2018年5月10日木曜日

日中韓首脳会談で・・

我が国からは安倍首相、中共からは李克強首相、そして韓国から文在寅大統領が東京に集結しました。日中韓首脳会談がなされた訳ですが、ここで安倍首相がどこまで問題解決を進めることができたでしょうか。

日中韓サミットとも呼ばれるこの会談、開催を呼びかけたのは安倍首相のようですね。
東京・元赤坂の迎賓館で始まった会談の冒頭、安倍首相は「国連安全保障理事会決議に従って、北朝鮮によるすべての大量破壊兵器やあらゆる弾道ミサイル計画の完全、検証可能かつ不可逆的な方法での廃棄に向けた取り組みを進めていくべきだ。今後、北朝鮮が具体的な行動を取るよう、日中韓が国際社会とも連携し、強く求めていかなければならない」と述べたとか。
そして、「拉致問題の早期解決に向けて連携していきたい」とも話したそうです。

さらに先日の南北首脳会談について「板門店宣言文に完全な非核化が盛り込まれたことを評価する。文在寅大統領のリーダーシップを称賛する」と持ち上げたそうです。

しかし結局共同声明には拉致被害者の奪還についてはまったく触れられませんでした。朝鮮半島の非核化だけが盛り込まれたようです。
会談がなされている間に北朝鮮は「アメリカの拉致被害者の解放」を発表するなど、実にうまいタイミングで発表しています。おそらく日米分断を狙った動きでしょう。

ようするに中韓はお金のことしか頭になかったようで、日韓通貨スワップの再開とか、李克強首相は「私の公式訪日は、中日関係を正常な軌道に戻すことを目的にしている」などと述べて、アメリカが始めた対中貿易戦争の回避を日本を利用して行うことを宣言したようなものでした。

李氏の述べた「貿易を自由化し保護主義に反対する旗印を高く掲げなければならない」とは、自国がいかに貿易不均衡を行っているか、国内の外資系企業に対し利益の持ち出しを禁止したりしている現実にはまったく触れません。いかにも自分たちは自由貿易の推進者であるような顔をしておりましたね。

アメリカはこのタイミングで上院情報特別委員会の公聴会が開かれ、ここでジーナ・ハスペルCIA長官代行が「中共は米国の知的財産に関して、あからさまで不法な窃盗を狙っている」と懸念を示し、対策強化が必要だと訴えました。

トランプ大統領の中共経済に対する圧力は今後も高まってくるでしょう。中共は禁輸される集積回路を日本から調達しようとするかも知れませんが、アメリカの著作権などに縛られているために日本からの輸出も困難なはずです。

また、北朝鮮がアメリカの拉致被害者を解放すると言う件で、安倍首相とトランプ大統領が日米外交の成果が表れたと電話会談で話したそうですが、アメリカ国民は決してオットー・ワームビア氏のことを忘れてはいないでしょう。

トランプ大統領は秋の中間選挙で共和党を勝たせなければなりません。ですから北朝鮮の核廃棄も「リビア方式を呑ませる」ことと、「拉致被害者の返還は日本からの拉致も含まれること」を金正恩委員長に迫ることしか出来ないはずです。
中途半端な妥協をしてしまうと、ここぞとばかりにマスコミがトランプ大統領非難に回るでしょうし、アメリカ議会も納得はしないでしょう。
「日本人拉致被害者の帰国が無ければお金は出ないよ」と言えば良いだけですね。これに対して金正恩委員長が「日本の中にも関与した人間が居る」と言ってくれれば、一つ真相に近づけるのですけどね。

日本人拉致に関しては、金政権が続く間は解決が不可能なのかも知れません。ですからアメリカが「核廃棄」をリビア方式で行って、その後金政権がどうなるかを見極め、金体制が崩壊した後ならば日本の官憲を北朝鮮国内に入れて調査をしていくしかないでしょう。
時間はかかりますが、金政権に命じてもすっきりとした解決は期待できないと思います。

そういう意味では核廃棄がリビア方式で行われるかどうか、米朝会談が待たれます。つまり「完全」かつ「検証可能」で「不可逆的」な核兵器の廃棄を実施することで、「即時かつ無条件に放棄すると同時に国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れ、核兵器開発に関する機材や文書を米国に引き渡し、テネシー州のオークリッジ国立研究所に運搬して解体すること」を意味します。そしてこれには北朝鮮側の言い分など聞く必要はないのです。交渉はその後の北朝鮮をどうするかと言う話で、「経済支援が欲しければ日本人拉致問題を解決することだな!」と言えば済むことなのです。

こうなるまで北朝鮮に圧力を掛け続けなければなりませんが、今回の共同声明には「経済的・軍事的圧力を掛け続ける」という声明は盛り込まれておりません。中共と韓国は拒否したのかもしれませんね。

中共は日米離反の作戦を変えました。トランプ政権が対中強硬策を打ってきたからです。ですから日本を取り込みアメリカと離反させようとする戦略のようです。でも尖閣問題とか沖縄近海への艦船の横行、領空侵犯などの問題を考えれば、日本国民がしっかりしていれば取り込まれることは無いように思います。

ともかくこうして、舞台は米朝会談に移って行きます。

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