2018年1月26日金曜日

謀略と計画

国際ジャーナリストの丸谷元人(まるたにはじめ)氏が、「日本が謀略と感じるものは、相手国(例えば中共)にとっては計画である」と述べておりました。

考えてみれば、中共が第一列島戦と第二列島戦を宣言し、台湾を掌中に収め尖閣海域を中共領土と宣言し、沖縄を琉球として独立させて中華圏に組み入れることは、計画であり、それを日本側は謀略と呼んでいる・・と言うことになります。

計画には段取りがあり、計画実現には時間がかかります。しかしそれを謀略と受け止めても何もしなければ、相手は計画通りに事を運んでくるわけです。
対応するには、こちら側も計画を作り、その計画通りに事を進めていくことが必要でしょう。

その2つの計画が背反した時、戦争か話し合いとなるわけです。これが無ければ話し合いも戦争も起こすことは出来ないと言う訳です。
そして計画の段取りこそがシナリオなのだと思います。

我が日本は、このシナリオが描けているのでしょうか。
例えば「沖縄防衛」を述べても、日本として沖縄の将来をどうしていくのか、その計画がなければ諸外国に何故防衛するのか、その意味が解りません。

「歴史的に日本の領土だから!」と言っても、諸外国にとっては領土の争奪戦こそが歴史ですから、中共の沖縄奪取計画に負けるだろうと判断するかもしれません。

戦後のアメリカの対日計画はすさまじいものでした。「ウォーギルドインフォメーションプログラム」とか「憲法の改悪」、そして「再軍備を阻止し、アメリカが守る」という骨抜き計画から、教育への関与で、「東京裁判」という歴史観を植え付けてきたことなどです。
この憲法の大反対していた共産党が、いつしか「護憲政党」になったのは、アメリカの働きがあったのではないでしょうか。

70年以上、アメリカの計画に従って日本は再建してきました。しかしそこで日本の本来の計画を立て直すことをしてきたのでしょうか。
「妄想平和」を追求するだけで、本来の「平和」をどうするかなど、シナリオ・ライティングがなされていません。そして「それで良い」としている日本国民とその政治家、そしてマスコミが「それではダメだ」という言論を絶対に出しません。
つまり「アメリカのシナリオに乗っていれば安全」とか「中共のシナリオにこれから切り替わるだろう」と言うような安易な考えが横行しております。

日本が経済的に豊かなのは、アメリカのシナリオが朝鮮戦争とそれに続く冷戦下で、そう書き直されたからではないでしょうか。
米中国交樹立に向かって、キッシンジャー氏が周恩来氏と会談した内容について、丸谷氏は次のように紹介しています。

周恩来:「日本の経済発展がこのレベルで続くと、いずれは日本を押さえられなくなる心配がある。そうなれば憂慮すべき事態となる」

キッシンジャー:「中国は伝統的に世界的視野があるが、日本は部族的で視野が狭い(シナリオなど書けないという意味でしょうね)」
「このまま日本を中立で解き放てば手に負えなくなり、後悔することになるだろう。日本が過度な再軍備を行えば(第二次大戦前のような)伝統的米中関係がモノを言うだろう。核戦争の時代に条約は意味をなさず、他国を防衛するとすれば条約のためではない。(アメリカの)国益のためだ。日本は軍事的に貢献しておらず、われわれは(日米安保)条約を必要としない」

どうやらこの時点では、キッシンジャー氏はアメリカのユダヤ資本の代表として語っているようで、周恩来氏の方はまだ中共のシナリオが描け切っていないようですね。伝統的米中関係が何なのか、よく考えてみましょう。
その後日本は、アメリカから経済摩擦などでむしられ、そして中共からは経済支援などでむしられましたね。現在では東芝がいけにえにされました。三菱、日立、そしてIHIも危ないですね。

シナリオはアメリカにトランプ大統領が登場した時、書き直される期待はありました。しかしどうも期待どうりにはいかないようですね。

北方領土も同じです。いくら我が国が返せと言っても、その結果どうなるのか、日本側のシナリオが無ければプーチン大統領も動きが取れません。
ロシア経済にどのような利益があるのか・・が見えなければロシア議会は動かないでしょう。安倍首相が「新たな計画」が先にロシアにとって経済的メリットがあることも、ロシアのシナリオを動かすことが必要だったからではないでしょうか。
対する日本側のシナリオがどうなっているのか、そこは判りませんが・・

世界は複数の計画がしのぎを削っています。ぶつかりそうになればシナリオを書き直して戦争を回避してきました。それが平和と言うものです。
強力なシナリオが「国際金融資本」などが描くシナリオでしょう。それとどうぶつかるのか、中共のシナリオも出てきました。それが「太平洋分割」という判りやすいシナリオです。

そこにぶつける日本のシナリオがありません。自国の防衛だけではこのようなシナリオに呑まれてしまうわけですね。
我が日本も、きちんとした国家計画を持って対峙しないと、結局極東の部族社会として世界からいいようにされてしまいます。

いや、もうされかかっているような気もしますが・・・

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