8月10日に逮捕された周庭(アグネス・チョウ)氏が12日未明に保釈されました。そして同日に香港紙「リンゴ日報(アップルディリー)」創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏も保釈されました。
一説によると、「あまりの反響の大きさに驚いて保釈したのでは?」という噂も飛んでいますが、そんなことではないと思います。
アメリカは香港をもはや自由世界の窓口などとは考えていません。その主軸はすでに台湾に移し、しかも金融ネットワークを切り替えています。
13日に書きましたクリーンネットワークがそれですが、この10日に香港政府の要人たちへの金融制裁も発表されております。
香港特別行政区行政長官のキャリー・ラム氏、香港警務処長のクリス・タン氏、元警務処長のスティーブン・ロー氏、香港保安局長のジョン・リー氏、香港司法長官のテレサ・チェン氏、憲法・本土問題書記のエリック・ツァン氏などが経済制裁を受けています。
中共側の責任者と香港側の警察・司法などが制裁の対象とされているようです。それはドル決済が出来る銀行口座を失う(クレジットカードが使えない)とともに、アメリカへの入国も拒否されることになります。これは家族と同居していた場合は、家族も制裁対象となります。
これがアメリカが仕掛ける「金融処刑」ですね。
人民元はドル基軸とした中共だけに通用するローカル通貨です。中共は盛んに人民元決済での貿易を主張し、いくつかの国家では人民元での決済を行っているようですが、主要国ではドル・リンクの人民元だから交易が出来ているわけです。
長い間自由経済圏に居た香港は、この現実を知っているはずです。ですから香港問題が起きるまでは何とかドル経済圏に踏みとどまっていたわけですが、今回、そのドル決済から離れることへの恐怖があったのではないでしょうか。
習主席は、ドル決済不能になるという意味が判っているでしょうか。また自由世界に住む我々自身にとっても、これは生活のなかに響いてくる問題なのです。
アマゾンや楽天、そしてユニクロなどが今後どうするかで、もしかしたら物価の上昇もあるでしょう。東南アジアや南米、そしてアフリカ圏などで、ドル決済可能で、まだ人件費の安いところを下請けにした企業は生き延びられるかも知れませんが、おそらく人民元だけで生活しようとすれば苦しい生活になるように思います。
米中戦争はこうして世界を二分していきます。こうすることでアメリカは各国に対して「アメリカ側に付くか、中共側に付くか」即ち「自由民主主義を選ぶか独裁共産主義を選ぶか」を明確に表明させるわけです。
香港は揺れ動いているのではないでしょうか。なぜなら独裁共産主義圏がアメリカから見放されたらどうなるか、自由社会で生きてきた香港人は感覚的に感じ取っているからだと思います。
行政のトップのキャリーラム氏は、「私はアメリカに資金など持っていない」と豪語し、中共への忠誠を尽くしているようですが、どうやら息子はアメリカに留学していて、最近慌てて帰国したとか。
「自由民主主義を選ぶか独裁共産主義を選ぶか」という選択、これはネットワークの分割、金融情報のアイソレーション(物理的に交わらない事)がなされることで、国家だけでなく個人もその選択を迫られるわけです。
もし日本に「自由民主主義系の銀行」と「独裁共産主義系の銀行」が出来れば、その間の資金移動は出来ません。現金紙幣に変えて手持ちで移動すれば出来るかも知れませんが、高額になるとチェックされるでしょうし、ビジネスとしては非効率的で間違いも多発することでしょう。
もっとも日本に「独裁共産主義系の銀行」が出来るとは思いませんし、出来てもそれは闇金融の非合法的な銀行だと思います。
アグネス・チョウ(周庭)氏が拘留されていた時、欅坂46が謳う「不協和音」を口ずさんだと言います。
「僕はYesと言わない 首を楯に振らない まわりの誰もが頷いたとしても」という歌詞で始まる曲ですが、そこに「嫌われたって、僕には僕の正義があるんだ」というくだりがあります。
これは武士道の精神そのものではないでしょうか。
武士道では、正義は定義されるものではなく、その都度その環境に応じて自らが判断すべきものということだと語られます。その判断が間違いなく出来る様に常に自分を鍛えるわけで、それを修行と言います。
そしてこのような個人によって社会秩序が保たれる社会を「自由主義社会」と称するのではないでしょうか。
アグネス・チョウ氏はこの道義心を持って活動しているのでしょう。
同じ発想が台湾では「日本精神」という言葉で伝えられているようです。我が日本では欅坂46という女の子のグループが謳っているわけです。
少し情けないですね・・・
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