横たわる問題は避けては通れません。
首脳会談では、北朝鮮問題と人民元切り上げ問題、そして人権問題が取り上げられました。
特に人民元問題は、アメリカ経済の関心の的。胡錦濤氏は「ドルの基軸通貨体制は古くなった。考え直そう」という言い方で筋道を変えようとしましたが、オバマ大統領はそれには答えず元の切り上げを要求したようです。
中共の国内総生産(GDP)は日本を抜いたようですが、それでも米国の36%程度です。日本が抜かれた理由は公共投資がなくなったからです。
中共の現預金は日本より102兆円分多く、そしてアメリカよりも154兆円分も上回っているとか。
そしてその元にあるのはドル。即ち貿易で入ってきた決済通貨と投機のドルを当局が買い取って人民元を市中に回し、そのジャブジャブの人民元が預金となっているとか。
共産党幹部はその人民元で土地を買いあさり、不動産バブルを生み、またマンションなどの価格を吊り上げます。まともな国民は投機には関係なく、土地の値上がりで住居も持てないようです。
今後始まるであろう物価の値上がりで、いったい生活はどうなるのでしょうか?

北朝鮮問題に関しては、核保有国同士としての共通利益があるのかも知れませんが、ともかく中共が音頭をとって北朝鮮の非核化を言わなければ6カ国協議はありえないことを忠告したみたいですね。

そして人権問題。オバマ氏は「チベットは中共の一部」などと間違った発言をしておりますが、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世と対話するように求めたようです。
ダライ・ラマ氏は「チベット人の信仰の自由を認め、文化の破壊を止めるように」求めています。しかしこれを認めると共産主義が入り込めません。そしてチベット独立運動に繋がっていくことは明らかです。ですから話合っても主張は平行線であることも確か。ですからオバマ氏の言い方としては「アメリカは、『チベット人の信仰の自由を求める声』を支持する」とだけ言えばよかったのですけどね。
主席の答えは「それぞれの国家が置かれた状況を考慮する必要がある。互いを尊重し、内政不干渉の原則に基づいて米国との対話を重ねていく」という、いつもの答えなのですから、アメリカの精神に基づいた支持は当たり前のことではないですか!
アメリカ在住のチベット人たちは表でデモを行いました。「チベットに自由を」と訴える抗議運動が繰り広げられたようです。

さすがに南シナ海の領有権などをめぐって中共が主張する「相互の核心的利益の尊重」の共同声明への明記は見送られたようですね。

また注目の「アメリカ流の晩餐会」には、政財界の大物や著名人など計225人の招待客が出席したようですが、ベイナー下院議長(共和党)やリード上院院内総務(民主党)が抗議という形で欠席するなど、アメリカの反中意識も表出していたようです。

この胡錦濤主席の訪米が成功したのかしなかったのか、それは裏舞台も含めた今後の動きを見るしか判断は出来ません。
2年後に控える大統領選挙。民主党が政権を維持できるかどうかも判りませんし、中共のドル・ジャブジャブ経済の行方も、まだどうなるのか判りません。

そして米中経済戦争は、いまだ勝敗は付いていません・・・

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