2018年5月20日日曜日

これが現代の戦争か・2

北朝鮮に対してトランプ政権が「王手」を掛けたことで、今度は中共の番になります。

すでにトランプ政権は中共の中興通訊(ZTE)に対する集積回路の供給を止める行動に出て、中共がいかにアメリカ依存しているかを見せつけました。
習政権はアメリカからの輸入に関税を掛けたり、輸入停止処分で対抗しましたが、ほとんどアメリカには効き目がありませんでした。

朝鮮半島に対する影響力の消失が目に見えてきた中共に対し、今度はベトナムが中国人観光客のTシャツに因縁を付けました。
カムラン国際空港からベトナム入りした中国人団体旅行客が着ていたTシャツの背中部分に、中共が南シナ海のほぼ全域で管轄権を主張する根拠としている「九段線」が描かれていたからです。

バスに乗り込んで上着を脱いだ時、九段線が描かれたそろいのTシャツをベトナムの旅行代理店員が見つけベトナム当局に通報したわけです。ベトナム当局は、Tシャツを没収し旅行客らの処分を検討しているそうです。

この九段線ですが、オバマ大統領はこの問題に関して「アメリカとして(特定の)立場は取らない」と述べていました。
しかしトランプ政権ではそうは行きません。ジェーン・サキ報道官は記者会見で「国際法に照らして各国による海洋での権益主張を法的、技術的にどう捉えるかを分析した研究資料」を提出したとして、「報告書は非常に技術的なものであり、政治的なものではない。南シナ海での領有権について立場を取らないという米国の政策は変わっていない」と述べましたが、中共側は「南シナ海問題で立場を取らず、一方の味方に付かないというアメリカの約束に反している」と述べているとか。

この提出された報告書には・・・
(1)九段線に囲まれた島嶼(とうしょ)や、国連海洋法条約に基づいてその周辺海域で認められる主権を主張しているのか?
(2)国境線を表すものなのか?
(3)中国がいう「歴史的」な海洋権益の地理的な境界を表すものなのか?
の3点が中共に対する疑問点として挙げられているそうです。

これに対して中共側は、「南シナ海における中国の主権は、長い歴史の過程で形成され、歴代の政府によって一貫して維持されてきたものだ」などと従来の主張を繰り返しています。

しかしこの九段線は、1947年に中華民国(蒋介石)が作成したもので、その後中共で発行されている地図に引き継がれたものです。
しかも2009年の地図ではトンキン湾にあった2つの破線が消えていることや、地図によって破線の位置がずれていることなどもあり、「一貫性がない」と言うのがこの報告書に書かれているとか。

アメリカはこの報告書を重視して、結果的に九段線の法的根拠を否定することになるでしょう。そしてそれと同時並行して、今度はロシアが南シナ海に出てきたのです。

南シナ海のベトナム南東沖370キロの鉱区で、ロシア国営石油企業ロスネフチ社が、石油採掘に着手したと報じられたのです。この鉱区は南シナ海で管轄権を主張して独自に設定している「九段線」の内側になるそうです。
ロスネフチ社やベトナム政府がこれまで中共の反発と圧力を避けるように密かに準備を進めていたそうで、5月17日に石油採掘に着手したと報じられました。

面白いのは、ロスネフチ社が「使用している掘削ドリルは日本製である」ことを公表したことです。こんなことをわざわざ言わなくても良いわけですが、この発表は「日本も関係している」と言うことを暗に示したのかも知れません。

中共が南シナ海領海を主張するなら、この行為は侵略行為になります。軍事的に対応せずに黙認していれば領海説が消えてしまいます。
軍事的反発を行えば、戦争になります。中共の兵器の多くはロシア製の兵器かそのコピーですから、ロシアには勝てないように思うのです。

そしてそれよりも、遂に中露が対決姿勢に入ったことの方が習政権にとっては痛手ではないでしょうか。どう考えてもトランプ大統領とプーチン大統領の連絡済みの行動だったように見えます。そんなタイミングに思えるからです。

6月には安倍首相とプーチン大統領の会談が予定されています。ここで南シナ海から掘削された石油は日本が買い取る約束でもするかも知れませんね。
また、石油掘削に関する設備と投資は日本が供給することで一致するかも知れません。
海底油田ですから採掘技術は難しく、英国も口を出してきそうです。

当然石油メジャーも黙ってはいないでしょう。トランプ大統領はどう取り仕切るでしょうか。
米中貿易戦争は現在も継続されていて、17、18日にワシントンで行われていた貿易協議では、その共同声明に「中共は米国の製品やサービスの購入を大幅に増やす」との文言は入れられましたが、全面合意には至らなかったようです。
アメリカ側は知財権侵害を理由に幅広い中共製品に25%の追加関税を課す厳しい制裁の発動をまだ検討しております。中共は報復に打って出る事を検討しています。

この戦争はどうも長引きそうですね。

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