2018年5月30日水曜日

金正恩委員長、米朝会談再交渉

トランプ大統領の米朝会談中止を受けて、金正恩委員長はあわてて「中止の中止」を仕掛けます。そのなりふり構わぬ醜態は全世界に配信されたようです。
トランプ政権のペンス副大統領やボルトン大統領補佐官、そして韓国の文在寅大統領を無能とか役立たずなどと誹謗してきた金委員長が、急に低姿勢になるという醜態です。

このトランプ大統領の中止発言で、一番恥をかいたのは習近平主席かも知れません。腹の座っていない金委員長のあまりにも早すぎる寝返りのようにも感じました。
トランプ大統領は中止宣言のあと、マティス国防長官に北朝鮮への圧力強化を指示したようですから、金委員長が焦ることも判りますが、それにしても上手なトランプ大統領です。

現在はアメリカ政府の一団が米朝首脳会談に向けた協議のため北朝鮮入りしたとのことです。国務省のナウアート報道官が、米朝の当局者が南北の軍事境界線にある板門店で首脳会談に関し協議を再開していると発表しました。
この協議で核廃棄のやり方が決まるわけですが、これまで「リビア方式で金政権の保証を加えたトランプ方式」に怒った金委員長の罵声はトーンダウンしたことになります。

どうやらこれでトランプ大統領は米朝首脳会談からの中共引き離しに成功したのかも知れません。最も、今度は習主席までもがシンガポールに乗り込んでくるかも知れませんが・・・
大統領は「北朝鮮には素晴らしい潜在力があり、いつの日か経済・財政的に卓越した国になり得る。金正恩(朝鮮労働党委員長)もこの点で私と同意している。必ず実現する!」と述べましたが、これは金委員長が会談の申し入れがあった時点に戻ったことを示すような発言ですね。以前もそんなことを言っていましたから。

現在は、アメリカ側が会談の主導権を取っております。そしてこの状態で「完全・検証可能・不可逆的な核廃棄(CVID)の実施」を求めているはずです。
対する北朝鮮側は「制裁解除と体制保障、そして経済支援」を求めているはずです。ですからCVIDは飲むかも知れません。しかし経済支援となると日本が関係してきます。すなわち「拉致問題の解決」が不可欠になります。
北朝鮮側は「核廃棄と経済支援の同時進行」を求めてくるでしょうが、経済支援は「拉致解決」が不可欠と言うことでアメリカ側が突っ放せば良いのですけど。

北朝鮮側は「拉致問題は解決済みだ」という従来の主張を繰り返すでしょうが、アメリカ側は「しかし日本はそう思っていないし、現実に未帰還の被害者が居る。その点を日本側と話さないと永久に経済支援は得られない」と言うしかないでしょう。

「それでは核廃棄は出来ない」と言えば会談は中止です。制裁は圧力を増し、軍事的恐怖が高まります。金体制の保証も出来ないということ・・わかりやすいですね。
北朝鮮も韓国も「会談中止」だけは避けたいのですから、これがある限り北朝鮮側は会談の主導権は取れないはずです。アメリカがよほどヘマをしない限り。

背後に居る中共は、この会談で朝鮮半島に対する影響力を失いたくはないでしょう。しかし北朝鮮とアメリカが再び軍事衝突になれば、中共も参戦せざるを得なくなります。ここでアメリカ軍とぶつかることに中共の軍事力は耐えられないでしょう。少なくとも軍事力がまだアメリカに対し劣勢にあることが中共国民にバレては困るわけです。

ですから中共が考えることは、この米朝会談を切っ掛けにして、韓国の米軍を撤収させたいとするのが本音だと思います。
しかし金体制維持には、逆に韓国の米軍は不可欠になるのではないでしょうか。

もしアメリカとの停戦協定が終戦協定に移行したとしても、アメリカ軍は韓国へ駐留したままになるだろうと思います。それが「金体制の維持」の目的でしょうから。
金体制を脅かすのは、アメリカではなく中共であることは金正恩委員長も理解していると思うのですけど。

金正恩委員長は、米朝会談が決まってから2度中共を訪問しました。おそらくそこで習主席が言ったことは、「朝鮮半島の統一は北朝鮮主導のもとで行うこと」と「交渉では主導権をアメリカ側に渡すな」ということだったのではないでしょうか。

「戦闘状態になっても中共がバックに居るから大丈夫だ」などとけしかけたのかも知れません。そこで金委員長は、その後アメリカに対して強く出て見せたのではないかと思うのです。
そしてこれは対中共に対するサービスだったとも見えますね。まさかトランプ大統領が「会談中止」を宣言するとは思わなかったのでしょう。これは習主席がトランプ大統領に負けたことを意味するのではないでしょうか。

北朝鮮の核廃棄をCVIDで行うと言っても、北朝鮮の場合はリビアよりも難しいでしょう。それくらい開発が進んでいるからです。「北朝鮮に居る核技術者は全員アメリカの核関連施設で雇用し、アメリカに移住させる」くらいのことも必要かも知れません。イランやトルコに行かないようにするためです。

北朝鮮側から「『拉致問題の解決』とは、いったいどうすれば良いんだ」と言わせるようにします。向こうがそう言ってきたら、「日本の警察を北朝鮮内に入れて独自に調査させること」とアメリカが提案してくれれば良いのです。
調査中は金委員長も協力すること。そうすれば同時進行の形で経済支援も行われる・・という解決策です。経済支援のお金はアメリカの企業が受け取り、そしてアメリカ企業がインフラなどを整備する。(金正恩委員長のお小遣いにはしない)
そのためにアメリカ領事館を北朝鮮内に作る・・こんな話し合いが現在なされているのではないでしょうか。

ようするに北朝鮮内部に入っていければいいんですよ。領事館でもなんでもね。軍隊でなければ中共も文句は言えないでしょうから。

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