フィデル・ラモス元フィリピン大統領は、現在もフィリピンで圧倒的に人気がある方です。歴代大統領を対象にした「純満足度」調査で、今も唯一ドゥテルテ氏をしのぐなど高い国民的人気を誇っているそうです。
アメリカのウェストポイント陸軍士官学校に国費留学し、1952年に朝鮮戦争に従軍した軍人でもあり、マルコス大統領の独裁に反対して決起、国軍参謀総長として、コラソン・アキノ大統領を支え、クーデター未遂が相次いだ困難な時局を乗り切った愛国者でもあります。
現在は88歳ですが、まだまだお元気です。
ドゥテルテ大統領が南部ダバオの市長だった時にラモス氏の訪問を受け、ラモス氏から大統領選挙に立候補するように言われたと言います。
ドゥテルテ大統領の人気は、このラモス氏の人気に裏打ちされているのかも知れませんね。
ドゥテルテ氏が大統領になって3カ月、残念ながらラモス氏はドゥテルテ大統領にダメ出しをしました。就任100日間の政権運営実績を「大きな敗北」と批判する論評を発表したからです。
その理由は・・・
1)ドゥテルテ氏が自身をヒトラーに例えユダヤ人の怒りを買ったこと。「おれもヒトラーのように(薬物中毒者を)虐殺したい」などと。
2)警察官に殺害される麻薬犯罪容疑者の急増を懸念する国連を、ドゥテルテ大統領が批判したこと。フィリピンが国連から受けてきた支援を忘れてはならないと言う事も含めて。
3)オバマ大統領に「地獄に落ちろ」と発言したこと。
4)米比合同軍事演習を年内で終わらせると発言したこと。「何十年もかけた軍同士の協力関係を放棄するのか」と怒っています。
さて、このドゥテルテ大統領の暴言と行動はどこから来ているのでしょうか。麻薬撲滅には「犯罪者を皆殺しにするしかない」という考え方は、気持ちだけは判りますが良い解決方法とは言えないでしょうし、反米的な発言は親米諸国の大統領や首相なら気持ちは理解できるでしょう。しかし「それを言ったらお終いだ」ということで黙ることを彼らは理解しています。
ドゥテルテ大統領は、このアメリカの圧力に慣れていません。ですから彼のこれまで取ってきた同じような対応をしてしまったのでしょう。
安倍首相も、主張していたことが就任以来トーンダウンしていますから、アメリカの圧力が如何なるものかは想像できますね。
アメリカの言う事を聞かない中共、そして英国は現在経済的に失速中で、欧州統合などを指揮したドイツはフォルクスワーゲン車の欠陥以来、ドイツ連銀も巻き込んで経済破綻も間近です。
資本主義国でない中共は、経済破綻を起こしながらも習近平氏の指揮のもと、不思議な底力を見せつけています。・・が、習氏と対立する江沢民派はアメリカでヒラリークリントン氏にくっついていますから今後どうなるか判りません。
英国は都合よくEU離脱が現実化し、メイ首相が舵を切り替えそうですね。
アメリカが衰退していると言うのが現実であっても、まだ圧倒的な力を見せている軍事力があります。中共はそれを意識して頑張って居ますが、その差はまだまだ圧倒的です。
アメリカの問題は、国民がネットなどによって目覚めてきたことでしょう。軍事力が幾ら強くても、貧富差が広がれば国家が崩壊すると言う事を。
それでもアメリカは世界の覇権国なのです。ドゥテルテ大統領はそのことを意識しなければならなかったはずです。
ただ政治的戦略もなく、アメリカの圧力に暴言と暴政で対抗しようとすれば、必ず習近平派からお誘いが掛かることは必定。その甘言に乗ってしまえば、あとはフィリピンが中共によって崩されて行くだけです。その伝統も慣習も・・・
フィデル・ラモス氏も驚いたことでしょう。ついにドゥテルテ大統領に対し政権運営実績を「大きな敗北」と批判してしまいました。
ラモス氏の責任感からでしょうね。
さて、そのドゥテルテ大統領が、今月の25日から27日に掛けて来日します。公賓としての来日ですから天皇陛下も謁見されます。そして安倍首相との首脳会談も予定されています。
フィリピンは親日国であり、しかもドゥテルテ大統領も隠れ親日派ということですから、もしかしたら安倍首相の言う事なら理解するかも知れません。
アメリカの圧力にはどの国も困惑させられるが、自由主義国家の維持と国民の安寧のために我慢していることなど、そして中華思想の方がより危険であることをレクチャーする必要があるのではないでしょうか。
麻薬撲滅にしても、犯罪者を殺しても解決にはならないこと。麻薬問題は結局は経済問題に帰着すると言う事。誰でも頑張れば豊かになれることが自由主義の原則であり、それを損なう手法はたとえ自由主義の中から出てきたものであっても排除する必要があることなどを話し合うべきですね。
ドゥテルテ大統領、正直で率直な人柄のようです。失脚させるにはもったいないような感じがするのですよ・・・
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