ファーウェイの任正非最高経営責任者(CEO)は、6月17日に行われたアメリカの有識者との討論会で「今後2年間で生産能力を縮小する。売上高が当初の見込みよりも計約300億ドル(約3兆2600億円)減少すると考えている。今年と来年の売上高は約1000億ドルになる見込みだ」との見通しを明らかにしました。
原因は、トランプ米政権による制裁の影響だそうです。
ファーウェイは当初、売上高がそれぞれ1千億ドル程度で、昨年並みになると予想していたようです。しかし「米国がこれほど確固たる決意で、幅広くわれわれに攻撃してくるとは思いもよらなかった」と述べております。
特にグーグルの基本ソフト(OS)アンドロイドの更新版が使えなくなることが判って、中共以外で販売延期の動きが拡大していることも、大きく影響しているようです。
現在アメリカ商務省が、アメリカ企業からの部品やサービスの販売を禁じる対象を定めるブラックリスト(産業安全保障局のエンティティリスト)にファーウェイとその関連企業を追加しています。
現在はまだ猶予期間中ですが、この期間が終わればファーウェイはアメリカ製のプロセッサやOSを自社製品に搭載できなくなります。
任正非氏は、「“さまざまなバージョンの自社製品”の製造も検討中だ」と述べておりますが、それが何を意味するのか、オリジナルのプロセッサやOSのことかどうかは解りません。
ただ「製造やテストには時間がかかるが、完成すればわれわれは強くなれる。死に打ち負かされることはない」などと語ったそうです。
プロセッサーは作れるかも知れません、しかしOSとなると結構大変です。我が国でかつてIBMのOSを解析し、同等のものを作ろうと富士通、日立グループで頑張ったこともありました。
しかしこちらが作るとすぐに相手(IBM)はバージョンアップをしたり、別のOSを作ってきたりして、結局不可能でした。
現在はOSなどは著作権によって守られ、リバースエンジニアリングも禁止されております。もちろん中共は法など守る気はありませんから、禁止などは関係ないでしょうが、その開発が例えオリジナルだとしても大変な苦労が待っているように思います。
アメリカ・トランプ政権はまだ制裁の発動はしておりません。しかしグーグルやマイクロソフトなどはすでにOSのバージョンアップを提供しなくなったようです。
ファーウェイは新型ノートパソコン・「メイトブック」シリーズの発売を中止しています。6月13日に発表されました。どうやら必要なソフトウエアや半導体が調達できなくなったためと言われていますが、マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の搭載が困難になった為のようです。
ウインドウズが搭載されないと、その環境下で動くアプリがまったく使えません。多くのアプリケーションはウインドウズのもとで開発されていますから、もし仮にファーウェイ製のウインドウズを作るとなると、アプリケーションが使っているウインドウズインターフェースをすべて同じように作らなければなりません。世界中にあるウインドウズアプリケーションが使えなければ、その機械自体が使い物にならないことになります。
ファーウェイがまったくインターフェースを無視してウインドウズ的OSを作ったとしたら、世の中にある膨大な量のアプリケーションをそのOSに合わせて作り直すことになります。
それにはあまりにも時間が掛かりすぎ、現実的でないことはお判りでしょう。
そしてこれはスマホにも言えることです。任正非氏が「製造やテストには時間がかかるが、完成すればわれわれは強くなれる。死に打ち負かされることはない」と頑張ったところで、ファーウェイのスマホは電話だけの機能しか使い物にならないかも知れません。
半導体はどうでしょうか。日本製の半導体もありますから、日本から仕入れられるものもあるでしょう。しかし半導体の何かをアメリカが押さえているはずです。
アメリカの半導体大手クアルコムなど、ファーウェイに製品を供給するアメリカ企業も多いようです。今回の取引規制が実施されますと、アメリカのメーカーもかなり損失が出るようです。
ファーウェイがアメリカ企業から仕入れていた半導体の購入額は年間100億ドル(1兆1千億円)に達するとの試算もあります。
それでもトランプ政権は取引規制を強行するでしょう。それが経済戦争なのです。
6月28日からのG20で、トランプ大統領と習近平主席はこの戦争終結のための会談をするでしょうか。両首脳は電話で話をして一応会談はするようですが、習主席がアメリカの要求を呑んだとしてもそれは守られないでしょう。なぜなら守ると言うことは中国共産党の解体を意味するからです。
インテックス大阪で行われる予定のG20まで、あと9日です。
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