2018年5月4日金曜日

アメリカの禁輸処置、どうする習政権

ラジオにテレビ、そしてネットワーク通信と携帯電話通信、合体したようなスマートフォンと目まぐるしく進化してきた先端技術市場です。

行きつく先はすべての通信が高速パケット通信となり、いつでもどこでも送受信可能で無数のチャネルが作られるような環境に変わって行くはずです。
現在はその過渡期であり、次世代の通信として5Gという第5世代移動通信システムの開発が進められております。

この5Gとは、高速・大容量化、超多数端末接続、超低遅延、超高信頼性という要求条件が複数の5G研究団体、学会、移動通信関係各社によって検討されていて、さらに省電力化と低コスト化が加わったようです。

現在、4Gまでが実用化されており、世界的にその多くの商品は中華系企業が製造し販売しているようです。これで5Gまでも中共に取られたらアメリカとしても堪りません。
そこでトランプ政権は、商務省を通じて深セン市に本拠を構える通信設備・機器の世界大手、中興通訊(ZTE)がアメリカの制裁規定に違反したとして、米国企業が今後7年、ZTEに製品を販売することを禁止すると発表しました。

「アメリカの制裁規定」違反とは、「イランと北朝鮮への禁輸措置に対して中興通訊が違反した」と言うことです。もちろんこれには世界ドル支配に対する人民元の挑戦が根底にあるのでしょう。
米中貿易戦争の戦線拡大と見て良いのではないでしょうか。

中興通訊は、「このままでは中興通訊は生産機能停止の状態となり、9万人の従業員の仕事が奪われる」と述べ、すでに中興通訊傘下の一部企業では生産ラインの停止、従業員の「臨時休暇」が既に始まったそうです。

評論家の石平氏によりますと、ここでキーワードとなっているのは、高度な工業製品である集積回路のことだと言います。
多くの電子機器の心臓部分としての役割を果たす集積回路は、開発に莫大な資金と時間が必要とされ、それをもし中共国内で開発すると、知的財産権がきちんと保護されていない中共の状況下では、自力で開発した製品も競合業者によって簡単にコピーされてしまう事になるそうです。

だったら海外から部品を調達した方が良いと言うことで、現在中共では集積回路のような製造業が必要とする最も肝心な部品が、外国企業に頼らざるをえない状況にあるとのことです。

中共国内でも「集積回路を自力開発した方が良い」という声もありました。それは安全保障上の問題であり、外国に頼ればそこがアキレス腱になることは解っていたはずです。しかし金もうけ主義一辺倒の中共の企業からすれば、もうからないリスクを避けることの方を優先してきたのです・・・と石平氏の見方です。

最先端技術を使った民生品は、単なる組立だけでなく使われる部品の製造も自国で出来るかどうかが「国力」に繋がります。
まして「戦争」の形態が経済にあることがむき出しになって来た近代社会です。企業が利益優先に走り部品を他国に頼ることがいかに国力を落としているか、そこに気が付かなければなりません。

アメリカに対抗し軍の近代化を進める中共・習政権です。アメリカ軍の空母に匹敵する空母を作っていますが、まさかこの装備の部品にアメリカ製の集積回路などが使われてはいないでしょうね。フェーズドアレイ・レーダーなどの素子も中共の独自開発によるものなのでしょうね。
電磁式のカタパルトも搭載するとのことですが、この部品もすべてが中共製でなければ、戦争は戦えないはずです。

習政権は、中共製のスマホから最先端技術を駆使した空母打撃軍の各種装備まで、すべての部品が中共製か、あるいは同盟国製かをチェックして、将来対決しなければならない仮想敵のアメリカや日本の部品が使われていたとしたら、すべてを中共製か同盟国製に切り変える判断をする必要があります。

中共を大国として世界に示すためにも、このような決断が必要だと思うのです。それこそ大国の面子もかかっている話ではないでしょうか。

5Gの通信システムはこれまで以上に集積度を上げた素子を必要とするでしょう。超高周波を扱う以上、いかに回路を小さくするかが決め手になるでしょうから。
例えそれがスマホの部品であっても、同じ技術が軍事用にも使われるわけですから、大国はその開発を自国で行うべきなのです。

そのような部品の禁輸処置を取られたくらいでおたおたするようでは大国とは言えません。「ならば自国で作る」と言い切ってこそ大国なのです。
この問題を「貿易摩擦」と捉えている中共ですが、摩擦ではなく「戦争」なのだという意識が抜けているように思います。そう、「貿易戦争」とは「戦争」なのです。

「戦争」である以上、部品供給が止められることは想定内でなければなりません。これは石油などの資源と同じことです。石油は産油国から調達しなければなりませんから外交交渉による調達ですが、先端技術の部品は自国開発でなければ当然「戦争継続」は出来ません。外交交渉による調達は、少なくとも仮想敵国からはするべきではありません。

20世紀の日米貿易戦争との比較が語られていますが、あの時は「日本ですべて開発可能」だったために、日米は交渉による打開策を模索できたのです。(日本は交渉は下手でしたけどね)

そしてこの「貿易戦争」こそ戦争の新しい形ではないかと思うのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿